XG、なぜHIPHOPファンの支持を得られた? ラップスキルと秀逸なリリックに対する評価を紐解く
XGが5月21日に5th Single『WOKE UP』をリリースする。「WOKE UP」は、XG初のオールラップソングで、808ベースに東アジア特有のサウンドが加わった型破りなスタイルのトラック。メンバーそれぞれの個性溢れるラップパフォーマンスは、強力なヒップホップアイデンティティを感じさせ、何にも定義することのできない「Xtraordinary Girls」に出会うことができるはずだ……と公式では説明されている。XGALXの代表兼エグゼクティブプロデューサーである「JAKOPS (SIMON)」は、中毒性のあるサビのフレーズ〈WOKE UP LOOKIN' LIKE THIS〉(目を醒ませ)のように、「固定観念を壊せ」といったXGならではの哲学を曲の中に込め、表現しているという。
XGはまだグループの全容が明らかになっていないデビュー前から、メンバーがHIPHOP/RAPのパフォーマンスを披露する「MIXTAPE」シリーズをYouTubeで発表していた。2022年2月に公開された「[XG TAPE #1] Chill Bill (JURIN, HARVEY) 」では、JURINとHARVEYがサンディエゴのラッパー・Rob $toneの「Chill Bill ft. J.Davis & Spooks」のトラックに乗せてクールなラップを披露し、デビュー前ながら早くもそのスキルは話題になっていた。
続く「[XG TAPE #2] GALZ XYPHER (COCONA, MAYA, HARVEY, JURIN)」では、COCONA、MAYA、HARVEY、JURINがJ.I.D「Surround Sound」、Ty Dolla $ign, Jack Harlow & 24kGoldn「I Won」、ROSALÍA「SAOKO」のビートに乗せて英語、日本語、韓国語の3言語を交えながらパワフルなだけではない、各人各色の個性に溢れたさまざまなスタイルのラップパフォーマンスを披露。YouTubeのオリジナル動画は4月10日現在3,180万再生を超えており、特に当時16歳のCOCONAのパフォーマンスがショートムービーでバイラルになると元ネタとなったJ.I.Dを初めKelly Rowland、Bebe Rexha、Kehlaniなど多くの海外のアーティストやインフルエンサーがSNSでリアクションをするなど大きな話題になった。
XGが「GALZ XYPHER」でアジアのみならず欧米圏でのユースから急速に注目を受けた背景には、ユースカルチャーにおける最も人気の音楽ジャンルがヒップホップであるにも関わらず、本格的なラップスキルとヒップホップマインドを兼ね備えた「新しいガールグループ」が当時かなり少なかったと言うことはあるかもしれない。K-POPはR&B/ヒップホップをパフォーマンスに上手く取り入れて世界的な人気を獲得していったが、2015年ごろをピークに次第にヒップホップ的なテイストはさまざまなトレンドと共にポップへと吸収されていき、第3世代と呼ばれる2016年デビューのBLACKPINK以降は明確にラップスキルやヒップホップテイストを前面に出した女性グループはほとんどいなくなっていた。そのタイミングで登場したXGのラップパフォーマンスは、スキルにとどまらず過去のK-POPが持っていた攻撃的なヒップホップバイブスを携えており、なおかつ日英韓トリリンガルのリリックという新しい側面も持っていた。