ICEx、2周年を目前に見つける自分たちの新しい表現 2025年はパフォーマンスで魅了する1年に

ICExが見つける新しい表現

 スターダストが手がけるEBiDAN発の8人組ボーイズグループ ICExが2月26日、5thシングル『理想郷』をリリースした。昨年9月のメジャー1stアルバムを経て最初のシングルとなった今作は、ICExの新境地を開いた作品に。年齢を重ねて増した経験値と表現力を存分に活かし、これまでの少年らしいポップではつらつとした楽曲から、よりクールで深みのある表現に挑戦したシングルとなっている。タイトル曲「理想郷」は、グループとして2度目のアニメタイアップが決定。1月10日より放送されているTVアニメ『RINGING FATE』のオープニング・テーマを務め、アニメの盛り上がりに一役買っている。

 そんな今作の制作に、ICExの8人はどんな想いで臨んだのか。また、作品をリリースする度に大きく成長した姿を見せる背景には、どのような考えや想いがあるのか。年末年始のイベント出演やライブ開催のエピソードなども含めて、詳しく話を聞いた。(市岡光子)

前作とは異なる「理想郷」ならではのかっこよさ

——5thシングル『理想郷』、早速聴かせていただきました。これまで以上に磨き抜かれた歌声で新しい曲調の楽曲に挑戦されていて、皆さんの一段と成長した姿を垣間見れた作品になっていると感じます。

志賀李玖(以下、志賀):ありがとうございます。今作では、タイトル曲「理想郷」も含めて、サウンドや歌詞、ダンスなどでまた新しいことに挑戦しました。特に「理想郷」はTVアニメ『RINGING FATE』のオープニング・テーマを務めていて、アニメを通じてたくさんの方にICExのことを知っていただく機会となっているので、本当に嬉しいです。今回、もう一段レベルアップしたICExになれたんじゃないかと思います。

山本龍人(以下、山本):今回の作品では、より進化したICExを感じていただけると思います。「理想郷」と「Miracles」、「BOOM BOOM BOOM」は、メンバーそれぞれラップに挑戦したパートも多くて、これまでよりも少しガツガツしているICExを見せられているんじゃないかな。タイトル曲の「理想郷」も、今までの曲と比べたら歌の難易度が上がっていますし、ダンスも床を使った“フロア”という振付に挑戦していて、パフォーマンスがどんどんレベルの高いものになってきているんです。僕らの実力が試される楽曲が増えてきたなと感じます。

——今回のシングルは、いつ制作がスタートしたのでしょうか。

竹野世梛(以下、竹野):11月頃だったと思います。

ICEx – 理想郷 (Official Music Video)

——改めて、タイトル曲「理想郷」のコンセプトを教えてください。

志賀:この曲のコンセプトは、「理想を目指すICExの上昇志向ソング」です。聴いた人を一瞬で惹きつける強いメロディが魅力的な楽曲で、3rdシングルのタイトル曲「ビリミ」と似ているところもありますが、「理想郷」ならではのかっこよさも兼ね備えていると感じます。歌詞の内容がTVアニメ『RINGING FATE』のストーリーとリンクしている部分もあるので、アニメを観ながらこの曲を聴くと、より一層楽しんでいただけると思います。

——この楽曲で特に好きなポイントはありますか?

中村旺太郎(以下、中村):僕は〈憧れとか情熱では 空腹は満たせなくて/土砂降りの雨を飲み込んだのに/喉は渇いたままだ〉という部分が好きです。ここではロボットのような、メカニックな振付を披露するんですけど、困難にさいなまれて自分の心がどうしようもなくなってしまった様子を描いた歌詞にぴったりのダンスで、おもしろい表現ができているんじゃないかなと思います。

筒井俊旭(以下、筒井):俺も旺ちゃんと同じところが好きで、ここは歌詞が心にぐっと響きますよね。その直後に〈痛み知った僕らに怖いものなし〉という言葉が続くんですけど、悔しい想いをしたからこそ今があるというのが、ICExに至るまでの自分と重なりますし、今頑張っている自分にも響くので、このパートは特に感情移入してしまいます。

