西廣智一の新譜キュレーション
L.A. Guns、Buckcherry、The Treatment……80年代ハードロックを継承する新譜10選
解散〜再結成を経て、現在もなお活動を続けるハードロックバンドは数多く存在しますが、往年の人気バンドのメンバーが一堂に会して新バンドを結成するケースも少なくありません。ここからはそういった“オールドウェーブによるニューカマー”をいくつか紹介していきましょう。
今年1月に1stフルアルバム『Get It Out』をリリースしたAltitudes & Attitudeは、Megadethのデイヴィッド・エルフソンとAnthraxのフランク・ベロという大御所スラッシュメタルバンドのベーシストたちが結成したスーパーバンド。フランクがボーカル&ギターを務め、デイヴィッドがベース、A Perfect CircleやAshes Divideなどで活躍したジェフ・フリーデルがドラムというトリオ編成で活動しています。
どうしてもMegadethやAnthraxに近いサウンドをイメージしがちですが、このアルバムで展開されているのはFoo Fightersにも似たオルタナ経由のアメリカンハードロック。親しみやすいメロディとフックが効いたバンドアンサンブルは非常に現代的で、MegadethやAnthraxに疎い非メタルリスナーにも十分にアピールする内容です。
Motley Crueと同時期に活躍したDokkenの黄金期メンバーであるジョージ・リンチ(Gt)、ジェフ・ピルソン(Ba)、ミック・ブラウン(Dr)が、現Warrantのロバート・メイソン(Vo)を迎えて新たに結成したのが、The End Machine。この3月にデビューアルバム『The End Machine』を発表しました。
アルバムは近年のジョージの趣味が反映された、ブルージーな正統派ハードロックが中心。そんな中にパワフルなミドルナンバーや攻撃的なアップチューン、憂いに満ちたバラードも含まれており、往年のDokkenを彷彿とさせるフレーズやコーラスも飛び出すなど、ニヤリとする要素も満載です。そんな楽曲群をロバートが時にパワフルに、時に繊細にと器用に歌いこなし、良い味を出しています。
ブルース・ディッキンソンやロブ・ハルフォードとの共演や、Helloweenやイングヴェイ・マルムスティーンなどの作品のプロデュースでも知られるギタリストのロイ・Z。彼がかつて在籍していたTribe Of Gypsiesのチャス・ウェスト(Vo)と結成したWest Boundは、先ごろデビューアルバム『Volume I』をリリースしたばかりです。
数々の大御所たちとタッグを組んできたロイの才能とセンスが発揮された今作は、グルーヴィーなミドルチューンからクラシカルなメタルチューン、チャスの圧倒的なボーカルワークが楽しめるバラードまでバラエティに富んだナンバー満載。ロイのギターワークもテクニカルなものから渋いアコースティックまで、多彩さを味わうことができます。
Bad CompanyやHumble Pieといった伝説的ロックバンドにも在籍した経歴を持つデイヴ・“バケット”・コルウェルが結成したBuckets Rebel Heartは、昨年12月の本国リリースに続いて日本でも年明け1月下旬にデビューアルバム『20 Good Summers』をリリースしています。
ポール・“タフ”・エドワーズ(Dr)が、ジム・スタップリー(Vo)、トム・スワン(Ba)といった盟友たちと制作したこのアルバムでは、ヘヴィメタル以前の伝統的なブリティッシュロックをベースに、レイドバックしたブルースロックやカントリーテイストのスローナンバーなどを多数収録。The Georgia Satellitesのリック・リチャーズ(Voとして参加)や、故スティーヴ・マリオットの実娘モリー・マリオット(Voとして参加)、Michael Schenker Festのスティーヴ・マン(Hornとして参加)などのゲスト陣も、年季モノのウィスキー並みに味わい深い楽曲群に華を添えています。