TikTokで話題のラッパー Rin音に初インタビュー SNS世代だからこそ伝えたい、人と人とが接することの大切さ

TikTokで話題のラッパー Rin音に初インタビュー SNS世代だからこそ伝えたい、人と人とが接することの大切さ

 今年2月にリリースした「snow jam」がTikTokで話題となり、Spotify国内バイラルチャート1位に輝き、YouTubeでも530万回再生を突破(6月3日現在)。各方面で注目を集めている大学生ラッパー・Rin音が、1stアルバム『swipe sheep』を6月10日にリリースする。

 “日本の四季”をテーマに作られた本作には、変わりゆく季節や何気ない日々の「一瞬」を鮮やかに捉え、彼独特のワードセンスによって綴られたリリックが並んでいる。柔らかく儚げな声で歌われるメロディが、チルでメロウなトラックの上でたゆたうさまは、夢と現実、日常と非日常の狭間を行き来するような、どこかモラトリアムなリリックの持つ世界観を体現しているかのようだ。なお、ゲストには同世代ラッパーの空音やクボタカイをはじめ、気鋭のシンガーソングライター・asmiらが参加している。

 自分の身の回りのこと、手に触れられるものをモチーフに曲を作り続けているというRin音に、アルバム制作についてはもちろん、リリースまでの経緯や、コロナ禍で思うことなどたっぷりと聞いた。(黒田隆憲)

『swipe sheep』や「snow jam」などタイトルの由来は?

ーーラップバトルを観たのがラッパーになろうと思ったきっかけだったそうですね。

Rin音:はい。もともと僕は歌うことが好きで、カラオケにもよく行ってたんですけど、最初はYouTubeの動画でラップバトルを観て、そこでラッパーたちが即興でリリックを作って戦っているのがメチャメチャ面白くて。そこからどんどんはまっていって、『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日系)は番組が始まった当初からずっと観ていました。

 ただ、周りにラップが好きな人が全然いなかったので、まずは布教活動というか(笑)。友人に「これ、かっこよくない?」って見せるなどしてラップ好きを集めることから始めました。それが高校3年生の頃ですね。最初は見よう見まねで遊んでいた感じで、サイファーと呼べるほどのクオリティでもなかったんですけど、みんなで集まってラップを披露し合っていました。

ーーラップに興味を持つまではどんな音楽を聴いてたんですか?

Rin音:親が聴いている音楽に触れるくらいで、基本的にその時に流行っているものを聞いている程度でした。父親から聞いた話だと、AIRさんの「Last Dance」(2002年)という曲がお気に入りだったみたいです。自分では全然覚えていなかったんですけど、改めて聴いてみると「なるほどな」と思うところがありますね。

Rin音

ーーでは、ラップのスキルは独学で磨いていった感じ?

Rin音:そうです。最初は模倣というか、バトルを観て誰かのバースを取り入れ、それをちょっといじって使っていたのを少しずつ自分のオリジナルにしていった感じでした。あとは、『BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権』(BSスカパー!)とかに出ていたT-Pablowさんが好きでしたね。ラッパーによってスタイルがいろいろあるじゃないですか。最初は大阪出身のK-razyさんの韻の踏み方を参考にしていて、そうすると今度はフロウの凄さにも気づき始めて、それで鎮座DOPENESSさんのフロウを観て「これ即興でやるのヤバいな」みたいな感じでどんどん取り入れていきました。

ーーそのうち、地元福岡のラップバトル選手権に出場するようになっていったのですね。

Rin音:福岡にいるラッパーはみんなこぞって参加していた『天神U20MC battle』というイベントがあるんですけど、最初は1回戦落ちだったのが、二度目の出場ではベスト8まで行ったんです。それで、3回目で優勝することが出来ました。その翌々日くらいに『KMB』(小倉MCBATTLE)では、決勝で裂固さんに負けちゃって準優勝だったんですけど、バトルで勝てるようになってくると楽しいから、色々な大会やイベントに出るようになって。少し前には、『チュリトリスワールド』というこれも小倉で開催されているラップバトルイベントに出てそこでも優勝しました。

 自分のラップって福岡周辺のクラブでやると、結構浮いてしまうことが多かったんですよ。当時はトラップが主流で、そのちょっと前にはブーンバップが流行っていたので、それこそ僕とかクボタカイみたいな音楽性は珍しい部類だったんです。でもブーンバップからトラップに変わっていく時に、いろんなスタイルが認められ始めて。僕自身もラップバトルに出て結果を残すようになっていたので、徐々に「いい」って言ってくれる人も増えてきて。クラブやライブハウスにも呼んでもらえるようになっていきました。

ーー福岡はある時期まで、わりと強面なヒップホップが主流でしたが、確かにここ最近はRin音さんのほかにもクボタカイさんや週末CITY PLAY BOYZのような、チルなイメージのラッパーが増えてきている印象がありますね。

Rin音:そうですね、自分たちの居場所が増えてきたというか。福岡でMCバトルを開いていたRYOTAさんという方がいて、その人が若い子たちをフックアップしてくれていたんです。それによって若い子たちがどんどん増えてきて、そのぶんジャンルも広がっていったというか。福岡全体のレベルが上がっている気はしますね……って、何目線だよって感じですけど(笑)。

ーー(笑)。Rin音さんの存在が全国的に広く知れ渡ったきっかけになったのは、やはり「snow jam」だと思うんです。TikTokで大きな話題となったことをきっかけに、Spotify国内バイラルチャート1位、 Apple Music総合チャートの9位にまで上昇するなど、各チャートでも軒並みランクインしていますし、この曲はどんなふうに作ったのですか?

Rin音 – snow jam (Official Music Video)

Rin音:最初に思ったのは、歌から始まる曲にしたいということでしたね。それ以外の構成は、逆にほとんどなかったくらい(笑)。歌から始まる曲は昔から「なんかいいな」って思っていて。パラメーターで言うと振り切っている状態というか、とにかくそれがやりたかったんです。リリックも「頑張れ!」みたいなメッセージソングではなく、ただただ自分が思っていることを書いているだけなんですけど、こういう曲構成にしたことで、その世界観に丸ごと浸ってもらえるんじゃないかなと。

ーー曲名もすごく印象的ですよね。

Rin音:曲を作る時はいつもフロウやメロディを先に考えるんですけど、あのメロディに当てはまるいい言葉は何かないかなと考えていた時にふと「snow jam」が思いついたんです。なんとなく語感が可愛らしいし、「traffic jam」(交通渋滞)じゃないですけど、雪がどんどん積もっていく感じと、自分の思いが積もっていく感じをうまく表しているんじゃないかなって。

ーーその「snow jam」も収録されたデビューアルバム『swipe sheep』ですが、何かテーマやコンセプトはありましたか?

Rin音:日本の四季は意識しましたね。自分の生活習慣に深く根付いているというか、夏になれば体育祭があって、秋には文化祭があって……学生時代は季節ごとの行事がいろいろあるじゃないですか。すでに「snow jam」というウインターソングも作っていたし、自分を取り巻く環境が自分の感情を作っているとも思うので、四季に自分の感情を織り交ぜながらアルバムを作ってみるのも面白いかなと思ったんです。

 あと、自分が曲を作る時によく題材にするのが「インターネット」や「睡眠」で、そこも自分のトレードマークだなと思っていて。それでアルバムタイトルも、スマホの操作の一つである「スワイプ」と、寝る時に羊を数えるところから「シープ」を持ってきて、それを掛け合わせてみたんですよね。

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