「ハーフタイムショー」はなぜ物議を醸した? Maroon 5出演背景からパフォーマンスまで解説

 2010年代「ハーフタイムショー」といえば「現役ヒットメイカーなメガポップスター」の祭典だ。Maroon 5もこの枠に入る。実は、これらのイメージは、『スーパーボウル』史において常ではない。NewYorkTimesが「ハーフタイムショー」の変遷をまとめているが、直近では2000年代の後半期にポール・マッカートニーやThe Rolling Stonesなど「ロックの大御所」登用が続いていた。2004年にジャネット・ジャクソンらの露出事件が大問題となり、NFLが安全な路線を選択したためとされる。2010年代からはポップが主役に舞い戻り、マドンナとビヨンセが「女性スター主導時代」を樹立、さらには「パフォーマンスクオリティ基準」も上げ、歴代レーティングTOP2を記録したケイティやガガの成功に繋がっていく。そして、2010年代ラスト、NFLはキャパニック問題を抱えている。結果、スターたちが出場を拒否し、Maroon 5が事前も事後も酷評されたわけだが、次はどうするのか?  キャパニック問題は改善してるのか? ポップスター枠ではリアーナのほかにアデルやエド・シーラン、テイラー・スウィフトが残っているが、果たして出てくれるのか? そんな中で、BillboadPitchforkが示唆する未来は「出演者ジャンルの変更」だ。ポップやアーバンと異なりキャパニック問題の影響が少ないとされるカントリーやロック畑の大御所の起用……要するに2004年ジャネット・ジャクソン後と似たギアチェンジが起こるかもしれない。スターの出場拒否が相次いでも変わりないのは、『スーパーボウル』が年間最多視聴者数を記録するビッグイベントであることだ。「ハーフタイムショー」の経済効果ははかりしれない。現に、あれだけ酷評されたMaroon 5はDL消費を500%以上増加させた(参照)。ツアーの集客効果も莫大とされる。依頼を承諾するスターは簡単に居なくならないだろう。

 ちなみに、2020年の開催地はマイアミを予定している。個人的には、地元出身者かつコラボ豊富なピットブル、そして出演が囁かれ続けるジェニファー・ロペスといったラティーノスターを期待してしまうのだが。

■辰巳JUNK
ポップカルチャー・ウォッチャー。主にアメリカ周辺のセレブリティ、音楽、映画、ドラマなど。 雑誌『GINZA』、webメディア等で執筆。
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