「えんとつ町のプペル」インタビュー
ロザリーナ×西野亮廣 特別対談 両者が語り合う、「えんとつ町のプペル」制作秘話と真逆の創作プロセス
お笑いコンビ・キングコングの西野亮廣が製作総指揮・原作・脚本を手がけた、『映画 えんとつ町のプペル』のエンディング主題歌「えんとつ町のプペル」を歌うロザリーナ。2人は約5年前に出会い、2016年に絵本『えんとつ町のプペル』のテーマソングを大王とロザリーナという名義で歌ったほか、西野はロザリーナのインディーズミニアルバム『ロザリーナ』や2017年のシングル『音色』のジャケットイラストを手がけるなど、作品を交わしながら交流を続けてきた。
そうしてロザリーナの最新ミニアルバム『ロザリーナⅡ』には、映画のED主題歌「えんとつ町のプペル」を収録したほか、期間生産限定盤のジャケットイラストを西野が手がけ、これまでの点と点が一本の線に繋がる作品になった。まるで映画の世界をそのまま体現したかのような「えんとつ町のプペル」という楽曲は、どのようにして生まれたのか? また、同じクリエイターとして両者が惹かれ合う理由はなんなのか? 西野亮廣とロザリーナの対談が実現した。(榑林史章)
「こんなにファンタジーが似合う人はいない」(西野)
ーーお二人の出会いは、どういうものだったんですか?
ロザリーナ:2016年に『ロザリーナ』を出す時に、ジャケットをどうしようかとスタッフミーティングをして。私が西野さんの絵が好きだという話をしたら、スタッフの中に西野さんに近い人と知り合いの方がいて。それで連絡を取ってくれて、西野さんの初めての個展にご挨拶しにうかがったのが初めてでした。
ーー西野さんの絵のどういう部分が好きだったんですか?
ロザリーナ:超細かくて、ペンで描いてるのがすごくて。
西野亮廣(以下、西野):自分も同じような絵を描くよね。似てるもんな。
ロザリーナ:そうそう。西野さんみたいな絵が描きたいというのもあって。私も絵を描くから、すごさが分かるというか。それでずっと好きだったんです。
ーー西野さんは、ロザリーナさんの歌声のどういう部分を気に入って、「えんとつ町のプペル」を歌ってもらうことにしたんですか?
西野:会う前に曲を聴かせてもらったんですけど、その曲が最高だったんですよ。「むっちゃいいじゃん!」って思って。しかも、僕が好きな感じの曲だったんですよ。声もいいし。そもそもロザリーナの声や歌が、『えんとつ町のプペル』の世界に合っているなと思ったんです。
ーー「こんなにファンタジーを背負える人はいない」と、いろんなところでおっしゃっていますよね。
西野:そうですね。僕は音楽のことは詳しくないですけど、ファンタジーが似合う人とか背負える人って、本当に数が少ないと思うんです。例えば僕が学生時代のアーティストで言えば、Charaさんみたいな存在というか。『スワロウテイル』という映画で、Charaさんが「Swallowtail Butterfly 〜あいのうた〜」を歌っていて、あれほどあの映画に似合う歌声はないと思いました。で、ロザリーナは『えんとつ町のプペル』がすごく似合うなと思ったんです。それに声が、ルビッチっぽかったんですよ。ルビッチの声の正解は分からないけど、なんとなくこれくらい舌足らずな感じなんだろうなって。それは大きかったですね。
ーーロザリーナさんはラ行が苦手だと、試写会の時に西野さんからバラされていましたけど、実際に舌足らずですか?
ロザリーナ:一つ言っておきますと、舌足らずじゃなくて“舌足りてるず”なんです(笑)。
西野:足りてるの? 逆に舌が長いの?。
ロザリーナ:舌が足りてしまって、言いづらいんですよ。レコーディングの時も、ちゃんと言えているのか不安で。サビの〈Hello Hello Hello ハロウィン〉が、みんなにちゃんと伝わっているか不安で。
西野:そうそう、レコーディング中に急に言い出したんですよ。「私、ホロホロ言ってません?」って。みんなも「何、今更言ってんの?前からじゃん!」って(笑)。どうやらご自身の中では、流ちょうにラ行が言えてるってだいぶ高く見積もっていたみたいですけど、こっちはそれも踏まえてお願いしているので(笑)。それに、なんかクセありますよね?
ロザリーナ:私ですか?
西野:そう、あんねん。歌い癖が。「さぁーー」って伸ばせなくて、「さぁ〜〜」みたいな。「ふわぁ〜」ってなる(笑)。それがなんかちょうどいい。
ロザリーナ:ああ、たしかにありますね。でも、文字にしづらいじゃないですか。
西野:そう、出来ひん。こう落ちてく感じというか……あれがいい。
ーーロザリーナさんは西野さんから「ファンタジーが似合う」という評価を受けていますが、自分で意識することはありますか?
ロザリーナ:もともと私自身も、ファンタジーの世界が好きだというのはあります。音楽はすごく雑食でいろいろ好きだから、今作っている曲と前に作った曲では雰囲気がすごく違うこともあるんですけど、ファンタジー要素を入れるのが好きで。何年前の曲でも今の曲でも、要素として必ず入っています。