edhiii boi、高校生活最後の一年 大きなターニングポイント迎えてどこへ向かう? BMSGの絆も語る
2021年、SKY-HIに送ったひとつのデモから“edhiii boi”としての人生は始まった。14歳でアーティスト契約をし、15歳でソロデビュー、16歳で「おともだち」という楽曲を作り、そして17歳でその楽曲が9億回再生を突破――。そして、2025年1月に、彼は18歳を迎える。
2023年11月にリリースした楽曲「おともだち」が大きな盛り上がりを見せた2024年。同曲はTikTokでの総再生回数9億回を突破し、Billboard JAPANの2024年年間TikTokソング・チャート「TikTok Songs Chart」5位を記録した。高校生活最後の一年を記念して展開している「GOODBYE HIGH SCHOOL DAYS」企画では、さまざまなチャレンジを行っている。彼にとって、事象的にも、年齢的にも大きなターニングポイントとなったのが2024年であることは間違いない。
その2024年という日々を17歳の彼はどのように過ごし、BMSGという組織のなかで今何を見つめ、何を感じ、どこへ向かっていこうとしているのだろうか。じっくり話を聞いた。(編集部)
9億再生のヒットと“自分のスタイル”の追求
ーー「おともだち」は関連動画の再生回数が9億回を超え、7万本以上の投稿があり、TikTokトレンド大賞にもノミネートされるなど、大きな反響を呼びました。3月にはMANONさんとのリミックスバージョンもリリースされましたが、この一年をどのように過ごされましたか?
edhiii boi:あっという間でした。「おともだち」は、2作目のアルバムに収録した曲なんですけど、いちばんラフに作った曲でもあって。僕の曲作りは2パターンあって、すぐにできる曲と、試行錯誤する曲があるんです。前者の場合はサビが20分、バースが10〜15分、トータル1時間くらいで完成することも多いけど、後者の場合は2カ月以上かかることもあって。13時間スタジオに籠っても何もできず帰る、なんて日もありました。「おともだち」は、30分ほどでできた曲だったのでバズるとはまったく思っていませんでしたし、むしろ「大丈夫かな」と思っていました(笑)。去年の夏は友達とたくさん遊んで、花火をしたり、江ノ島に行ったり、いい思い出がたくさんできた、その締めくくりに友達に向けて作った曲が「おともだち」です。アルバムに収録してリリースしたら予想以上の反響があり、TikTokで踊ってみた動画が投稿され、気づけば爆発的に再生されていました。本当にびっくりです。
ーーこの大きなバズをきっかけに、まわりからの反応や見る目が変わったと感じますか?
edhiii boi:予想以上に地元の友達から連絡が殺到しました。「お前の隣の中学校のヤツなんだけど……」なんて連絡もありましたが、まったく知らない人もいたりして(笑)。バズって大変だったのは、今後の自分のスタイルをどうしていくかということです。最近は、TikTokでバズることを意識して曲を作るアーティストも多いですよね。16秒という短いフォーマットで音楽を広める戦略です。でも、僕はそういう狙いはまったくなく作っていたからこそ、バズったあとの次の曲をどうしようか悩みました。もちろん、似たような方向性の曲も考えましたが、むしろ普段は「おともだち」のような曲はあまり作らないので。でも、結局スタイルを変えず、自分の好きな音楽を自由に作ろうと決めました。今は、好きな音楽を作り続けています。
ーー同世代のアーティストの曲を聴いて、「これはバズ狙いだな」と思うことはありますか?
