結成5周年のフレンズが語る『ハクション大魔王2020』EDテーマで再認識した“本質” 積極的な動画配信への思いも

結成5周年のフレンズが再認識した“本質”

 今年、バンド結成5周年を迎えるフレンズがニューシングル『あくびをすれば』を6月17日にリリースする。

 表題曲は、TVアニメ『ハクション大魔王2020』(読売テレビ・日本テレビ系)のエンディングテーマとして書き下ろされたもの。オリジナル版『ハクション大魔王』から50年後の世界を描き、成長したアクビちゃんらが登場する「現代のファンタジー」ともいえるこの新シリーズを、カントリー&ウエスタン風味のリズムに乗せて華やかに彩っている。またカップリングには、石橋貴明と工藤静香が90年代に結成したユニット・Little Kissの代表曲「A.S.A.P.」のカバーも収録。オリジナルにほぼ忠実なアレンジや、工藤静香になりきった(?)えみそんのボーカルも聴きどころの一つになっている。

 えみそん(Vo)、ひろせひろせ(Vo/Key)、長島涼平(Ba)、三浦太郎(Gt/Cho)、関口塁(Dr)全員参加による本インタビューは5月下旬、リモートにて行われたもの。緊急事態宣言の解除がようやく決まるも、まだまだ予断を許さぬ状況の中、メンバー5人はどのようなことを考えながら日々を過ごしているのだろうか。シングル制作のエピソードはもちろん、ここ最近力を入れているという動画コンテンツに込める想いなど様々な角度から迫った。(黒田隆憲)

「アクビちゃんを通してのフレンズらしさが歌詞に出せた」(えみそん)

ーーまずは、『ハクション大魔王2020』のエンディングテーマ「あくびをすれば」を手がけることになった心境について聞かせていただけますか?

ひろせひろせ:これまでアニメソングを手掛けたことがなかったので、率直に嬉しかったです。フレンズは昨年の終わりから今年の頭にかけて、『シチュエーション・コメディー season4』というワンマンツアーを廻り、すごく充実していたんですよね。この勢いで「バンド結成5周年イヤー」に突入するタイミングでのお話だったので、すごく幸先の良いスタートになるなと。

フレンズ - 夜明けのメモリー <シチュエーション・コメディー season4 at LINE CUBE SHIBUYA(旧渋谷公会堂)>
フレンズ - 地球を越えても <シチュエーション・コメディー season4 at LINE CUBE SHIBUYA(旧渋谷公会堂)>

えみそん:私も『有言実行三姉妹シュシュトリアン』とか、アニソンやキャラソンが大好きなので嬉しかったです。

ひろせひろせ:アニソンって、やっぱりアニメのタイトルが歌詞の中に入っている方が個人的にはグッとくるし、キャラクターの名前とかも入っていたらいいなあ、という思いがうっすらとあって。仮歌では実際に“ハクション大魔王”と歌っていたんですけど、それをえみそんが上手いことアレンジしてくれましたね。フレンズの本質に近いメッセージを盛り込んでくれたというか。

えみそん:アニソンとしてのいろんな意向を踏まえつつ、アクビちゃんを通してのフレンズらしさが歌詞に出せたかなと思っています。彼女の天真爛漫な明るさや芯の強さは、フレンズのライブにも通じるものがあると思ったし。まさかその後、世の中がこんなことになるとは思っていなかったけど……。

ひろせひろせ:この曲を作っている時にはまだコロナ禍になる前だったんです。でも、こういう状況になって改めて「あくびをすれば」を聴くと、えみそんが書いてくれている歌詞は世の中に寄り添うものになっている。バンドとしても、僕らはずっとお客さんに寄り添うような歌を歌ってこれていたんだなと、フレンズの本質が改めて見えてきたような気がしているんですよね。『ハクション大魔王』のおかげで、「フレンズを組んで本当によかったな」と再確認させてくれる楽曲になりました。

ーーオリジナルの『ハクション大魔王』は、みなさんが生まれる前の作品ですよね?

