SA、4人で語る新体制初アルバム『CALL UP MY COMRADES』での変化 日本の“ロックンロール”に対する問題意識も明かす

SA、4人で語る新体制初アルバム『CALL UP MY COMRADES』での変化 日本の“ロックンロール”に対する問題意識も明かす

 17年間不動だったメンバーの脱退ーー。2019年はSAにとって激動の年だった。しかし、活動を止めることなく、新ドラマーとして迎え入れられたのは、19年前、当時はまだTAISEIのソロプロジェクトだったSAのサポートを務めたこともある、MATCHAN。重厚でパワーのあるドラムが、バンドや音楽に対する実直さが、SAをあらためて覚醒させた。

「『CALL UP MY COMRADES』というタイトルが、図らずも今、コムレイズと会えない状況下の中でメッセージとして、想いとして、マッチングしたんだよね」(TAISEI)

 2年3カ月ぶりのリリースとなったアルバム『CALL UP MY COMRADES』。彼らがもっとも愛するファン、“コムレイズ(COMRADES)”がタイトルに入っている。TAISEIがSAを再始動させた1stアルバム『YOU MUST STAND UP MY COMRADES』(2000年)から約20年が経とうとする今、ここにまた新しいSAを始める想いを込めて、再び“MY COMRADES”をタイトルに入れたという。

 昨年怒涛のライブをこなし、新生SAのエネルギッシュな魅力が詰まった本作について、そして新しいSAについて、4人にたっぷり話を聞いた。(冬将軍)

今、日本には“ロックンロール(Rock ‘n’ Roll)”がない(TAISEI)

ーーMATCHANさんの加入で、変化したことはありますか?

TAISEI(Vo):サウンドもそうだし、音楽に対する捉え方が圧倒的に変わったね。SAはずっと同じメンバーでやってきて、それが変わるわけだから、良くならないと意味がないわけよ。結果、良くなったわけだけど、サウンドはこう、締まったとでもいうのかな。

NAOKI(Gt):重心が下がったというか。重みもあって疾走感もあって。その根底にはMATCHANの“ラブ”がある気がします。

KEN(Ba):SAに対して、音楽に対して、あらためて4人の気持ちが入った。MATCHANが入ったことによってね。MATCHAN自身がホント、“ラブリー”な人なんで。

MATCHAN(Dr):いやぁ(照笑)。

KEN:曲を理解するっていうのは、当たり前のことなんですけど、曲自体をものすごく好きになって演奏してるのが伝わってくるんですよ。だから逆に勉強になりました。1曲1曲に対する捉え方が今までとは全然変わった。

TAISEI:今まではアルバムをレコーディングしていく中で、埋めていく作業とでもいうか、“仕事”としてやらなければいけない部分も実際はあったんだけど、今回はひとつひとつ高く積み上げていく感覚がものすごくあったね。それに、これまでは「こんなもんで手打ちかな」というところもあったんだけど、MATCHANのドラミングの振り幅の広さを考えたときに、「もっとこんなことができるんじゃないか」と試してみて、実際にそれができるようになったのはデカかったね。17年、同じメンバーでSAをやってきたからさ、自分たちができることはすべてわかっていたわけ。でも、メンバーが変わることによって、こんなに新しい化学反応が起きるんだというのを感じられたんだよね。

MATCHAN:「SAとしてドラムを叩けることが楽しい!」という気持ちを、音に入れ込みたいとレコーディング前から思っていて。その手応えを実際に感じられました。自分でこれができたらOKというわけではなく、みんなが「いいね!」と言ってくれたらOKという形で進めたんです。とにかく楽しむこと、それを音にすることを心掛けてはいたんですけど。それが思ってた以上に自然にできた。とにかく楽しかったです。

TAISEI;そういう気持ちに自然になれたと思うんだよね。レコーディングはすごくワイワイやってたよね。

MATCHAN:そうですね。

TAISEI:去年の4月にMATCHANが入って、SAを止めないように1年間、ライブをやれるだけやった。ステージの上でみんなのグルーヴを徹底的に作り上げていったから、それを作品にするぞっていう。時間でいえば、厳しいところも実際はあったんだけど、限られた時間のリハーサルとプリプロの中で出来上がったものを、どこまで作品として高みに持っていけるか。この4人で最初のレコーディングだから不安な部分も多少はあったけども、それよりも「どんなものができるかな」と、ワクワクする方が勝ってたな。

ーーアルバム制作にあたり、ビジョンのようなものはあったんですか?

NAOKI:そういうことは考えないっすよ。毎回考えてない。ただ、今回はMATCHANが入ったから「変わる」という確信はあった。音を合わせて、あんなにときめいたのは久しぶりだったから。50本くらいライブをやってきて、あとは楽曲さえ揃えば何かが起こるというのは、わかってましたね。だから「こんなアルバムにしよう」ということよりも、今いちばん活きのいいオレたちを録るしかないじゃないですか。

TAISEI:「今回、この曲は入れないでおこう」みたいな作り方をする人もいるだろうけど、オレたちはアルバムのコンセプトや全体のバランスというより、いい曲だけの集合体を作る、これなんだよ。もちろん、それぞれのサウンドがあって、見え方は違うとしても、“全部がいい曲”ということをいつも考えてるね。

