ポルカ、the peggies、ハルカトミユキ……女性ボーカルバンドのアニソン起用、増加の背景を探る

詩的な世界観が作品とリンクした、ハルカトミユキ

ハルカトミユキ 『17才』(『色づく世界の明日から』OP ver.)

 ポルカ、the ppeggiesと比較するとだいぶ異なる立ち位置にいるのが、『色づく世界の明日から』(MBS・TBS・BS-TBSほか)で初のアニメタイアップを果たした2人組ガールズバンド・ハルカトミユキだ。過去には映画タイアップ経験もあるものの、正直、彼女たちにはあまりアニソンのイメージがなかった。というのも、歌人としても活動しているボーカル・ハルカの紡ぎ出す世界観があまりに文学的なこともあり、彼女たちだけでどこか完結しているような印象を抱いていたからだ。

 おそらく、筆者が今でもロックバンドのアニソンタイアップの知らせを聞く度に「おっ!」と少し驚いてしまうのは、多くのアーティストが、すでに完結した世界観を持っているためだろう。だからこそ、それ以外の要素が大きく入りこむような、タイアップのイメージを抱きにくいのだ。

 とはいえ、篠原俊哉監督が手がけた『凪のあすから』と同様に、『色あす』もとても儚く詩的な作品だ。そのため、ハルカトミユキが持つイメージとの親和性も高い。さらに、作品のキービジュアルが少女2人という点でも、2人組のハルカトミユキと重なる部分が大きかった。

女性アーティストの多様化と、アニメ作品の多様化

 このように、「女性ボーカルのロックバンド」と言っても、三者三様のスタンスを持っていることがわかる。そして、ロックシーンで活躍する女性ボーカルバンドのアニメタイアップが増加している背景には、女性アーティストの多様化、そしてそれを受け入れる土壌であるアニメ作品の多様化も起因しているのだろう。

 きっと、今後さらに「こんなアーティストがアニソンをやるなんて!」と驚くようなタイアップも出てくるはずだ。そして、今後は音楽シーンやジャンルの垣根自体が、徐々に消失してボーダレス化していくのかもしれない。

■まにょ
ライター(元ミュージシャン)。1989年、東京生まれ。早大文学部美術史コース卒。インストガールズバンド「虚弱。」でドラムを担当し、2012年には1stアルバムで全国デビュー。現在はカルチャー系ライターとして、各所で執筆中。好物はガンアクションアニメ。Twitter

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