L.A. Guns、Buckcherry、The Treatment……80年代ハードロックを継承する新譜10選

 最後に2010年代に登場した、今後のシーンを担っていくであろうハードロックバンド2組を紹介して、今回の連載を終えたいと思います。

 1組目はイギリス・ケンブリッジをベースに活動する5人組バンドThe Treatment。『Ozzfest Japan 2013』での来日経験を持つ彼らはデビュー当時20代前半だったにも関わらず、70年代のUFOやThin Lizzy、往年のAerosmithやGuns N' Rosesをイメージさせる楽曲&サウンドで好評を博しました。

The Treatment『Power Crazy』

 通算4作目のアルバムとなる『Power Crazy』では過去3作同様、上記のような先陣たちを思い起こさせる正統派ハードロックを展開。デジタルコーティングされたサウンドの多いモダンロックにはない生々しさや躍動感あふれる演奏、今作から参加するトム・ランプトン(Vo)の歌声からは往年のAC/DCにも似たものを感じます。今やクラシックロックと呼ばれる往年のロックサウンドをそのまま現代にトレースしたような本作は、1周回って新鮮ではないでしょうか。

The Treatment - "Hang Them High" (Official Music Video) #RockAintDead

 そしてもう1組は、日本デビュー前に来日公演を行なった経験を持つフィンランド出身の5人組バンドTemple Balls。20代半ばという若手の彼らは、デビュー作『Traded Dreams』(2017年)に続く2ndアルバム『Untamed』を先日リリースしたばかりです。

Temple Balls『Untamed』

 もともとはヘアメタルバンドだったという経歴の持ち主ですが、今作で表現されている強いビートと疾走感のあるハードロックサウンドに流麗なメロディ、分厚いコーラス&ハーモニーなどには実に北欧バンドらしいものがあり、今回紹介したバンドの中でも随一の独特な香りを発しています。細部にまでこだわったサウンドメイキングは先のThe Treatmentとは対照的ですが、こういったバンドたちがこの先のシーンをどう切り開いていくのか楽しみなところです。

Temple Balls - Distorted Emotions (OFFICIAL MUSIC VIDEO)

 

■西廣智一(にしびろともかず) Twitter
音楽系ライター。2006年よりライターとしての活動を開始し、「ナタリー」の立ち上げに参加する。2014年12月からフリーランスとなり、WEBや雑誌でインタビューやコラム、ディスクレビューを執筆。乃木坂46からオジー・オズボーンまで、インタビューしたアーティストは多岐にわたる。

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