千田波空斗(以下、千田):僕は〈涙あり試練あり 波乱のヒストリー〉と〈思い通りなんて無理 きつく噛んだLips〉のところが気に入っています。その前のパートから歌詞も曲調もガラッと変わって、強く迫力のあるメロディと振付になるので、ガツガツした僕らのパフォーマンスを見ていただけると思います。

山本:僕は間奏がめちゃくちゃ好きです。無音の瞬間もある、思わず踊りたくなってしまうサウンドになっていて、ダンスではフロアに挑戦しているので、迫力を感じていただけると思います。ここで勢いがついて、曲の終わりまでさらに盛り上がっていくので、ステージに立っている僕らとしても思い入れが強いパートですね。

——すでにリリースイベントで「理想郷」を披露されているかと思いますが、反響はいかがですか?

中村:この曲はワイワイ盛り上がる感じではないので、僕が見ていると、(急に手を前後に動かして)こういう感じなんですよね。

竹野:いやいやいや、言葉にして(笑)?

阿久根温世(以下、阿久根):ジェスチャーだと記事にするの難しいじゃん(笑)。

中村:うーん、音にノって真剣に見入っている感じ?

竹野:リリースイベントもまだ始まったばかりですし、曲を知らない人も多いので、盛り上がりという意味ではまだ静かなほうなのかも。今後この曲の認知度がもっと上がっていったとき、パフォーマンスの迫力やクールさに悲鳴が上がるくらいの反応が得られたら嬉しいなと思います。

筒井俊旭・山本龍人・中村旺太郎・志賀李玖
八神遼介・山本龍人・中村旺太郎・志賀李玖

——レコーディングの際は、アニメのあらすじなどはすでに分かっていたのでしょうか?

志賀:そうですね。アニメのコンセプトとあらすじは教えていただいて、ロボットが出てくることやバトルシーンがあることは事前に把握していたので、レコーディングでは力強く歌えるように意識しました。

千田:「理想郷」は歌に8人の個性をギュッと詰め込んだ作品に仕上げられたと思います。ラップが得意なメンバーはラップにたくさん挑戦していますし、歌が得意なメンバーは、その人の歌声が映えるパートでレコーディングに挑んでいて。僕は高音域をクリアに響かせられることを武器にしているので、Dメロの〈Reach for the sky/届け〉の部分に挑戦させていただきました。〈届け〉はもともと裏声で歌う想定だったのですが、自分の声を活かして、地声で声を張る歌い方にチャレンジして、より完成度の高い歌をつくることができたんじゃないかと思います。

八神遼介(以下、八神):レコーディングのときは普通に歌えるんですけど、ダンスと組み合わさると体力の消費量がすごい楽曲で。今後ステージで披露することも増えますし、体力をつけて、ステージでの見せ方についてもしっかり研究して考えていかないといけないなと思っています。

竹野世梛・筒井俊旭・阿久根温世・千田波空斗

——「理想郷」はグループとして2度目のアニメタイアップとなりました。TVアニメ『RINGING FATE』のオープニング・テーマを務めることが決まったときは、どんな心境でしたか?

中村:前回はエンディングテーマでしたが、今回はオープニングなので、曲を聴いていただける確率がより一層高くなると思います。そういう意味でも気合いが入りますし、テレビから僕らの音楽が流れてくるというのは、何度経験しても鳥肌物です。

千田:ICExのことを知らない方々にも、アニメを通じて曲に親しんでもらえるのが、アニメタイアップの良いところですよね。今回もすごくありがたい機会をいただいたと思います。

——今回のアニメ、中村さんは観ているようですが、他の皆さんはリアルタイムで観ていらっしゃいますか?

全員:観てます!

筒井:めちゃくちゃおもしろいアニメですよね。可愛いキャラクターとかっこいいメカ、どれも作画がめちゃくちゃ好きです。前世の記憶を失くした主人公が、話が進むごとに記憶を少しずつ取り戻していくんですけど、徐々に謎が解けてくるストーリーが本当に見ごたえがあります。一話観終えると、早く続きが観たくなる作品です。僕らの楽曲を抜きにしても、1つのアニメ作品としてめちゃくちゃおもしろいので、ぜひたくさんの方に観ていただきたいですね。

竹野:『RINGING FATE』はすべて3DCGで作られたアニメだそうで、他の作品とはまた一味違った魅力を一つひとつの映像に感じます。ストーリーの展開の仕方もおもしろいですし、とても良い作品だなと、観ていて思いました。

カップリング曲の魅力を語る

——「Miracles」はどのような楽曲ですか?