NAOKI:10曲全部、シングルカットできる。

TAISEI:今回、リード曲は「マジックアワーがきこえるかい」になったんだけど。リードを決めるときにオレはいつも「どれでもいいよ」って言ってる。どれも自信あるからさ。今のSAの見え方をみんなが考えてくれて、これになった。

SA / マジックアワーがきこえるかい

ーー「マジックアワーがきこえるかい」っていいタイトルですね。

TAISEI:いいでしょ。去年すったもんだがあったわけよ。前のドラムが辞めて、MATCHANが入った……それを追ったドキュメンタリーDVDを出したのね。前のドラムのラストライブが京都だったんだけど、その打ち上げにMATCHANも来てたんだよね。で、そこで降ってきたんだよ、「マジックアワーがきこえるかい」って言葉が。そもそもマジックアワーは聞こえるものじゃないんだけど、自分にもコムレイズ(ファン)にも「これから新しいものが始まろうとする夜明けの音が、君たちにも聞こえるかい?」ってさ。それで、DVDの監督に「タイトルは『マジックアワーがきこえるかい』でいく!」と伝えてね。それが今年にかけてのSAのキーワードだと思った。だから曲も作りたいと。DVDのテーマソングみたいな気持ちで作ったんだよね。そのぶん、壮大な組曲のようになってるんだけど。

ーーイントロのギターからブチ上がります。

NAOKI:ベタな80’sパンクやな(笑)。最初はベタパンクなんだけど、最後には「あれ? みんなスタジアムにいるぞ」ってなるんだよ。

TAISEI:オレらは雄大で勇ましい曲が好きだからね。

NAOKI:海とか大地とかな。

ーー「BLACK SEA」もスケール感ありますね。

TAISEI:歌ってることはチマチマしてるんだけどね(笑)。お母さんのハガキがどうのとか。まぁ、そこがまた良かったりするんだよね。

ーー〈橙色〉と〈漆黒〉のコントラストだったり、色を表す言葉選びがすごく綺麗だと思いました。

TAISEI:オレのイメージなんだけど、思い出って橙色なんだよね。最近言わないけど、オレらが子どもの頃はオレンジじゃなくて、橙色って言ったよね。そういう、かつて日本人が持っていた、いい響きの表現を歌詞に入れることは、意識してやっているね。他にも“手紙が届く”じゃダメなんだよ、“ハガキ”じゃないと。こういう1ワードで曲のリアリティや入り方が変わるわけよ。

ーー「孤高の花」もメロディと符割に対する言葉の転がり方が絶妙ですね。

NAOKI:アレンジするときに、TAISEIが「サーカスみたいにしよう、空中ブランコみたいな音が欲しい」なんて言い出して(笑)。そのためにわざわざエフェクター買いに行ったんだよ。

TAISEI:今回、The Beatlesの「Being For The Benefit Of Mr. Kite!」を参考にしてみた部分もあるんだけど、この曲に関してはサーカスのイメージがあって。あとは漠然とした表現だけど、「『トムとジェリー』みたいにして!」って。

NAOKI:ワハハハ(笑)。

MATCHAN:それ、よく言ってましたよね(笑)。

NAOKI:おもろいけど、めっちゃ大変。SAは、たまにキーボードに入ってもらったりするんだけど、今回は4人の音だけしか入ってない。そのぶん、それぞれがいろいろやってるからしんどかったな(笑)。

TAISEI:MATCHANが入ったから「あれもやりたい、これもやりたい」になったんだよね。これまでもいろんな曲作ってきたけど、MATCHANだったらもっと面白くなると思ってさ。何年か前のデモとしてあった曲を「MATCHANだったらできるかもしれない」と引っ張り出してきたり。「1 to 10」とかね。

MATCHAN:実際やってみて新たに発見することも多かったです。「1 to 10」はまさにそうだったんですけど、こんな感じの曲は聴いたことあるけど、やったことはなかったんですね。そこから勉強してやってみたら、「お、カッコいいぞ」って感じて。「こういう曲やってみたかったな」とか、自分が忘れかけていたルーツのようなものを思い出させてくれたり。とにかくSAのレコーディングは楽しいんで、なんでもできちゃうんですよね。

ーー「1 to 10」は今の日本のバンドはやらないタイプの曲ですよね。

TAISEI:そこなんだよね。今、日本には“ロックンロール(Rock ‘n’ Roll)”がないと思うのね。“ロック(Rock)”はあるけど、“ロール(Roll)”はしてない。それっぽい音楽はあるけど、もっとこう、50年代、60年代のエナジーみたいなものを、みんな出せてないなと感じるからさ。だったら、ウチらがやってやろうかと。いわゆる“不良”じゃないとできないロックなんだよ。

KEN:そもそもSAって、古きを重んじるというか、しっかり古き良きものを取り入れていく、という確認ができているバンドだと思うんです。だからこそ、“ロック”と“ロックンロール”の違いを意識できるし、教え込まれてもきた。ただ、それを17年繰り返してきて、惰性になりかけていたところもあった。だけど、そこに入ってきたMATCHANという新しいメンバーによって、触発されたんです。レコーディング中に、MATCHANが言ってたような勉強、「これはうっすらしか聴いてないからちゃんと聴いてみよう」といった行動をとるようになったんですね。これまでそういうことはしてなかったんですよ。それに、今までは1曲録ったら「ハイ、終わり」っていう感じだったんですけど、今回は「こういうフレーズにしたら、もっと良い方に行くんじゃないか」とか、そういうことを考えるレコーディングだったんです。

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