元ジャニーズJr.からSHINee振付師まで……中国版“プデュ”に日本からの参加者増加 アイドルシーンの盛り上がりが背景に
さらにコーチ陣として、現役の若きトップアーティストたちが揃っていることも魅力的なポイントだ。これまでには元EXOのレイやタオ、ルハン、GOT7のジャクソン、f(x)のビクトリア、SEVENTEENのTHE 8 (ミンハオ)、また“プデュ”シリーズ『偶像练习生』出身者であるNINE PERCENTの蔡徐坤(ツァイ・シュークン)らが参加しており、今回も『青春有你3』ではBLACKPINKのLISA、『创造营2021』にはf(x)のアンバーなど豪華な面々がパフォーマンス指導にあたる。ミレニアル・Z世代から絶大な支持を受ける現役スターの起用は、視聴者を喜ばせるだけにとどまらない。自身に近い世代ながら、国際舞台の第一線に立つトップアーティストたちから得る活きたアドバイスは、参加者にとってこれ以上ない貴重な財産となるのではないだろうか。
韓国発のオーディション番組が中国のアイドル人気に火をつけている現状からもうかがえるように、現在の中国アイドルシーンは主にK-POPカルチャーから大きな影響を受けて発展している点も興味深い。例えば日本のK-POPファンにもお馴染みの、末っ子を表す「막내(マンネ)」といった韓国語は「忙内(mangnei)」と表記され、ファンのみならずアイドル自身によって使用されている。またBLACKPINKなど人気グループのコンセプトは、楽曲や衣装のインスピレーション源として積極的に反映されている。
その一方で中国アイドルの中には古典舞踊などの素養を備える者も多いことから、ポップカルチャーと伝統文化が組み合わされたパフォーマンスが披露されたり、また日韓とは異なる独立したファンカルチャーの動きも見受けられる。今回の“中プ”には日本以外にもアメリカ、タイ、ロシア、台湾など様々な地域から参加者が集うが、他文化を活発に取り入れながらそこに独自性を加えて拡大していく中国アイドルシーンの、今後の動向にも目を引かれる。
『青春有你3』『创造营2021』の放送開始を前に予告映像や渡航前のパッキングVlogなどが公開され、早くも話題を呼んでいる日本からの参加者たち。今まさに爆発的な盛り上がりをみせている中国アイドルシーンで、彼らはどんな活躍を見せるだろうか。
■菅原 史稀
編集者、ライター。1990年生まれ。webメディア等で執筆。映画、ポップカルチャーを文化人類学的観点から考察する。Twitter