Hulu & TikTok共同プロジェクト『Once in a Blue Moon』インタビュー
Tani Yuuki、今も変わらない天月-あまつき-への憧れ 共演果たした『Once in a Blue Moon』収録後インタビュー
HuluとTikTokによる新番組『Once in a Blue Moon』、その第2回目が6月3日より配信される(TikTok LIVEは同日20時から。その後Huluにて全編公開予定)。本番組は、TikTok発のアーティストが憧れのアーティストに会い、様々なトピックについて話を聞くというもの。第1回目にはひらめが登場し、いしわたり淳治との対談・コラボが実現した。
番組2回目には、2020年に発表した「Myra」がTikTokやYouTubeで話題となったシンガーソングライターのTani Yuukiと、その“憧れのアーティスト”である天月-あまつき-が登場し、夢の対談、そしてステージ上での共演が実現した。
リアルサウンドでは、番組収録を終えたばかりのTani Yuukiにインタビューを行い、興奮冷めやらぬ胸の内を聞いた。なお、インタビュー最後には天月から届いたコメントもお届けする。(編集部)
(天月-あまつき-は)どんな曲をカバーしても自分のものにしてしまう
ーーまずは『Once in a Blue Moon』に出演してみての感想をお聞かせください。
Tani Yuuki(以下、Tani):もちろん緊張もしたのですが、とても楽しかったし嬉しかったです。学校の屋上で歌うのは夢でしたが、それって卒業したら普通は叶えられないじゃないですか。それが番組内で叶い、何より憧れの人と共演する機会をいただいたり、本当に奇跡みたいなことが起きたなと思いました。
ーー共演された天月さんの、どんなところに憧れていたのですか?
Tani:とにかく声が好きで。一度聴いたら忘れられないというか、どんな曲をカバーしても自分のものにしてしまうパワーにも圧倒されます。自分の歌い方にも無意識に影響していると思うし、歌で人の心を動かせるのはすごいことだなと。
ーー実際にお会いしてみて、どんな印象でしたか?
Tani:すごくアクティブな方だと聞いていたので圧倒されるような勢いがあるのかなと勝手に想像していたんですけど、実際にお会いしたらすごく穏やかで。だけど心の中には燃えているものがあるような方だなと思いました。そのギャップがすごく魅力的でしたね。
ーーお二人で「ホシアイ」「Myra」を歌ってみてどうでした?
Tani:もう本当に夢見心地でした。特に「ホシアイ」なんて、自分が高校生の時にずっと聴きながら過ごしていたから、本当に耳馴染みのある歌と声なんですよね。そこに自分の歌が入るなんて想像もしていなかったので、とんでもない経験でした(笑)。当時の自分に教えてあげたいですね。
ーーもともとTaniさんはどんなきっかけで音楽を始めたのですか?
Tani:中学生の時、おじいちゃんにアコースティックギターを譲ってもらったんです。その頃、病気をしてあまり学校に通っていなかったので、ストレス発散もかねていろんな曲をカバーしていくうちに、「自分が思っていることを、誰かの言葉を借りて表現することができるんだな」ということに気づいたんです。それでのめり込んでいったのが最初のきっかけですね。
ーーこれまでのインタビューを読むと、RADWIMPSからの影響もかなり強かったとか。
Tani:高校生の頃、心境的にシンパシーを感じたのが天月さんで、音楽的な影響を強く受けたのがRADWIMPSですね。野田洋次郎さんの書く歌詞の世界がとにかくドンピシャで。常人じゃ思いつかない、「どうやったらこんな素敵な言葉が思いつくんだろう」と思わせるような表現をする人だと思うんですよね。「俺には絶対書けない」と思いつつもめちゃくちゃ影響を受けています。
RADWIMPSを聴き始めたのが高校時代の後半で、曲を作り始めたのが高校を卒業して専門学校へ入学するくらいの頃だったんですけど、どういうふうに曲を作ったらいいのか分からなかったとき、「野田さんだったらどう作るんだろう?」みたいなことを考えていました(笑)。「ここのメロディ、野田さんだったらこんなふうに展開するだろうな」って。
ーーなるほど。ところでTaniさんの「Myra」は、2020年7月LINE MUSIC月間チャートで1位を獲得、“TikTok HOT SONG Weekly Ranking”では8週連続でトップ10をキープするなど、大きな注目を集めました。このことを率直にどう受け止めていますか?
