豆柴の大群が初の全国ツアーで遂げたパフォーマンスの進化 『実力をしっかりとつけるツアー』東京公演を振り返る

豆柴の大群、全国ツアーで遂げた進化

 豆柴の大群が、1月10日に渋谷duo MUSIC EXCHANGEにて開催した『実力をしっかりとつけるツアー』で、全国ツアーに一旦の幕を降ろした。

 今回のツアーが発表されたのは、10月24日に昭和女子大学人見記念講堂にて開催した初のワンマンライブ『豆柴の大群のりりスタート』でのこと。グループ結成からまもなくして、コロナ禍に見舞われた豆柴に求められるのは、BiSHを代表とするWACK所属アーティストとしてのライブ経験に基づくパフォーマンス力。ワンマンから実に1カ月後という短いスパンでスタートした『実力をしっかりとつけるツアー』はその名の通り実力を付けるために与えられた、メンバーにとっての一種の試練である。

 というのも、日程は11月21日の札幌 cube gardenを皮切りに、北海道、大阪、福岡、宮城、愛知、東京、全国6都市を約1カ月半で巡るツアー。このコロナ禍で一度に入れる数が制限されていることもあり、1日3公演の計18公演というなかなかに過酷な内容だ。しかも、公演の前後では各地にてリリースイベントも行っている。初日の札幌公演は2月6日に延期となってしまったものの、現時点での計15公演+@で、豆柴が身につけたものとは何だったのか。渋谷公演の第3部を軸にレポートしたい。

 約1時間半、計18曲のセットリストは、ざっくり言えば初のワンマンライブに1月20日リリースとなるメジャー1stアルバム『まめジャー!』の新曲を加えた構成である。そこには北海道公演で初披露予定だった「まめのうた」に続き、「MOTiON」(大阪)、「TO THE FUTURE」(福岡)、「僕だけの回答」(宮城)、「LUCKY!!」(愛知)と徐々に(配信)解禁をしていった背景がある。渋谷公演では、そこに(5人の豆柴)結成1周年記念日の12月25日にリリックビデオが公開された「DADDY」と「I need you」、「お願いキスミー」が『まめジャー!』からパフォーマンスされた。

 面白いのは、それら新曲が豆柴のパフォーマンスの幅を広げていることだ。豆柴には代表曲とも言える「りスタート」や「ろけっとすたーと」、「恋のかけ算 ABCDEFG」といった明るくポップな“クロちゃん曲”と「大丈夫サンライズ」や「FLASH」、「そばにいてよ Baby angel」のようなオルタナティブでパンキッシュな“WACK曲”の二面性に大きく分かれる特色がある。今作で言えば、毎回「キッズ盤」が発売されるほどに子供のファンも多い豆柴の“キッズソング”「お願いキスミー」がクロちゃん曲の極致であれば、その反対はデジタルハードコアの「MOTiON」と言えよう。

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