ONE OK ROCK、親密な空気感とアグレッシブなパフォーマンス 『Eye of the Storm』ツアー最終公演を徹底レポート
ONE OK ROCKが2019年2月にリリースしたアルバム『Eye of the Storm』を携えた国内ツアー『ONE OK ROCK 2019-2020 “Eye of the Storm” JAPAN TOUR』の最終公演を1月30日、国立代々木競技場第一体育館にて行った(追加公演と振替公演は除く)。昨年9月22日、朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンターからスタートしたこのツアーでは11月13日の名古屋公演が延期されるハプニングはあったものの、『Eye of the Storm』という意欲作を持って海外で揉まれた経験が良い形でライブに反映された、ONE OK ROCKの“今”と“これから”をダイレクトに伝える内容で好評を博してきた。そのツアーの集大成となるファイナル公演とあって、会場には血気盛んなオーディエンスが多数詰めかけ、バンドの熱演を今か今かと待ち続けていた。
定刻どおりに会場が暗転すると、ステージ前に下ろされた紗幕にはCGで描かれたTaka(Vo)の顔が映し出され、オープニングSEに合わせて動き続ける。時折挿入されるTakaのスクリームに呼応して、スクリーンのCGも同じように叫ぶなど、徐々に盛り上がりを見せる中、そのままオープニングナンバー「Eye of the Storm」へとなだれ込むと、紗幕の向こうにはONE OK ROCKの4人の姿が。紗幕のCGとメンバーの演奏する姿が重なり合うその“画”と、バンドが繰り出すエモーショナルかつモダンなサウンドが織りなす幻想的な世界に対し、早くもクライマックスと言わんばかりの大歓声が沸き起こる。
ミディアムヘヴィの「Eye of the Storm」で独特の空気を作り上げると、Takaは「今日は俺たちとお前らの集大成にするぞ!」と叫び、疾走感あふれる「Take me to the top」やシンガロングで心をひとつにする「We are」など、近作からの人気ナンバーを立て続けに披露。前作『Ambitions』(2017年)から海外を意識したサウンドへと進化し始めたONE OK ROCKだが、ライブではそういったアルバムからの楽曲と大変革を遂げた『Eye of the Storm』収録曲、さらには『残響リファレンス』(2011年)や『人生×僕=』(2013年)といったファンにはおなじみの代表作からの楽曲がミックスされ、メンバーによるアグレッシブなパフォーマンスで表現されることにより1本芯の通ったものへと昇華されている事実に気づかされる。
実は、『Eye of the Storm』を初めて聴いたときに一番の懸念事項だったのが、バンドの個性を確立させる上で重要な時期の楽曲をどう取り込んでいくか、新曲とどう並べていくかだった。が、そんな心配は無用だったようだ。もちろん、ここまで続けてきたワールドツアーの成果も大きいのだろうが、メンバーはもちろんのこと、客席にいる大勢のファンからもそんな心配は微塵も感じられない。どの曲もイントロが鳴り始めた途端に大歓声を上げ、シンガロングパートでは同じくらい大きな声で歌い続ける。バンドからのメッセージをしっかりと受け止め、どの曲も同じように愛してやまない。そんな幸せな結びつきがこの日のライブからもひしひしと伝わってきた。
序盤のMCでは、メンバーがひとりずつ挨拶をしていく。興味深かったのが、TakaやRyota(Ba)がこの日のライブに対して緊張を覚えていたことだ。そんな2人に対して、クールな表情と言葉でコミュニケーションを図るToru(Gt)、ドラムというポジションで3人を後ろから優しく包み込むTomoya(Dr)からは今日1日を楽しもうという姿勢が伝わり、結果としてこのメンバー同士の関係性も良いバイブスを生み出すことへとつながったのではないかと確信している。
このほか、MCでは観客をステージに上げてトークする場面も。海外でもGreen DayやFoo Fightersがオーディエンスとステージ上で一緒に演奏するなど、その場限りのサプライズを行うことも少なくないが、この日のONE OK ROCKは子どもから大人まで幅広い層とコミュニケーションを図った。特に若い世代にこういうプレゼントをすることが、次の世代のロックシーンへとつながっていくかもしれないと考えると、なんとも粋な計らいだと思わずにはいられない。こういった点でも、バンドとオーディエンスの幸せな関係性を感じずにはいられなかった。