マーティ・フリードマン×萩原健太が語る、クイーン後期の変貌と80's音楽シーンの潮流
マーティ・フリードマンのお薦めは「Somebody To Love」
イベントでは、事前に集めたマーティへの質問にも答えた。「好きなギタリストは?」という質問には、まずはBostonのトム・ショルツを挙げ、「A Man I'll Never Be(遥かなる想い)」は、鳥が鳴いているような美しいメロディのギターが印象的とのこと。2番目には、The Carsのエリオット・イーストン。「Touch and Go」を挙げ、「ギターソロは変態のメロディ(笑)。ブルージーだけどいろんな解釈のできる、その曲にとって意味のあるメロディだ」と評した。そして最後にパット・ベネターの「Wuthering Heights(嵐が丘)」のギターを弾くニール・ジェラルドを挙げる。「ギターソロはケツが大事。曲につながるケツがある」と、けだし名言。
このイベントの根底のテーマである映画『ボヘミアン・ラプソディ』については、「ギターの音に感動した」とマーティは話す。「映画館でぜひ聴いてほしい。これ以上の良い音はない。“これは天国の音です”」。また映画が始まる時の、20世紀FOXのロゴが表示される時の音も、Queenのブライアン・メイがそのためにわざわざ弾いているとのこと。「歪んだギターの音は、美しいとウザイの絶妙なバランスを保っている。こんなに音に感動した映画はこれが初めてだった」と語った。
また「カバーしてがっかりした曲」として、1982年のQueenのアルバム『Hot Space』に収録された「Under Pressure」を挙げた。デヴィッド・ボウイとQueenによる豪華なコラボによる楽曲だが、「まるでウナギとアイスクリーム。両方好きだけど、合わせると美味しくなくなる」と、絶妙な例えを繰り出して会場を笑わせた。
そんなマーティのおすすめのQueenナンバーを問われると、ブライアン・メイのプレイを例に挙げながら、「Somebody To Love(愛にすべてを)」と答えた。「彼の演奏はギターの元祖と言える。例えば『Killer Queen』もそう。メロディアスでチューニングも良いし、そういうギターを弾く人はそれ以前にいなかった。ギターソロにおけるひいおじいちゃんだね。自分でもそう弾きたいのに弾けない、だからこそ憧れます」(マーティ)。
来年1月には、Queenのオリジナルメンバーでギタリストのブライアン・メイとドラマーのロジャー・テイラーが、ボーカルのアダム・ランバートを加えて来日公演を開催する予定。ますます盛り上がりを見せるQueen熱に寄せて、次回も開かれることを期待したい。
(取材・文=榑林史章/写真=stereo)