KAT-TUN 上田竜也は現代の大人たちにこそ沁みる 心の叫びを受け止める場所に
KAT-TUN上田竜也が、本日10月4日に36歳の誕生日を迎えた。ジャニーズ事務所に入って21年、KAT-TUNとして活動を始めて18年、CDデビューをして13年。純朴な少年から、天然系、ビジュアル系、ロック系、あざと可愛い系、スポ根系、オラオラ系……振り返れば、上田ほどキャラクターが変化してきたアイドルも珍しい。
イメージチェンジを繰り返してきた上田に、不思議と“ブレている“と感じないのは、「好きなものにとことんハマる」というまっすぐさと、「KAT-TUN上田竜也として生きる」という覚悟が見えるからではないか。
メンバーの脱退が続いたKAT-TUN。近年の上田を見ると、去ったメンバーの魅力を踏襲しながら、より“強い男“へと変貌しているように感じる。人数が減ったとしても、KAT-TUNの存在感が小さくなることのないように。グループに必要な要素と、自分自身の魅力や表現力の調和に試行錯誤しながら、彼は進化してきたように見える。
ここ数年の上田は、すっかりヤンキー系が定着した。ファンに対しても「くそ野郎ども」と呼びかけ、コンサートではバイクを乗り回すパフォーマンスを披露することも。それは、まさにKAT-TUNの原風景ともいえる光景だ。結成された当初のコンセプト「ブラック&ワイルド」を体現しているようにも見える。
キラキラな王子様のイメージが強いジャニーズアイドルの中で、異色のワイルドさを売りにデビューしたKAT-TUN。そのワイルドさを地で行くメンバーだったことから、半数がそれぞれの道を歩んでいったとも言える。
KAT-TUNのセックスシンボルであり続ける亀梨和也と、ヒューマンビートボックスなど独自路線を突き進む中丸雄一。ある意味マイペースなふたりを前に、上田が見出した役割は“KAT-TUNらしさ“の継承だったのかもしれない。
もちろん、ファンは彼が根は育ちのいい真面目な好青年だということも、中丸からは「ビジネスヤンキー」と言われているのも知っている。それでも、彼のヤンキーキャラを楽しめるのは、どこかテーマパークを楽しむ感覚に似ている。上田が守る“KAT-TUNらしさ“は、ファンが共通して思い描く“KAT-TUNランド“という空間を築き上げ、彼がワイルドな言動を繰り広げることで、みんながそこで楽しもうというモードにすんなりと入れるのだ。
その最たる例が、最新アルバム『IGNITE』に収録された上田のソロ曲「百花繚乱」。重厚なギターサウンドに乗せて、デスボイスで歌い上げるラップソングは、KAT-TUNを知らない人が聞けば、“これが本当にジャニーズの歌?“と思わせる楽曲だ。
先日閉幕したライブツアーでは、まさにジャニーズらしからぬ演出も。「俺より上手く歌えるヤツいるか?」「俺とタイマン張れるヤツいねーのか?」と煽りまくり、観客を一人ひとりステージに上げてラップバトルを繰り広げたことで大きな話題となった。
通常のアイドルのライブであれば、他の観客から悲鳴が聞こえてきそうなものだが、そこは上田のファン。真面目そうな女性がステージに上がるやいなや、「上田をブッ潰す! 会場ブチアゲんぞ!」の勢いでマイクを握る。さらに、観客たちも「いけー! 上田を倒せ!」の勢いで応援するのだから、最高だ。
喧嘩をしてこそ絆が深まる。そんなヤンキー漫画のように、男性アイドルと女性ファンが歌で喧嘩して盛り上がるなんて前代未聞だ。だが、それが成立してしまうのが、上田の仕掛けた“KAT-TUNランド“感。いつもの自分とは少し違う自分になりきることで、現実世界から少しだけ解放される。そんなライブが楽しくないわけがない。
またツアー中、上田が「アニキ」と慕っている嵐の櫻井翔が参戦した神公演もあった。櫻井もまた“サクラップ“を披露する際には、高学歴&優等生の櫻井翔を少しだけ横に置いて、ワイルドな自分を解放させているように見える。