GLAYは今こそ最強である 25年ぶり紅白、フェス出演やコラボ……怒涛の30周年イヤーに証明する不動の地位

GLAY ⒸLoversoul

 デビュー30周年を迎え、怒涛の活動を繰り広げているGLAY。アリーナツアーは終盤を迎えているが(※2024年12月下旬現在)、年内最後のライブだった12月22日広島公演のステージ上で2025年のドームツアー開催を発表し、ファンと“次なる約束”を交わした。12月30日には特別賞を受賞した『第66回 輝く!日本レコード大賞』(TBS系)に出演し、「Winter, again」「口唇」「さよならはやさしく」を披露。31日には25年ぶり4度目の『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)に出場し、「誘惑」を披露する。幅広い層の視聴者に対して「ロックバンドとしてGLAYは今こそ最強である」と示すパフォーマンスになることを確信している。

GLAY / Winter, again
GLAY / 口唇
GLAY / 誘惑
GLAY / サバイバル (GLAY EXPO '99 SURVIVAL)

 25年前と言えば、通称20万人ライブとして語り継がれる『GLAY EXPO ‘99 SURVIVAL』を開催した1999年に当たる。“GLAY EXPO”という冠を、ライブ単体ではなく30周年の通年テーマとして掲げ、「“今”のGLAYを一般公開していく」というコンセプトのもと取り組んできた周年の活動は、この先2025年まで続いていく。

 2024年2月、GLAYはQUEEN+ADAM LAMBERTの札幌ドーム公演にスペシャルゲストとして出演。レジェンドへの敬意に満ちた45分間のステージの評判は、GLAYファンのみならず広く轟き、30周年イヤーは華々しく幕開けた。3月は『風とロック さいしょでさいごの スーパーアリーナ “FURUSATO” 箭内道彦60年記念企画』に出演し、同郷の先輩バンド怒髪天と初対バン。5月には30周年記念ダブルA面シングル曲をリリースし、「whodunit」ではグローバルグループ・ENHYPENのJAYとコラボレーション。6月8日・9日のベルーナドーム公演では、もう一度観たいライブをファンから募り、投票の結果1位に選ばれた20万人ライブ『SURVIVAL』の再現ライブを行なった。6月9日公演には前述のJAYがサプライズで登場、「whodunit」の他「誘惑」もセッションし、場内は大歓声に包まれた。

GLAY / BEAUTIFUL DREAMER (風とロック さいしょでさいごのスーパーアリーナ“FURUSATO”)
GLAY×JAY (ENHYPEN) / whodunit
LIVE Blu-ray&DVD 『GLAY 30th Anniversary GLAY EXPO 2024-2025 in BELLUNA DOME』SPOT

 8月には『SUMMER SONIC 2024』で夏フェス初出演、その翌週には台湾・台北最大級の音楽フェス『2024 SUPER SLIPPA 超犀利趴13』参加で海外フェス初出演を果たし、主催者である盟友Maydayとの旧交を温めた。9月には、2025年2月22日に東京ドームでLUNA SEAと25年ぶりの対バン『The Millennium Eve 2025』を開催することを発表。そして10月には通算17枚目のオリジナルアルバム『Back To The Pops』をリリース。“30年目のデビューアルバム”とリーダーTAKURO(Gt)が称するこの作品は、総合的に世界観を立ち上げるコンセプトアルバムではない。譬えるなら、14曲の“主役”ダンサーが代わる代わる登場するバレエコンクールを観ているかのような、バラバラの個性が詰め合わされた彩り豊かな作品である。直接的に影響を受けルーツとなっているロックはもちろん、歌謡曲、シティポップ、J-POP、クラシックや現代音楽からヴィジュアル系のエッセンスも含め、あらゆる音楽要素が混ざり合って産み落とされた楽曲たちはどこか懐かしくも新しく、ひたすら自由で、カテゴライズするのが野暮に思えてくる。さらに、本作は2024年10月21日付オリコン週間アルバムランキングで、3年ぶり通算17作目の1位を獲得した。

GLAY / 会心ノ一撃 (SUMMER SONIC 2024)
GLAY / さよならはやさしく
Back To The Pops “Albumovie”

 10月には[Alexandros] 主催の『THIS FES '24 in Sagamihara』にも出演。新曲と代表曲とを織り交ぜつつ、「([Alexandros] の)ヒロくん(磯部寛之)がよく聴いていてくれた曲」とのTERU(Vo)の言葉から「May Fair」を披露するなど、心遣いを感じさせる温かなライブを届けた。『Back To The Pops』を携えたアリーナツアーは11月8日に大阪城ホールでスタート。30周年らしく数々の代表曲も盛り込みながらJIRO(Ba)が練り上げたセットリストは、新旧の楽曲が自然に共存し、大きな感情のうねりを聴き手にもたらしてくれる。新曲たちはツアー初日からファンに受け入れられている印象で、音源以上にライブで真価を発揮し、今後のGLAYの新たな代表曲へと育っていく予感がする曲も多い。

 2020年以降、コロナ禍による打撃をGLAYも大いに受け、25周年を記念して予定されていたドームツアーを中止するなど様々な困難に見舞われた。しかし、そんな中でもTERU発案の配信ライブシリーズを届けるなど活動を止めることはなく、リモートでのレコーディング体制もブラッシュアップ。何より、ベテランであることに胡坐をかかずメンバー各自歌唱・演奏のスキルアップをし続けてきた成果は、現在のGLAYのライブのクオリティに反映されている。ベルーナドームでの『SURVIVAL』のリバイバルが、ただ過去をなぞるものではなく、心揺さぶる充実した内容となったのも、彼らが音楽に真面目に向き合い続けてきた証にほかならない。

 ベルーナドーム公演以降のGLAYには、メンバーそれぞれにもバンドとしても、揺るぎない強さを感じる。1999年当時、社会現象化するほどの偉業を成し遂げたことは、光が強かったからこそ濃い影も生み、自らを苛む呪縛ともなっていっただろう。25年の時を経て、当時幕張の会場に居合わせたファン、当時は叶わずようやく今回観ることができたファン、すべての想いを受け止めながら、2024年のGLAYとしての最高の歌と演奏で『SURVIVAL』を再演したライブ。過去と現在、未来が交錯したあの空間は、エンターテインメントの枠を越え、ある種の儀式だったようにも思えてくる。自分たちの手を離れ肥大化し、独り歩きしてしまっていた“イメージという亡霊”と、GLAYはベルーナでようやく決着をつけたのかもしれない。

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