「CUT IT UP feat. CL & AFROJACK」インタビュー
LDH楽曲がアジア諸国で異例のヒット記録! PKCZ®︎が語る、国境を超えたコラボへの挑戦
PKCZ®︎が6月4日、ヒップホップをメインにアジアンカルチャーを世界中に発信するレーベル<88rising>よりリリースしたシングル『CUT IT UP feat.CL & AFROJACK』が、アジア各国を中心に大きな話題となっている。2NE1の元リーダーとしてカリスマ的人気を誇るラッパーのCL、世界的DJでありLDH EUROPEのCEOも務めるAFROJACKをフィーチャリングゲストに迎えた本作は、リリース直後のiTunesランキングで、フィリピン3位、シンガポール8位、ベトナム9位の記録を達成。YouTubeにアップされたMVの再生回数は、6月19日時点で113万回を突破するなど、国内シーンを越えた拡がりを見せている。日本、韓国、アメリカ、そしてオランダと、世界を股にかけたコラボレーションは、どのように実現したのか。PKCZ®︎のメンバーであるEXILE MAKIDAI、VERBAL、DJ DARUMAの三人に詳しい話を聞いた。(編集部)
DARUMA「CLさんの発信力が特にすごい」
ーー本作「CUT IT UP feat.CL & AFROJACK」は、スヌープ・ドッグと三代目J Soul BrothersのELLYことCRAZYBOY、そしてLAのトラックメイカーYULTRONを迎えて話題となった「BOW DOWN FT. CRAZYBOY from EXILE TRIBE」(2018年2月リリース)以来となる世界的なコラボレーション楽曲です。まずは手応えを教えてください。
VERBAL:僕はまだ反響のすべてをチェックできているわけではないのですが、周囲の方々から「CLが戻ってきたんだ!」とか「ようやく出ましたね!」と言った反響があって、やはりインパクトのあるコラボレーションだったのだなと実感しています。
MAKIDAI:SNSの書き込みには、好意的なコメントが多くて嬉しいです。CLさんとAFROJACKさんも、それぞれのSNSに「斬」の文字が入ったジャケットをポストしてくれたので、そこからのアクセスも多いみたいです。
DARUMA:CLさんの発信力が特にすごいですね。軽く情報出しをした時点で、鬼のようにバズっていました。それと、ちょうど今日行ったお店の店員さんに、「DARUMAさん、新曲楽しみにしていました!」と声をかけてもらって、日本でもヘッズ達がチェックしてくれているんだなと感じました。88risingからのリリースというのもインパクトがあって、今回は本当に様々な角度から反響があります。
ーー今回のコラボレーションの経緯は?
VERBAL:<88rising>と組んで何かをやりたいという話は何年も前からあったのですが、2年前くらいから急接近して、前作の「BOW DOWN」でMVを制作してもらったところから一緒に制作を行うようになりました。<88rising>は音楽レーベルとしてだけではなく、映像制作やメディアの機能も持っていて、ヒップホップを軸にアジアンカルチャーを発信していくという理念も含めて、僕たちが所属するLDHに近しいものを感じていました。その後、<88rising>のコンピレーションアルバム『Head In The Clouds』に収録された「Japan 88」という曲に僕も参加させていただいたりと、交流を続けてきて、今作に至ったというわけです。今回はCLやAFROJACKが参加していることも含めて、LDHと<88rising>の両方にとって良いパートナーシップになったのではないかと感じています。
ーーPKCZ®︎というユニット自体も、様々なアーティストを繋げるプラットフォームのような役割を担っていると感じているのですが、その辺りはどれくらい意識しているのでしょうか?
