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『Fantasia』リリースインタビュー

ALI PROJECT 宝野アリカが語る、『Fantasia』で描いたインディーズ時代にも通じる“創作の原点”

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 デビュー27年の今年も、ALI PROJECTのニューアルバムが聴けるという至福。アニソンとしてのキャッチーなポップス職人の側面と、プログレや現代アートを引き合いに出される独創的な音楽発明家の側面を両輪に、孤高の道を行くアリプロにもっと光を。

ALI PROJECT「Fantasia」trailer映像

 最新作『Fantasia』は、優美で幻想的な世界観をこれまで以上に押し出した片倉三起也(Key)による楽曲と、ファンタジーの裏側にそっと毒をしのばせる宝野アリカ(Vo)の歌詞が溶け合った、アリプロ初心者にも入りやすい1枚。制作の背景と歌詞に詰め込んだ思いについて、宝野アリカに話を聞いた。(宮本英夫)

童話やSF文学からインスパイアされた楽曲たち

ーーつくづく思いますけど、ずっと年イチでアルバムを出し続けるアリプロ(ALI PROJECT)のバイタリティは、本当にすごいなと。

宝野アリカ(以下、宝野):年々、辛くなりますけどね(笑)。でも、これが仕事だと思っているので。

ーー素敵です。毎回タイトルを決めてから作っていくのが、アリプロのアルバムの恒例ですけれど、今回は?

宝野:前回がハードな内容だったので、「もうちょっとやわらかいものにしましょう」と。「幸せな気持ちで作れるように」ということで、「なんとかファンタジー」というものを考えて、結局『Fantasia』になりました。音楽用語でもありますし。

ーーファンタジア=幻想曲ですね。

宝野:文字通り、幻想的なものという意味もありますし。楽に、というわけではないけれど、幸せな気持ちで作れるかな? と。でもあまりにも幅が広すぎて、ちょっと難しかったかなとは思います。去年の『芸術変態論』のような、ガツン! としたタイトルのほうが、もしかしたら作りやすかった気もしますね。

ーーパッとタイトルを聞くと、ディズニーを連想する人が多いと思うんですけどね。

宝野:ああ、そうですよね。でもほら、私はネズミーランドとか言ってるぐらいだし(笑)。そういうファンタジーではないです。

ーーアリカさんにとって、ファンタジーとは? たとえば本とか、映画とか、そういうもので言うと。

宝野:子どもの頃のおとぎ話かな。私たち昭和の世代は、絵本で育つじゃないですか。すごく綺麗な挿絵の絵本がいっぱいあって、『人魚姫』『白雪姫』『シンデレラ』も、ディズニーの絵ではなくて、外国の画家が書いたものも多かったですね。すごく綺麗だったし、女の子は憧れましたね。やっぱりそこが基本かな。あとは、少年少女文学全集みたいなものを、ママに読み聞かせられて寝ていたんですよ。『小公女』『トム・ソーヤーの冒険』とか。私の中のファンタジーは、その世界ですね。あとは、最近は『ハリー・ポッター』ですね。魔法使いの世界だし、これぞファンタジーという気がする。

ーーそういうファンタジーの原点みたいなものがアリカさんの中にあって……。

宝野:私、中学校の時、本当に本ばかり読んでいたんですけど、ファンタジーものと童話ばかり読んでいたんです。佐藤さとるとか、立原えりかとか、ああいう童話をたくさん読んで、逃避していた時代ですね。

ーーSFとはちょっと違いますか。

宝野:SFも読んでいました。星新一さん、筒井康隆さん、眉村卓さんとか、そこらへんの世界に浸っている時期がありましたね。

ーーそのへんの世界観は、今回のアルバムでも感じ取れる気がしますね。あと、アルバムを聴いてもう一個感じたのが、レトロフューチャーというか、スチームパンク的な世界観がけっこう出てくるなと。

宝野:ああ、そうね。それは昔からテーマとしてあります。「未來のイヴ」もそうだし。現在は過去から見た未来だから、過去の視点から未来として現在を見るとか、時空を行き来するような感覚が好きなので、今回もそういう曲がありますね。「ファンタジーにはSFも入るよな」と思ったので。

ーーちなみに、アルバムで一番初めに書いた歌詞はどれですか。

宝野:1曲目の「BArADiPArADicA」です。これは何回も書き直して、この呪文の言葉は、最初は入っていなかったんですよ。あまりにも長いし、サビを何回も繰り返すし、いっぱい言葉を詰め込んでいたんだけど、片倉さんが「ビビディ・バビディ・ブー」みたいな呪文があったらいいんじゃない? って。「オリジナルの呪文にしたらいいんじゃない?」と言われて、そうだよなと思って、でもなかなか考え付かなくて。「ビビディ・バビディ・ブー」はそのまま使えるのかな? と思って、調べてもらったら、あれはディズニーのオリジナルなんですって。

ーーあ、そうなんですね。

宝野:「ABRACADABRA」は、古語らしいですけど。それで「BArADiPArADicA」という意味のない言葉を、一生懸命創作しました。表記もぐちゃぐちゃなんですよ。CDのブックレットでは、Aがひっくり返ったりしていて。

ーーあ、本当だ。

宝野:ちょっと工夫したんですけど、メディアに乗せる時には普通にしています(笑)。

ーー「BArADiPArADicA」は、疾走感あるテクノポップ+ロック調で、アルバムのオープニングにふさわしい曲になりました。

宝野:曲もいかにもアリプロだし、『ローゼンメイデン』の主題歌にしてもいいような曲ですね。ともかく速いんですよ。私、自分の曲はほとんど聴かないんですけど、たまに聴くと、「回転数速くない?」っていつも思う(笑)。でもこれが正常な速さです。

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