Da-iCE、音楽通も推したくなる“楽曲主義”の一面 群雄割拠のシーンで際立つクリエイティブ力
最近の男性ダンスボーカルグループを見ていると、歌って踊れて、おまけに顔も良くてという典型的なアイドル性は、あくまで最低ラインとして課せられた条件に過ぎないことを痛感させられる。要は、シーン全体でパフォーマンス水準がすこぶる高くなっているのだ。よって、ここ数年は群雄割拠の様相を呈しているが、その中でも心から勧められるグループを選ぶとするならば、筆者は真っ先にDa-iCE(ダイス)の名を挙げたい。あのAAAの弟分を肩書きに登場した彼らも、2019年1月でメジャーデビュー5周年の節目を達成。先日にはニューシングル『BACK TO BACK』をリリースし、2020年1月には初となる代々木第一体育館公演の開催も決定するなど、人気は落ち着くどころか恐るべきスピードで加速しつつある。男の筆者でも、いや、世の中の誰であろうと、Da-iCEにハマるポテンシャルは多分に秘めていると断言できる。少なくとも、音楽を聴くことが好きでさえあれば、必ず。
Da-iCEは、工藤大輝、岩岡徹、大野雄大、花村想太、和田颯からなる5人組。花村と大野がツインボーカルを務め、工藤、岩岡、和田の3名がパフォーマーとしてダンスを行う編成。もっとも、楽曲によってはパフォーマー勢がフォーメーションの中心を担うケースがままあるほか、花村と大野も歌いながら踊るスタイルを取るため、一概にボーカル優先ではなく、それぞれに均等な見せ場があるグループと言っていい。2011年に活動を開始した後、翌2012年にはインディーズで初のミニアルバム『Da-iCE』を発表。ライブ会場へ押し寄せるファンも日に日に増加を辿る中、2014年1月にシングル『SHOUT IT OUT』を発売。めでたくメジャーの扉を開いた。
当時、歌番組で彼らのパフォーマンスを目の当たりにした際、「お、こんなにがっつり踊れるのか」と感心したのを憶えている。楽曲のリズムと体の動きがシンクロしていない場合、仮に歌唱が秀でていたとしても観ている側としては興醒めしてしまうものだが、彼らは違った。基礎から鍛え込んだと思しきキレのあるモーションで、ダンスボーカルグループ界きってのルーキーぶりを全身全霊で、華麗にアピールして見せたのである。以来、Da-iCEを取り巻くダンスの概念はスキル、環境ともに強化されていき、YouTubeのプラクティス動画は100万回再生を超えるものも。また、三浦大知などのバックダンサーとしても知られる4人組ダンスパフォーマンスグループ・s**t kingz(シットキングス)の面々が多くの楽曲の振り付けを担当しており、本格派でありながら親しみやすいDa-iCEのステージ作りにひと役買っている。
Da-iCEを語る上では、ボーカル面についても触れておかなければならない。というのも、彼らが有する“二つの声”はあまりに対照的にして、このグループをユニークたらしめている特筆すべきポイントなのだ。花村想太は、AAAの西島隆弘(Nissy)を彷彿させる超ハイトーンボイスの持ち主。あどけなさを纏った活発な節回しを得意とする一方で、バラードを中心にロートーンも聴かせる、まさに男性ダンスボーカルグループに必要不可欠なムードメーカー的シンガーである。翻って、大野雄大はハスキーで艶っぽい成分が持ち味の、王子様顔負けのセクシーボイス。所作の節々に上品なニュアンスが見て取れ、声を張り上げた際に生じる自然体な余韻は琴線に触れやすい。この2名が事あるごとに爽快なケミストリーを巻き起こすのだからさあ大変。先述の「BACK TO BACK」だけを例に見ても、抜けの良い花村+ややスモーキーな大野が、代わる代わる阿吽の呼吸で盛り上げていく様が極めてドラマティックで癖になる。