『アンナチュラル』『半分、青い。』『おっさんずラブ』…印象的な2018年ドラマ主題歌を振り返る

King & Prince「シンデレラガール」(TBS系ドラマ『花のち晴れ~花男 Next Season~』主題歌)

 今年デビューした新人アーティストの中でも、一際華々しい登場となったKing & Prince。「シンデレラガール」は彼らのデビュー曲としてばかりか、メンバーの平野紫耀が出演するドラマ『花のち晴れ~花男 Next Season~』の主題歌としてもオンエアされ、大反響を巻き起こした。大金持ちの子息たちが通う学園を舞台に、校内ヒエラルキーのトップに君臨するイケメン高校生と庶民派女子高生の恋愛模様を描くというストーリーは、女子の憧れそのものとも言えるが、そんなキラキラした恋のときめきを楽曲でも表現したのが本作。〈キミは シンデレラガール/My precious one/You’re the only flowering heroine〉〈どんなときも ずっとそばで/まぶしい その笑顔見せて〉など、甘いワードが並ぶ歌詞はドラマ同様多くの女子たちの心を掴み、物語を一層盛り上げることにもなった。

King & Prince「シンデレラガール」Music Video

MISIA「アイノカタチ feat.HIDE(GReeeeN)」(TBS系ドラマ『義母と娘のブルース』主題歌)

MISIA『アイノカタチfeat.HIDE(GReeeeN)』

 綾瀬はるか演じるカタブツなキャリアウーマンと、ある事情から彼女の義理の娘となった少女の絆を描いたヒューマンドラマ『義母と娘のブルース』。主題歌は今年デビュー20周年を迎えたMISIAが務めた。「アイノカタチ」と名付けたれた本作の歌詞は〈あのね〉と、語り口調で綴られているのが印象的。義理の娘から母へ、または義理の母から娘へ、互いにふだん言葉にできない気持ちを代弁したかのような歌詞は、話数が進むにつれて存在感を増し、多くの視聴者の心に届くものとなった。ドラマの視聴率も右肩あがりに伸び、7月クールに放映された作品の中では最高を記録。『やまとなでしこ』(フジテレビ系)や『JIN-仁-』(TBS系)などこれまで幾多のドラマ主題歌を手がけてきたMISIAだが、そのディスコグラフィにまたひとつ代表作が増えることとなった。

MISIA - 「アイノカタチfeat.HIDE(GReeeeN)」 MV Lyric ver.

スキマスイッチ「Revival」(テレビ朝日系『おっさんずラブ』主題歌)

スキマスイッチ『新空間アルゴリズム』(通常盤)

 今年放映されたドラマの中で、誰も予想しなかったヒット作といえば『おっさんずラブ』だろう。深夜帯の放送、そして“おっさん同士の恋愛”という異色すぎるテーマにもかかわらず評判が評判を呼び、『2018ユーキャン新語・流行語大賞』トップテン入りを果たすという躍進を遂げた。モテない独身男と乙女な上司、そしてイケメンでドSな後輩の三角関係を盛り上げたのはスキマスイッチの主題歌「Revival」。彼ららしい美メロが活きるミディアムナンバーは、実は書き下ろしではなく最新アルバム『新空間アルゴリズム』の中の1曲だ。しかし、登場人物の揺れ動く心を描写したような歌詞に心打たれる視聴者が続出。急遽、ドラマのロケ地を“聖地巡礼”したMVも制作された。放映後にもドラマと楽曲のコラボが実現したあたり、反響の大きさを感じさせる。

スキマスイッチ / 「Revival」 Music Video [Full Ver.]

 どの作品にも共通しているのは、主題歌とドラマとの間に親和性があること。担当するアーティストが脚本を読み込み、書き下ろすスタイルが定着してきた背景もあるとは思うが、何より制作サイドの主題歌への込める熱量の高さが増してきた印象だ。テーマやストーリー、時に登場人物の内面までも内包した楽曲は、ドラマそのものの内容を拡張させもする。それを改めて感じた1年だった。さて来たる2019年は、どんな作品で楽しませてくれるだろうか。

※山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記。

■渡部あきこ
編集者/フリーライター。映画、アニメ、漫画、ゲーム、音楽などカルチャー全般から旅、日本酒、伝統文化まで幅広く執筆。福島県在住。

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