『フレンズワンマンツアー“UNO!”』
フレンズ、新体制で届けた楽しくも熱いライブ 前のめりな姿勢から感じたバイタリティ
『フレンズワンマンツアー“UNO!”』は、フレンズが新体制になってから初めてのツアーだった。本来は東名阪ツアーだったが、大阪が中止になり、最終的に東京・名古屋それぞれ2回回しの計4公演に。キャパシティの半分しか観客を入れられない分、1日にライブを2本行うというのは他のアーティストもやっていることだが、フレンズの場合、4人体制になってからまだそんなに日が経っていない。演者からすると大変だろうにそれでもやるんだと決断したこと、その前のめりな姿勢からはバイタリティを感じる。会場に集まった人の中には「これからのフレンズはどうなるんだろう?」と不安に思っていた人もきっといただろう。しかし、そのバイタリティで以って、この日もフレンズは私たちに元気を届けてくれた。
この記事では4月5日・東京公演(1部)をレポートする。会場はduo MUSIC EXCHANGE。昨年11月に行われた5周年記念ライブと同じハコだ。1000人規模のライブハウスだが、指定された席に座ってみると、2階からでもステージがかなり近く感じられた。バンドとしてリスタートを切る今回のツアーは、アニバーサリー同様、非常に大切なタイミング。だからこそ、目と目をちゃんと合わせられる距離感でライブを届けたかったのではないだろうか。そんなことを1曲目「ビビビ」の時点でまず思った。メンバーはフロアの奥や上階にも視線をやりながら演奏していて、特にえみそん(Vo)は、一人ひとりと目を合わせながら歌っている。そうして始まる血の通ったコミュニケーション。今はまだ「Yeah!」と声を出せないが、観客は代わりにピースサインで返す。
ゴメスこと中込陽大(Key)をサポートメンバーに迎えた編成で臨んだこの日。これまでひろせひろせが歌っていたパートは三浦太郎(Gt/Vo)が歌っている。三浦は元々歌える人だから不安要素は特にないが、新鮮な要素は多々あり、例えば「常夏ヴァカンス」でのラップがそう。「ビビビ」Cメロでは歌う箇所が増えたため、主旋律をばっちり歌った直後にギターをガシガシ弾き始めるという“スーパー三浦タイム”と呼びたくなる瞬間のカタルシスが倍増している。
一方、ギターを弾かずボーカルに専念する場面もあったが、楽器の数が減っても物足りなさを感じないのは長島涼平(Ba/Cho)と関口塁(Dr/Cho)のリズム隊が頼もしいからであろう。2人が生むグルーヴはバンドの柱だと再実感。そしてえみそんの歌も明らかにパワーアップしている。ライブハウスだからこその直線的に飛んでくる感じ、ある種の情熱を宿らせつつも、聴き手を大きく包み込むこともできる豊かな歌声。最近のえみそんはドラマ出演やMV監督など新しいことに次々トライしている印象があるが、フロントマンとしての自覚がそうさせているのだとすれば、それは歌にも影響してくるだろうと合点がいった。そうして個々が確かに成長している一方、以前よりもバンドとして結束できている。フレンズには意外と少ないバラード=「約束」における、みんなで呼吸を共にするような演奏を聴いて特にそう感じた。
セットリストの中で特に存在感が強かったのが新曲群だ。まず、新生フレンズ一発目の新曲として4月30日にリリースされた「急上昇あたしの人生」。音源の時点で“ジェットコースターみたいな曲だな”という印象があったが、実際にメンバーが弾いている姿を見ながら聴くと、「今のベースの動き、何?」「2サビ後の間奏がアツすぎる」と、ひたすら楽しくて心動かされまくり。Bメロの手拍子は楽しいし、〈最後まで/目を逸らすなよ〉というラストの一節はライブだとより映えるし、新たなキラーチューンが生まれた手応えがあった。