植田真梨恵に聞く、他者と交わり発見した音楽の新機軸「面白いなぁ、好きだなぁと思ったものしか残してない」

植田真梨恵に聞く、他者と交わり発見した音楽の新機軸「面白いなぁ、好きだなぁと思ったものしか残してない」

 昨年、メジャーデビュー5周年の節目をZepp DiverCity(Tokyo)のライブで締めくくり、次の一歩となるアルバム『ハートブレイカー』では植田真梨恵にしかできない音楽を目指したという。そこで今回は自作曲も数多く生み出しながら、活動史上初めて楽曲提供を作家に依頼。他者から見たシンガー・植田真梨恵のポテンシャルを発揮することにも成功している。

 CDのキャパシティぎりぎりの全17曲というフルボリュームの本作。特定のジャンル感を持たないまま10代からキャリアを重ねてきた彼女が、人生で出会った音楽を落とし込んだアルバムを作るに至った必然とは。(石角友香)

シンガーソングライター・植田真梨恵としての“正念場”

植田真梨恵

ーー今回は植田真梨恵としての正念場だということを制作途中に話していましたが、今一度その意味をお聞きしてもいいですか?

植田真梨恵(以下、植田):メジャーデビューして5周年が去年ありまして。ミニアルバム『F.A.R.』と『W.A.H.』はわりと穏やかな作風でした。デビューしてからは、今までやってきた音楽の知識とか経験の中で自分のキャパシティぎりぎりの曲を作ってきました。そこから今回、制作期間の中で改めて植田真梨恵はどんなものを歌うべきで、作っていきたいのか見つめ直して考えた結果、これが最後かもっていう気持ちで音楽をお届けしていかないと次はないな、と。そういう意味では正念場かなと思いました。

ーー作家の方に向けたお手紙を拝見したんですがびっくりしました。植田さんが直接送ったんですか?

植田:そうです。強気な文章でしたよね(笑)。

ーー「めちゃくちゃなことや面白いことをやりたいんだけど、でも意味がわからなかったらいいです」という(笑)、正直な文面で。

植田:お金をもらってお仕事される以上、プロのお仕事じゃなければいけない、それが売れなければいけないっていうことが大前提としてある世界の中で、そうじゃなくて私は試行錯誤して面白いもの、スケッチから始めた閃きみたいな曲を最後までこだわり抜いて、「こんなんしたかってん! みたいなものを作りませんか?」という気持ちでいました。

ーーいろんな反応があったと思うんですが、作家さんの反応で面白かった方は?

植田:みなさん、言葉では全く返されませんでした。いきなり曲で来られました。それがさすがだなと、みなさんに対して思ったことですね。それで面白かったのが「いっせーのーせ」(植田のバンド)のメンバーが誰も曲を書いてこなかったことですね(笑)。

ーーそれは逆に言えば提供曲に期待があったんじゃないですか?

植田:どうなんでしょう? もしかしたらある程度、私が見えているものの大きさを感じていて、バンドメンバーからするとプレッシャーも大きかったからかもしれないですね。

ーーシングルや単曲で発表されていた曲が、ミニアルバムの頃と比べて攻めた感じの曲が多かったので、さらにフルアルバムになった時、どういうタイプの音楽を求めていたのかに興味があって。

植田:もともとアルバムに入れるべき曲たちが、「Stranger」や「REVOLVER」、「WHAT’s」でしょ。そして「I JUST WANNA BE A STAR」があって、「スルー」も古くからある曲だったので、これは入れようと思っていたんです。で、全部並べた時に割とこってりしていて。だとしたら、こってり情報量の多い曲が次々続くアルバムがあってもいいだろうと思って作っていきましたね。

ーー音源で返答が来たということですが、それを聴いて植田さんは作家の方に自分がどう思われてると感じました?

植田:あー、思ったより不思議に捉えられてるんだなと思いましたね。

ーーそういうリクエストをしてますからね(笑)。

植田:そうですね(笑)。拍子とかフォーマット、固定観念をどんどん外していってくださいっていうところだとか、特に上手に曲が作れる方たちだからこそ、なおさらそういうものが聴いてみたかったんですけど、やっぱり試行錯誤されてる作品が来たんですね。1分の曲でも構わないし、別に転調を1回もしなくていいし、リフだけの曲でもいいと思っていました。その中でいろいろこう、ダークファンタジー要素のある曲とか、打ち込みの中に不思議な音がいっぱい入っているとか、逆に全部生モノの曲もある。そういうバランスで、なんでもありなんですけど、どれも面白いなぁ、好きだなぁと思ったものしか残してないし、逆に手直しははなからしないつもりでいました。

ーー最初に届いたのが川島だりあさんで、その後すぐに徳永暁人さんの「まぜるなきけん」だったという。まぁすごい曲ですね。徳永さんからはどれぐらいの形のデモが届いたんですか?

植田:100パーセントです。

ーーすごい(笑)。徳永さんのビーイングでの作風のイメージを超えてます。音大の先生でもあるんですよね。

植田:音大の先生でもあるし、『F.A.R.』、『W.A.H.』のミックスの時もリファレンスで持ってこられる曲が割と最近の曲であったり、最近のJ-POPとかロックをちゃんと聴いてらっしゃる方なので、どんな曲を作られるんだろうな? ってところは楽しみだったんです。で、「こんな曲作ったら?」とか逆にこれまでも言ってもらったりもしていて。そうしたら「C&P!」って叫んでる曲だったんですよね。なんだろう? と思って聞いてみたら、コピー&ペーストでしたね(笑)。

ーーそのコピー&ペーストってイメージから作詞は引っ張られませんでした?

植田:いやいや、引っ張られました。日本語を入れようかとか色々迷ったんですけど、こんなに存在感のある曲だから、小さな人の集まりから大きな人の集まりまで、混ざり合う団体みたいなものを歌いたいなと思って。そうしたら、意味合いと語感から〈SHE AND HE〉とか、そういう歌詞になっていきましたね。

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