乃木坂46 2期生の波乱万丈だが美しい物語  堀未央奈が迎えたアイドル人生の大団円

乃木坂46 2期生の波乱万丈だが美しい物語  堀未央奈が迎えたアイドル人生の大団円

 3月28日に『乃木坂46 9th YEAR BIRTHDAY LIVE ~2期生ライブ~』が配信で行なわれた。緊急事態宣言を受け、日程を分散して開催される各期生別ライブの嚆矢となる2期生ライブは同時に、堀未央奈の在籍中ラストステージとしての意味も兼ねるものだった。

 メインステージ横一列に並ぶ2期メンバーのもとに、堀が中央の花道を通って合流し、昨年来、2期生の新たな代表曲となった「アナスターシャ」で本編の幕が上がる。続いて「ライブ神」「Am I Loving?」、さらに「走れ!Bicycle」へと冒頭ブロックが続く。

乃木坂46 2期生
乃木坂46 2期生

 このブロックでは、堀が2期メンバー一人一人に合わせてプロデュースした衣装をまとってのパフォーマンスとなった。一貫した基調を保ちつつも、丈感もシルエットもまちまちなそれらの衣装は、メンバーそれぞれが独立した色を持った個であること、グループとして統一感を持ちながら、個々の美学も矜持も一色ではないことも象徴的に浮かび上がらせる。

 そして、2期生の個としての存在感をより際立たせたのが、セットリスト中盤に配置された「全員センター」のブロックだった。

 乃木坂46のライブ史において「全員センター」企画は、アンダーライブで幾度も新鮮な景色を見せてきた。そのルーツともいえる2014年12月、有明コロシアムでの『アンダーライブ セカンド・シーズン Final!』では、当時の正規メンバーのみならず、2期生のうち研究生の肩書のままライブに参加していたメンバーたちもセンターを経験、足場が未確定な時期の彼女たちが、グループの中に位置を得るための企画としても機能していた。

 もっとも、この日の「全員センター」は、単に全ての出演者が披露楽曲のセンターを務めるためだけの時間ではなかった。メンバー全員がパフォーマンスにあたってソロMCの時間を設け、自らの心の内をパーソナルに語ってみせることで、2期生一人一人がこの群像における主役であることを刻みつけるものになった。

 組織の構造がもたらす葛藤を引き受けてきた過程を語った北野日奈子がセンターを担う「日常」から、同ブロックはスタートする。北野の代表曲でもあり、また近年の乃木坂46全体のライブでも随一の迫力を誇る「日常」は、彼女の心情吐露と相まって強い説得力をもつ。

 学び続けることに活路を見出し、独自の武器を身に着けた山崎怜奈は、その過程で投げかけられてきた理解のない言葉について口にする。その中でなお、乃木坂46というグループに自らの位置を見出し、ついに唯一無二の強みを見つけた彼女が披露したのは、他者にふれることを介して己の存在を信じるための楽曲「君の名は希望」。長らく乃木坂46の代表曲である「君の名は希望」だが、山崎の足跡と重ね合わせたその解釈はきわめて新鮮なものだった。あるいは、渡辺みり愛は自らの参加ユニット曲が少ないことを踏まえつつ、『Sing Out!』での初選抜に先立つタイミングで参加した堀、北野とのユニット楽曲「ゴルゴンゾーラ」をチョイス。各人が、グループ内における自らのポジションを時に苦さもまじえて綴りながら、セットリストを積み重ねていく。

 一方、1期メンバーへの思いをこの企画に重ねてみせたのは、伊藤純奈と鈴木絢音だった。「サヨナラの意味」でセンターを務めた伊藤は、自身たちがグループに合流した時期について語る中で、新メンバーを受け入れる側の難しさについてもふれ、俯瞰した視野を示す。また鈴木は、自身がグループに憧れ始めたきっかけについて述べ、オリジナルでは生駒里奈、生田絵梨花、星野みなみが歌唱している「ここじゃないどこか」を披露、この楽曲に鈴木の声が好相性をみせることも証明した。

 さらに、新内眞衣は「太陽ノック」をパフォーマンスし、自身の初選抜となった表題曲の記憶を刻む。続く寺田蘭世はその「太陽ノック」の前作、11枚目シングル『命は美しい』に収録され、制作時点ではまだ研究生だった2期生6人に充てられた楽曲「ボーダー」を担う。寺田は自身のMCの中で、昨年卒業した佐々木琴子を含めた同曲歌唱メンバーたちにふれてから、現行メンバーとともに楽曲を披露。現在だからこそ同曲を誇り高く昇華できることを見せつけた。

 そして同企画で堀がセンターを務めたのは、オリジナルでも自身がセンターに立つ「別れ際、もっと好きになる」だった。これは先の「太陽ノック」リリースの際のアンダー楽曲だが、堀がMCで振り返るように、彼女がキャリア上で初めてアンダーメンバーに配された作品でもある。また同時に、シングルとしての『太陽ノック』は、制作の時点で所属する2期生全員が正規メンバーに名を連ねていた、初めてのシングルでもあった。2期生にとって肩書上の転機になった11~12枚目シングル収録曲で、このブロックはまとめられた。

 もっとも、「別れ際、もっと好きになる」披露に際して堀が語ったごとく、2期生全員の正規メンバー昇格は、必ずしも彼女たちの順風満帆な道程を約束しなかった。その来歴をたどるようにパフォーマンスされたのが、13枚目シングルのアンダー楽曲「嫉妬の権利」である。堀がセンターを務めた7枚目シングル『バレッタ』以降、初めて表題曲に2期生が一人も選出されなかったアンダー曲をあえてここで背負い、あらためて選抜とアンダーの狭間を強く意識せざるを得なかった2期生の歴史を確認してみせる。

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