米津玄師、ボカロ曲初投稿から10年 ハチ楽曲に見るクリエイティブの原点

 5月20日にTwitterで、「今日はハチとしてボカロ曲作り始めてからちょうど10年らしいです。もうそんな経ったのか。早いもんですね。これからもよろしく。」とツイートした米津玄師。今年1月、ドラマ『アンナチュラル』(TBS系)の主題歌だった「Lemon」(2018年3月リリース)が、日本レコード協会にて“史上最速”の200万DL認定を達成(参考:Musicman-net)。その他にも様々な記録を更新して音楽史を塗り替えていることは、米津にとっても予想の範疇を飛び越えた出来事だろう。しかし振り返って見ると、ハチとしてニコニコ動画で活動していた当時から、米津はボカロPとして現在と同じようにシーンに大きな影響を与えてきたように思う。

ハチ『花束と水葬』

 2009年にボカロP・ハチとして、ニコニコ動画などの動画サイトで、ボカロ楽曲制作を始めた米津は、2010年に現実逃避P(wowaka)、DECO*27と並び、シーンを席巻するうちのひとりとなった。ハチとしての最初の投稿作品は、2009年5月20日の「お姫様は電子音で眠る」。不意な沈黙やセリフのパートを入れる曲構成、物語性の高い歌詞など、後に同曲に対して視聴者が様々な考察をあげているように楽曲への誘引力がすでに凄まじい。

 幼少期から漫画家志望でもあったハチは、2作目の「Persona Alice」以降、自身によるイラストでMVを手がけるようになる。彼の手がけるMVが、当時流行していたほかのボカロPのMVと異なっていたのは、イントロ、間奏、アウトロといった節目となる部分に、歌詞にはない文章を書くこと。そうすることでMVは、まるで読み進めるほどに腑に落ちていく一冊の本のようになっていたのだ。

 内容も一貫して、おとぎ話の性質が強いのが、ハチの楽曲の特徴と言える。なかでも、ハチの楽曲に登場する主人公は、孤独でありながらも、他者との出会いを通して、温かい気持ちを持つようになる少女であることが多い。また、人物のほか、猫などの動物名を歌詞に入れる、あるいは、MVに挿し込むことで、楽曲全体が温かみのあるものになっている。サウンド面も典型的なバウンドサウンドではなく、あえてマーチングバンド要素の強いサウンドを主体とすることも、よりおとぎ話のイメージを強くさせる。

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