Tani:素直に嬉しいという気持ちもあるんですけど、自分だけ置いてきぼりにされたような気持ちになったこともありました(笑)。でも、いろんな人がレスポンスをくれたことは励みにもなったし、自分自身がずっと持っていた「根拠のない自信」みたいなものの裏付けになった気がして、それに関してはすごく嬉しいですね。曲が広がっていくにつれて「やっぱり俺は正しかったんだ!」と(笑)。
ーー天月さんが去年末にTaniさんの「Myra」をカバーした動画を見た時も、すごく喜んでいましたよね。
Tani:めちゃめちゃびっくりしたんです(笑)。自分のSNSにサムネが出てきて「ええ?」と思って見たら、動画が上がっているから「嘘でしょ?」って(笑)。もう、Twitterに書いたとおりですね。「高校生の頃から聴いていました!」って。中高の頃の記憶が一気に蘇ってきました。しかも、かなり天月さんカラーに染まったアレンジにしてくれたのも嬉しかったですね。
ーーそもそもTaniさんは、なぜTikTokを活用しようと思ったのですか?
Tani:最初はずっと見るだけだったんですよ。でも、友人がきっかけで「可能性のあるプラットフォームだな」と思い始めたんですけど、自分のオリジナル曲と出会ってくれる人を、少しでも増やしたいという思いで使っています。特にレコメンドで曲がピックアップされると、それで引っかかってくれる人がいれば、自分の曲が広がっていくんじゃないかなと。そのときはまだ自分のソロ曲をどこにも発表していなかったので、試しに出してみたら思った以上に広まって。ありがたいなと思っています。
ーーTikTokから火が付くアーティストも急増しているのは何故だと思いますか?
Tani:やっぱりインパクトなのかなと。一度聴いたときに、「えっ?」と敢えてひっかかる歌詞やキャッチーなメロディ、またはフレーズとか、そういうものが共通してあるのかなと思います。ーーまさに「Myra」がそういう曲なのかもしれないですね。一度聴いただけでは分からない、思わず何度も聴いてしまう中毒性みたいなところがTikTokでバズる要素になっているというか。
Tani:確かにそうですね。
ーーTikTokに投稿する時などに、何か工夫していることはありますか?
Tani:オリジナル曲の場合は、自分が一番聴いてほしいと思う部分に余白を残すということですね。普通ならBメロからサビまでを切り取ると思うんですけど、僕は1コーラス目の頭とサビの最後の部分を載せていて。なのでピンポイントで一番聴いてほしいところを切り抜いて載せるのは、すごくこだわってやっていますね。もっというと、ひっかかる歌詞のあるセクションのところを載せるようにしています。
ーー「Myra」のリフレインも、そうやって狙って作ったのでしょうか。
Tani:いや、「Myra」は狙っていないですね(笑)。確かヨルシカさんの曲を聴いていて「曲のタイトルが歌詞に入っているとインパクトがあるな」と思って。それで使ってみたかった、というのがひとつありました。Bメロからのメロディラインが気に入っていたので、そこに乗せたら上手くハマって。なので「Myra」に関しては狙ったというより、自分が「いい」と思ったものに共感してもらえた感じなので嬉しいです。
ーー「Myra」のヒットはプレッシャーになったのか、それとも励みになったのか、どちらでしょう?
Tani:どちらもありますね……半々くらい。最初はすごく励みになったけど、その後も作品をリリースしていく上でどうしても壁になる部分があるので、そのプレッシャーは自分で超えていかなければならないものだとは思っています。