DARUMA:音楽的に色々な要素をミックスするのはもちろん、国境を越えて様々な人を巻き込み、新しいものを生み出そうという意識はもちろんあります。僕らはまだ、メディアと言えるほどの発信力はないかもしれませんが、発想としては<88rising>と近い部分があると思います。
VERBAL:<88rising>が面白いのは、インターネットを使ってアジアから新しい才能を発掘して、自分たちの発信力でスターにしていっているんですよね。インドネシアのリッチ・ブライアンはもともとYouTuberみたいな活動をしていて、その延長でラップを披露してバズったのを、<88rising>CEOのショーン・ミヤシロ氏が見つけて、実際にデビューさせて人気ラッパーに育てました。これまでに若いアジア人のために何かをしようというレコード会社やレーベルはなかったから、おそらく<88rising>は、自分たちで発信力を持たなければいけなかったのだと思います。それが結果として、ユニークな体制に繋がっていったのかなと。PKCZ®︎独自の活動も、日本では他にやっている人がいないし、だからこそ自分たちで風穴を開けなくてはいけなくて、<88rising>はそういう僕らの姿勢にも共感してくれたのかもしれません。
MAKIDAI:新しい仲間との出会いを大事にして、それを自分たちのエンタテインメントに反映していこうという柔軟な姿勢は、LDHにも根付いています。LDHとしての芯は持ちつつも、いろんな人と力を合わせていくことで、よりクリエイティブな作品が生まれると考えているので。海外でも活躍するCLさんと、世界で活躍するDJであり音楽プロデューサーのAFROJACKさんを迎えて、アジア発の才能を世界に届けている<88rising>からリリースするというのは、僕らにとってもすごく意義深いことです。DARUMA氏もDJやファッションデザイナーとして様々なシーンに足跡を残してきた存在ですし、VERBALくんも国境を越えるコラボレーションを実現してきた方で、「CUT IT UP」はそんな僕らのクリエイティブが結集した作品と言えると思います。
ーー本作はどのような流れで制作していったのですか?
VERBAL:1年以上前の話ですが、PKCZ®︎としていろんな楽曲を制作するために、プロデューサーやトップライナーを集めて、僕がロサンゼルスでライティング・キャンプ(合宿)を行ったんです。その後、みんなでかっこいいと思ったトラックが、「CUT IT UP」の原型になって、普通なら「put your hands up」と歌うところを「cut it up,cut it up」と歌って、カニみたいにチョキチョキやったら面白いよね、というところからトップラインができました。これはユニークでフレッシュだから、ほかにもロサンゼルスにいるアーティストを呼ぼうということになって、ちょうどCLがいたので、「ちょっと聴いてみてくれない?」と声をかけたら、すぐに「これ、超良いね!」という反応があって、一緒にやろうということになりました。彼女とは2NE1の頃にm-floでフィーチャリングしたこともあったし、自分が面白いと思った作品にはノッてくれるタイプなので、話は早かったです。
MAKIDAI:PKCZ®︎は様々なゲストを迎えるユニットなので、制作の流れは曲ごとに変わってくるんですけれど、今回はトラックありきだったので、プロデューサー的な仕事がメインでした。楽曲のコンセプトやMVのイメージを僕らで固めていって、VERBALくんがゲストにオファーして、制作はみんなで行うという形です。
DARUMA:CLさんが米デビューした「Lifted」では、Wu-Tang Clanの「Method Man」をがっつりサンプリングしていたこともあって、僕らはずっと彼女にシンパシーを感じていたんです(PKCZ®︎は「INTO THE CIRCLE」でMethod Manとフィーチャリングしている)。それに、「CUT IT UP」のトラックを聴いた時点で、CLさんなら絶対にハマるという確信もありました。ニック(AFROJACK)は、日本に来たときにMVに出てもらおうという話が出て、せっかくだからエディットも依頼しようということになりました。
ーー「CUT IT UP」のジャケットは「斬」という一文字が目を引きます。改めて、この作品のコンセプトを教えてください。
VERBAL:「CUT IT UP」は、トップラインとしての響きの良さから曲を作っていったんですけれど、不必要なものはカットして行こうとか、新しい地平を切り拓いて行こうとか、結果として今の自分たちにもハマるような、いろんな意味を込めることができました。MVの『キル・ビル』オマージュも、ばっちりハマった感じです。
MAKIDAI:『キル・ビル』と、殺陣の「斬る」も掛けてます。『キル・ビル』で描かれる日本のイメージは、実際の日本のイメージとは多少は異なるんですが、それをあえて僕らが引用するのは、海外の方にも受けが良いかなと。
DARUMA:楽曲に関しては、これまでは割と派手な感じのものが多かったけれど、今作はミドルテンポで音数も少なくて、フェスというよりクラブのフロアに向いたグルーヴになっていると思います。アジアからの反響が大きいので、世界各国の様々なフロアでドロップされることを期待したいです。