UVERworldは変わらないために変わり続けるーーアルバム『UNSER』大胆にして革新的なサウンドへの挑戦

UVERworld『UNSER』レビュー

 “期待に応え、予想を裏切る”“変わらないために変わり続ける”。常に革新的な表現にトライし、ファンを惹きつけ続けるアーティストに向けられるこれらの常套句は、UVERworldにこそよく似合う。

 楽曲のサウンドメイク、メッセージ性、ライブパフォーマンスなど、音楽活動に関わるすべてのファクターを精査することで、こちらのイメージを大きく超える前進を続けてきたUVERworld。そのスタンスがこれまで以上に強く反映されているのが、12月4日にリリースされたアルバム『UNSER』だ。このタイトルは、ドイツ語の「UNSER(俺たちの)」と英語の「ANSWER(答え)」を組み合わせた造語。”俺たちの答え“という思いを込めた本作には、音楽シーンの半歩前を進み、オーディエンス(そして、彼らをリスペクトする下の世代のアーティストを)牽引しているUVERworldの新たな表現がはっきりと刻み込まれている。

 バンドが次のタームに突入したことを高らかに告げる『UNSER』。本作に至る最初のスタートは、2018年7月に発売されたベスト盤『ALL TIME BEST』だったと思う。「7th Trigger」「CORE PRIDE」「PRAYING RUN」「在るべき形」「7日目の決意」といったアンセムが収められた本作は、文字通り、この時点での彼らの集大成だった。ヘビィロック、エレクトロ、ヒップホップなどを融合させたハイブリッドなバンドサウンド、TAKUYA∞の生き方、考え方、価値観などが色濃く描かれたリリックを軸にしたUVERworldの音楽性は、2018年の時点で完全に確立されていたと言っていい。

 音楽性の確立は、バンドにとって大きな分岐点でもある。同じスタイルを継続することで表現を深めるか、まったく違うテイストを持ち込むことで、さらなる前進を続けるかーーどちらが良くてどちらが悪いという話ではないが、UVERworldは当然のように後者を選択した。変化のポイントは、現行のヒップホップ、R&Bへのアプローチ。

 ポスト・マローン、チャンス・ザ・ラッパーに象徴される現在の海外シーンの潮流を取り入れながら、新たなサウンドを提示する。その刺激的なトライアルは、『ALL TIME BEST』以降にリリースされたシングル群『ODD FUTURE』『GOOD and EVIL/EDENへ』『Touch off』に明確に表れていた。これらの楽曲はすでにライブでも重要な場面でプレイされ、オーディエンスの熱狂を生み出している。これまで親しまれてきた楽曲とはまったくテイストが異なるが、メンバーの音楽的欲求に則した“今やりたいこと”を真っ直ぐに表現し、それをしっかりと受け止めるファンの関係は本当に理想的だ。

UVERworld 『ODD FUTURE』
UVERworld 『Touch off』Short Ver.

 前作アルバム『TYCOON』、ベストアルバム『ALL TIME BEST』を経て届けられた本作は、シングルの制作で得たスキルと経験をさらに研ぎ澄ませ、UVERworldの新たなスタイルを打ち立てた作品だ。まず記しておきたいのは、海外のクリエイターとのコラボレーション。特にアメリカのポップバンド、After Romeoのフロントマンであり、K-POP、J-POPのアーティストに楽曲提供も行っているドリュー・ライアン・スコットの存在はきわめて大きい。たとえば1曲目の「Making it Drive」。インディーR&B、EDM、ヒップホップを結合させたトラックメイク、ラップと歌をナチュラルにつなぐボーカルが印象的なこの曲は、アルバムを象徴するナンバーの一つであり、彼らが目指している音楽性を端的に示している。

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