Creepy Nuts、千葉雄喜、猫ミーム……SNSの影響を強く感じた2024年バイラルチャートを振り返る

Viral Chart Focus

 あなたの2024年を彩った音楽は、どんな音楽だっただろうか。今年もSpotifyのバイラルチャートには多くの楽曲が登場し、最新の音楽シーンをいち早く反映する風見鶏の役割を果たした。年々ヒット曲の移り変わりが激しくなり、毎週新たな楽曲が去来するこのバイラルチャートの2024年を振り返ろう。

 やはり今年も無視できないのはTikTokをはじめとする動画SNSの影響だ。TikTokやYouTubeが起点となり、Spotifyのバイラルチャートにその人気が派生するケースが今年も数多く見受けられた。そのなかで特に目立った楽曲をいくつか紹介したい。

HIMEHINA『愛包ダンスホール』MV

 たとえば「愛包ダンスホール」は、バーチャルユニット HIMEHINAの楽曲である。この楽曲はHIMEHINA特有の疾走感あるサウンドとファンタジックな歌詞が特徴で「踊ってみた」動画が次々と投稿され、動画SNS上で話題を集めた。楽曲自体の完成度が高く、幅広い層へとリーチしていった。

J.Tajor - Like I Do (Official Music Video)

 また、J.Tajorの「Like I Do」は、心地よいR&Bトラックとメロウな歌声が融合した一曲だ。この楽曲は、恋愛や感情をテーマにしたショートムービーのBGMとして人気が爆発した。ユーザーが自分の体験を重ねた投稿に使用することで、曲の持つメッセージがさらに広がりを見せ、バイラルヒットの典型例と言える存在となったのだ。

Christell - Dubidubidu Chipi Chipi Chapa Chapa (Official Lyric Video)

 クリステルの「Dubidubidu (Chipi Chipi Chapa Chapa)」は、“猫ミーム”とともに話題をさらった。軽快で耳に残るリズムと遊び心にあふれる歌詞が特徴のこの楽曲は、猫の写真や動画に面白いテキストや加工を加えたコンテンツ、いわゆる猫ミームのBGMとして人気が沸騰した。ショート動画との親和性も高く、拡散投稿が増えるにつれ猫ミームムーブメントと相乗的に2003年リリースの楽曲の知名度も自然と拡大し、バイラルチャートにもその人気が反映された。

808 - You (Official Lyric Video)Prod. ユタ

 さらに、808の「You」やSEO EVEの「Malatanghulu」といった楽曲も忘れてはならない。「You」は、シンプルながらも感情を揺さぶる歌詞とレゲエ調のチルなサウンドが魅力で、多くのユーザーによってTikTokに引用投稿された。特に歌詞に焦点を当てた動画の投稿が多く、切なくも健気な歌詞に共感が集まったようだ。Dani.の「たった一人の君」もまた、感動的な歌詞と美しいメロディで注目を集めた一曲。特に結婚式やプロポーズの瞬間を収めた動画にこの楽曲が用いられることで多くの人々の感動を誘い、世代を問わず幅広い層からの支持を得た。

[MV] 서이브 (SEO EVE) - 마라탕후루 (Malatanghulu)

 「Malatanghulu」は、中国・四川省が発祥の辛いスープ料理「マーラータン(麻辣湯)」とフルーツを串に刺し、糖蜜でコーティングした韓国で爆発的なブームとなった中国由来の甘いお菓子「タンフル」を繋ぎ合わせた造語である。この語感の楽しさがショート動画と相性が良く、ダンスチャレンジとして多くのダンス動画が投稿された。

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