三浦:僕は小さい頃に再放送で観ていた記憶があります。大魔王が出てきて、ハチャメチャになって終わるのが楽しくて(笑)。しかも1話完結のアニメが毎週放送されているという部分では、『サザエさん』と同じく我々の生活に密着しているアニメだったなという印象です。今回の『ハクション大魔王2020』も、そういう作品になっていくのかなと思って期待しながら毎週観ています。

 それと、僕は子どもがいるんですけど、テレビのスポットCMなどでフレンズの映像が流れるとすごく喜ぶんですよ。友達の家族からも連絡が来たりして。すごく大きな作品に関わることができたのだなと改めて思っています。

関ロ:僕も小さい頃にケーブルテレビの再放送で観ていた記憶がありますね。その時期は、タツノコプロの作品を色々と放送していたのですが、『タイムボカン』シリーズなどと違っていわゆる戦闘シーンもなくほのぼのとしたカートゥーン(ネットワーク)っぽい感じ、ドタバタしている感じが楽しかったんです。母親も『ハクション大魔王』を知っていたし、そういう作品の曲を担当できるのは光栄だなと思っています。

長島:僕は小さい頃、アニメの名シーンや最終回だけを集めた特集番組が好きでよく観ていたんですけど、そこで『昆虫物語 みなしごハッチ』などと一緒に『ハクション大魔王』を知りました。今回、エンディングテーマを手がけるお話をいただいた時には、フレンズにぴったりだと思ったんです。ひろせはハクション大魔王にそっくりだし(笑)、えみそんはアクビちゃんに似ている気がして。そういう意味でのシンパシーも感じましたね。

ーー「あくびをすれば」の曲調は、今までのフレンズになかった気がします。カントリー風味の軽快なリズムだし、ちょっと“いなたい”雰囲気もあって。もちろん、「楽しもう」のようなモータウン調の曲はありましたが、新たなチャレンジという意識はありました?

ひろせひろせ:『シチュエーション・コメディー season4』が終わった段階で、楽曲の方向性についてメンバーと話し合う機会がありました。そのときに、リッチな方向性に行くよりも音数をシンプルにして、それこそ“いなたい”曲調にも挑戦するのがいいんじゃないかという話になって。

 もちろん、『ハクション大魔王』の番組の中で流れた時のインパクトも考えたし、僕らにとって「ライブのキラーチューン」にしたいという気持ちもありました。(関口)塁さんの4カウントで始まって、(長島)涼平さんと(三浦)太郎さんがバーンって入って、サビはお客さんと一緒に歌うような。

ーーやはり『シチュエーション・コメディー』で得たものが大きかったのでしょうね。

ひろせひろせ:そう思います。『シチュエーション・コメディー』のときは、ライブが終わるたびに曲と曲の間をどうしようか、塁さんと相談したり、「ここで前に出てみよう」みたいなステージングの調整をみんなでしたり。そうやって調整しながら少しずつブラッシュアップしていき、今年1月のLINE CUBE SHIBUYAでのファイナルは集大成的な内容になったと思っています。それを経て、「あくびをすれば」は今後のフレンズの活動においてかなり大切な1ピースになったと思いますね。

ーーえみそんさんは、歌詞をどのように詰めていきましたか?

えみそん:いつもタイアップのお話をいただいた時は、原作を読んでテーマやトピックを取り込むなどして書くことが多いんですけど、今回は割とふわっとした状態で書いたので、さっきも言ったように「アクビちゃん目線」が基本としてありつつフレンズらしい歌詞になったと思っています。

ーー『ハクション大魔王2020』は、オリジナルから50年後の世界を描いたアニメですよね。歌詞には〈時は流れて変わってゆくけど/私はいつでも何かを目指して/追いかけてゆく〉というラインがあって。作品自体の時間経過はもちろん、バンド結成5周年という節目にこの5年間の変化について、思いを馳せながら書いたのかなと思ったのですが。

えみそん:うーん、そこまで意識して書いたつもりはないんですけどね(笑)。でも自分の中にそういう思いはあったから、それが自然と出てきたのかもしれない。

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