筒井:この曲はEBiDANの先輩のジャン海渡くんが作った曲なんですけど、R&Bをベースとした今っぽいサウンドに、韻を踏んだHIPHOP要素のある歌詞で、今までのICExとはガラッと雰囲気が変わった楽曲に仕上がっていると思います。歌い方も今回、日本語の歌詞の部分を英語のように歌うことにチャレンジして。母音を強く発音しがちな日本語を、あえて子音を際立たせてあいまいな音で発音することで、曲の持つおしゃれでかっこいい雰囲気を再現できるように頑張りました。ジャンくんにもレコーディングに立ち会ってもらって、いろいろなことを細かく教えてもらいながら、新しい表現を作っていった一曲です。

——「BOOM BOOM BOOM」はいかがでしょう。

中村:ライブ会場全体を、ICExとCOOLerが一体となって盛り上げるというコンセプトで作られた楽曲です。ライブの最後に披露するのにぴったりな曲だと思います。サビで〈Boom Boom Boom Boom Boom 踊れ Everybody〉という歌詞があるんですけど、ここはお客さんと一緒に歌える箇所で。そういう遊びの要素が曲の中にたくさん散らばっているので、ライブで披露する日が待ち遠しいです。振付はまだ作られていないんですけど、きっと手をぶんぶん振り回すような振付になるんじゃないかなと予想しています。

竹野:(手を顔の横で振り回しながら)これしかなさそうだよね。

筒井:いやいや、まだ分からんって(笑)。

——「運命の1ページ」もコンセプトや曲調を教えてください。

八神:ICExの楽曲の中でも、メッセージ性が強い曲となっています。歌詞のテーマとしては「大切な人との運命」を掲げていて。誰しも大切な人を見守って、支えてあげたいと思うものですが、その反面、自分も大切な人から元気やエネルギーをもらっていると思うんですね。そういう大切な人との関係性を歌っているのが、この楽曲です。僕としては、この楽曲はICExとCOOLerの関係性を歌った曲だと思っていますけど、聴いた人の受け取り方次第で自由に解釈してもらえたら嬉しいです。曲調はバラードというより、「ちょいバラ」かな。

筒井:ちょいバラ(笑)。

八神:テンポが速い部分もあったりするので、ちょいバラです(笑)。ICExとしても、今までになかった雰囲気の楽曲だと思います。

——ちなみに、八神さんは前回の1stアルバムのインタビューで、今後の目標として「可愛いからかっこいいへキャラ変したい」とおっしゃっていましたが、今作シングルでその目標は達成できましたか?

八神:うーん、どうだろう?

千田:むしろもっと可愛くなってる気がする。

筒井:SNS、可愛いのほうに振り始めてるよね。

千田:かっこいい一面もあるんだけど、それよりも可愛い一面のほうがたくさん見えてくるというか。

山本:デビュー当初は結構スカしてるタイプだったと思うんですけど、表舞台に立つことに慣れてきたのか、最近は可愛い表現に振り切れるようになってきたよね。いい意味で表現の幅が広がったんじゃない?

千田:むしろ八神としてはどうなの? 今回のシングルでは可愛いから、かっこいいに振り切りたいの?

八神:みんな、どっちの俺が好き?

志賀:「可愛い」は今しかできないから、このままでいいんじゃない?

八神:じゃあ、今の可愛いも大切にしたスタイルでやっていこうと思います(笑)。

——前回のインタビューに絡めてもう1つお聞きすると、千田さんは楽曲制作に携わりたいというお話をされていましたが、今作では何か新しい挑戦はしましたか?

千田:「運命の1ページ」のレコーディングで、僕のベストテイクを選ばせてもらいました。何回か録った中で1番と2番のテイクをくっつけて使ってほしいとか、自分の意見を少し言う機会をいただいて、今回もまた新しい経験ができてありがたいなと思います。

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