MIYAVI、アコースティックアレンジで示したもうひとつの『Holy Nights』 “音楽を止めない想い”が生み出す柔らかな音

 “サムライ・ギタリスト”の異名で知られるMIYAVIが9月4日に最新配信EP となる『Holy Nights (Lockdown 2020)』をリリースした。

 MIYAVIといえば、「どんな状況でも音楽を止めない」をモットーにこれまでに最新アルバム『Holy Nights』のリードトラックである「Holy Nights」のアニメーションMVや、ボリュメトリックキャプチャを使用した3D映像「Need for Speed」MVを公開。また自宅スタジオからの配信ライブとなった『“Holy Nights” Virtual Tour 2020』を行い、そのライブ自体も『Virtual LIVE - Level 2.0』や、先月のteamLabとのコラボレーションによる『Virtual 3.0 Concert at teamLab Planets Tokyo』と回を重ねるごとにテクノロジーを駆使して表現をアップデートする、バーチャルプロジェクト“MIYAVI Virtual”によって、コロナ禍以降も積極的にアーティスト活動を行い、ファンとのコミュニケーションを大切にしてきた。

MIYAVI Virtual 3.0 Concert at teamLab Planets Tokyo
MIYAVI『Holy Nights (Lockdown 2020)』

 そんな彼の最新作となる『Holy Nights (Lockdown 2020)』では、『Holy Nights』収録曲である「Holy Nights」、「Heaven Is A Place On Earth」、「Bang!」の3曲をアコースティック&ストリングスでリアレンジした“Lockdown 2020 ver.”とそのインストを含む計6曲が収録されている。

 本作の特徴はなんと言っても“アコースティック&ストリングス”アレンジによって、先述の3曲が持つ『Holy Nights』とは違った一面を見られる点だ。

 リード曲の「Holy Nights (Lockdown 2020 ver.)」は、原曲ではシャープなエレキギターのリフが印象的であるとともに、イーブンビートやブレイク前のフィルインなど、リズムパターン的にもEDM以降のダンスポップのテイストを取り入れることで、エッジーなギターダンスポップと言える仕上がりになっている。一方、“Lockdown 2020 ver.”では、ビートを含めサウンド自体のエレクトロニックな部分は鳴りを潜める一方で、リバーブの効果と絞られた音数によって、楽曲自体がより空間的になり奥行きが増した。また、後半のストリングスと歌声のアンサブルパートは、柔らかなテクスチャーによって感情を揺さぶられ、原曲とは違った盛り上がりを楽しむことができる。

MIYAVI「Holy Nights (Lockdown 2020 ver.)」

 「Heaven Is A Place On Earth (Lockdown 2020 ver.)」は、原曲がミドルテンポのアグレッシブなエレクトロハウスを彷彿とさせるものだったことに対し、アコースティック化により柔らかく空間的な楽曲になっているが、こちらはよりギターの響きが目立つ形だ。原曲ではディストーションやワウによって、“鳴き”のように響いていたギターの音色だが、“Lockdown 2020 ver.”でギターの存在感を際立たせているのは、静かに爪弾かれるアルペジオ。特にアウトロではこのアルペジオとギターソロのフレーズが重なり合うことで、“鳴き”から“泣き”へとギターが表情を変えている。アコースティックならではの良さだ。

MIYAVI「Heaven Is A Place On Earth (Lockdown 2020 ver.)」

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる