Poppin’Party、Aqours、LiSA、梶裕貴、IDOLiSH7、ヒプマイ……2019年声優/アニソンシーンをライター4氏が総括

LiSA『紅蓮華』

 年々、盛り上がりが増していく声優/アニソンシーン。昨年の『NHK紅白歌合戦』には特別企画枠としてAqoursが出演し話題を呼んだが、今年はアニソンシーンの代表格であるLiSAが初出演。また、『BanG Dream!』(以下、『バンドリ!』)から派生した声優ユニットPoppin’Partyは、SILENT SIRENとコラボ曲を発表し、声優音楽シーンのみに捉われない活動を行った。一方で、男性声優の活躍も見逃せない。音楽原作キャラクターラッププロジェクト『ヒプノシスマイク』(以下、『ヒプマイ』)は、ナゴヤ(Bad Ass Temple)、オオサカ(どついたれ本舗)とディビジョンが追加され、さらなる注目を集めている。また、宮野真守をはじめとした男性声優のメディア出演も増えている。リアルサウンドでは、女性声優、男性声優、アニソンシーンに詳しいライター・流星さとる氏、ナカニシキュウ氏、とみたまい氏、須永兼次氏を取材。2019年における声優/アニソンシーンのトピックやサウンド傾向、さらに2020年以降の潮流について話を聞いた。

流星さとる

Aqoursメンバーの活躍と、『BanG Dream!』派生ユニットの飛躍

 今年の一番大きなトピックは、『ラブライブ!サンシャイン!!』から派生したグループ・Aqoursのメンバーの活躍です。6月に逢田梨香子さんがEP『Principal』でソロ歌手デビューを果たしたことを皮切りに、その他のメンバーもAqours以外での音楽活動を始めました。斉藤朱夏さんは8月にミニアルバム『くつひも』をリリースし、高槻かなこさんは5人組の女性ボーカル&パフォーマンスユニット・BlooDyeを結成、小宮有紗さんはavexからアニソンDJとして活動を始めました。2020年1月には鈴木愛奈さんがランティスからソロデビューすることも決定しています。また、Aqours結成前に歌手デビューを果たしていた小林愛香さんは、トイズファクトリーにレーベルを移籍しシングル『NO LIFE CODE』をリリース、さらに諏訪ななかさんも4月にアーティストデビューすることを発表しています。Aqoursの反響を受けて、各メンバーがソロやユニット活動を活発化させていました。

逢田梨香子「FUTURE LINE」Music Video (Short Ver.)

 また、Poppin’Party、Roselia、RAISE A SUILENといった『バンドリ!』から派生した声優ユニットも大きく飛躍した年でした。Poppin’Partyは、メットライフドームでSILENT SIRENと対バンライブを開催しましたし、RoseliaとRAISE A SUILENも幕張メッセで合同ライブを行っていました。また、幅広いジャンルの音楽雑誌で表紙を飾っていて、人気が高まっていることが伺える一年でした。

【Poppin’Partyコメント付き特別編集版】Poppin’Party×SILENT SIREN「NO GIRL NO CRY」MV

サウンドの多様化が進んだ一年に

 サウンドにおいては、多様化が進んでいきました。例えば、BlooDyeはK-POPを彷彿とさせるような編成ですし、逢田さんと斉藤さんはJ-POPとしても馴染みやすいテイストになっています。また、伊藤美来さんのアルバム『PopSkip』にはシティポップに傾倒した楽曲が入っていますし、ワルキューレのメンバーである西田望見さんは、Shiggy Jr.が好きでメンバーの方に楽曲提供してもらっていました。最近では、「声優アーティスト」に憧れて声優を目指す人が確実に増えていて、個人個人が「自分に合った音楽」もしくは「自分がやりたい音楽」を追及しています。

「この地球の何処かで」MUSIC VIDEO(Full ver.)
伊藤美来 / PEARL

 こうした傾向になった背景として、水樹奈々さんの活躍が大きく影響しているといえるでしょう。水樹さんは10年前に『NHK紅白歌合戦』初出場を果たし、現在に至るまで様々なテレビ番組に出演されています。いわば「声優アーティスト」の象徴的存在です。小さい頃に彼女をはじめとした声優アーティストを見て憧れを抱いた人たちが、続々と声優アーティストとしてデビューしているんです。例えば、今年日本コロムビアからデビューした富田美憂さんは、子供の頃に宮野真守さんや水樹奈々さんに憧れていたことをインタビューで公言しています。特に20代前半の世代は、水樹さんをはじめとした声優アーティストの活躍に強く影響を受けているのではないでしょうか。

今後期待の女性声優アーティストについて

 今年、歌手デビューされた諸星すみれさんです。ミニアルバム『smile』は、非常に良い作品でした。諸星さんは『アナと雪の女王』で少女期のアナ役を務めたりするなどディズニー作品に多数出演されている声優で、『アイカツ!』の主人公・星宮いちごも演じています。元々子役としてデビューされていたこともありとても芸達者な方で、『smile』にもその表現力が発揮されています。少年のようなときもあれば、明るく華やかさのある歌声にもなりますし、フォーク調にも合わせた歌い方も聴かせていたりして、楽曲のテイストごとに歌声をしっかり変えて様々な表現を見せています。改めて素晴らしい作品でした。

2020年以降の女性声優シーンの潮流

 声優はいわゆるマルチタレント化が進んでいて、声のお芝居だけではなく様々なスキルを求められています。Poppin’PartyやRoseliaのメンバーは実際に自ら楽曲を演奏していますし、『ラブライブ!』や『アイドルマスター』はアイドルのように歌って踊るパフォーマンス、2.5次元的なライブを行っていて、今後もその潮流は続くかと思います。来年以降は、声優さんが別のシーンに流入していったり、逆に別のシーンから声優になる人がさらに増えるようになるのではないかと思います。

 例えば、小岩井ことりさんは、DTMオタクかつメタルオタクであることからメタルユニット・Dual Alter Worldを結成しました。一方で今年声優デビューした結城萌子さんは、元々Tokyo Recordingsで綿めぐみ名義で歌手活動をしていた経歴があります。様々なシーンが混同していく傾向へと進んでいくのではないでしょうか。

Dual Alter World『chaos effect』MUSIC VIDEO
綿めぐみ 「ブラインドマン」 【オフィシャルトレイラー】

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