edhiii boi:よくありますし、音楽仲間から送られてきたビートがTikTok狙いだと感じることもあります。でも、なかには本当にヒットしそうな曲、バズりそうな曲もあって。僕自身も、レコーディングの段階で「リールの切り取りどころはここ」とスタッフさんに言われることも増えましたね。でも、最近はONE OK ROCKさんがリール動画に力を入れているのを見ますし、彼らのSNSのアルゴリズムを意識した戦略は凄いと思っています。だから僕ももっとSNSに力を入れるべきだと思いつつ、音楽はジャンルがバラバラなので、投稿の仕方が難しい。そこが課題ですね。
ーーでも、基本的には、ご自身のやりたいことを優先していくんですね。
edhiii boi:そうですね。HIPHOPヘッズとして、流行を追うのではなく、自分のスタイルを貫きたいと思っています。基本的には好きな音楽だけを作り続けていますが、飽きる時期も当然ある。ゲームと同じで、すぐにクリアできる時と何年もかかる時があります。同じように、音楽制作に集中できない日もあります。だから、音楽制作はその時々の気持ちに左右されることが多いですね。
ーーモチベーションが上がらない時はどうしていますか?
edhiii boi:基本的には寝ます(笑)。僕は生活リズムがバラバラで、制作に没頭して3日間寝なかったこともありましたし、そのせいで会議中に寝そうになったこともあります。でも、逆に没頭できない時は一日中寝ています。家のなかではベッドの上で生活していて。座って作業するのが苦手なんですよ。作曲はベッドにPCを置いて、寝ながらやることもあります。昔から机に向かうのが苦手なタイプだからですね。
edhiii boiにとっての渋谷・道玄坂と新宿・歌舞伎町の存在
ーーこの一年を振り返ると、夏には「夏休み feat. School Boi」「花火 feat. SHU」をリリースされました。
edhiii boi:「夏休み」は、10歳の頃に神戸のスタジオで作った曲のボーカルをAIツールで抽出し、新しいビートに乗せて作った曲です。「花火」は2年前からデモはありましたが、女性ボーカルが必要だと感じていて。ある時、高校の廊下にいたSHUと出会い、その場で一緒に曲を作ろうと誘いました。その結果、SHUの透明感のある声と僕の太い声がマッチしたことで、イメージ通りの10代らしい恋愛ソングに仕上がりました。高校生らしく、プリプロは放課後のカラオケでやりました(笑)。
ーー(笑)。BMSG MARINE名義の「Memoria」はどうですか?
edhiii boi:僕は寂しがり屋で、感情の浮き沈みが激しいタイプなんです。この曲は、そんな気持ちが落ち込んでいる時に作りました。その時は、納期に遅れたり、歌詞が書けなかったり……小さなことの積み重ねで、突然気持ちがパン!と壊れてしまった時期というか。でも、『BMSG FES'24』でAile The Shotaくんと同じチーム(BMSG MARINE)になり、そんな自分の状況を相談したところ、「今回は俺が歌詞を書くよ」と言ってもらえて。気持ちの面ですごく救われた気がしましたね。
ーー Aile The Shotaさんはその寂しい気持ちを察していた、と。
edhiii boi:直接伝えていませんでしたが、BMSG POSSEの活動やプライベートでの食事を通して、僕の状況を察してくれたのかもしれませんね。
ーーその歌詞で最も心に刺さったのはどの部分ですか?
edhiii boi:僕が歌ったプリフックの〈今でもひとりは寂しいよ〉です。僕は自分の気持ちを素直に書くタイプであるけれど、それまではその曲の歌詞のようにストレートに寂しさを表現したことはありませんでした。
ーーひとりの寂しさを感じている時は、普段どんなことをしていますか?
edhiii boi:そういう時は、仕事が終わったら門限の22時まで自分が大好きな渋谷の道玄坂あたりを散歩します。もしかすると、寂しさを紛らわすためなのかもしれません。
ーーそういう気持ちで歩くと渋谷の街はどのように見えますか?
edhiii boi:楽しんでいる人を見ると、「今の自分はすごく寂しいんだな」と感じますね(笑)。でも、それが歌詞の材料になったりするし、そういうところも含めて渋谷が好きです。あと、自宅の途中に新宿を通るんですけど、歌舞伎町を通ったりすると、ネオンが気分をブチ上げてくれるんです。歌舞伎町にいる人たちは、みんな寂しそうに見えなくて、自由を謳歌しているように思えます。そこに魅力を感じるんですよね。だから、落ち込んだ時に歌舞伎町を通ると、自分もひとりでも楽しもうという気持ちになります。