Ken Yokoyamaが語るバンドの意識改革とセルフコンピレーションの真意「ずっと曲は生き続ける」

Ken Yokoyama、バンドへの思い

 Ken Yokoyamaが、10月10日にセルフコンピレーションアルバム『Songs Of The Living Dead』をリリースする。今作は、横山健がKen Yokoyamaとしての活動初期から約15年にわたる活動の中でこれまでの作品に収録されなかった楽曲が揃った作品。前回のスプリット盤『Ken Yokoyama VS NAMBA69』インタビューに続き、今回もKEN BAND4人にインタビュー。Matchanの脱退、本作リリースの真意について聞いた。(編集部)

意識改革が必要だった(Ken)

一一先月にライブ(『Ken Yokoyama VS NAMBA69 Tour』7月4日・東京Zepp DiverCity)を見て、KEN BAND変わったなと思ったんですよね。緊張感が今までとは違っていて。

Hidenori Minami(以下、Minami):あぁ。実際お客さんにどう見えてるかはわかんないですけど、でもバンド内での意識の変化は絶対あって。

Jun Gray(以下、Jun):うん。まず今年入ってからKenに呼び出されて、4人でミーティングして。そこからライブに対する思いも変わりましたね。

一一Kenさんが「それぞれが1/4を担ってくれ。なんならKen Yokoyamaじゃない、新しいバンド名に変えてもいい」と迫った話は、以前オフィシャルの記事で読みました。

Ken Yokoyama(以下、Ken):そう。去年Hi-STANDARDでアルバムの曲作り、レコーディング、ツアーをして。そこから生まれてくるエネルギーを体感して、ひとつのことに全員が全力で平等に関わるのって素晴らしいなと思ってしまって。そういうバンドの中に身を置く心地よさを覚えてしまうと「これがもしかしてKEN BANDには一番足りないところじゃないか?」って。俺はハイスタをやってる時はハイスタが世界一のロックンロールバンドだと思ってるけど、KEN BANDの時はKEN BANDが世界一のロックンロールバンドでありたいし、そしてやっぱりKEN BANDをやってる時はハイスタに勝ちたいの。そのためには意識改革が必要だと思って。

一一ハイスタはリーダー不在のまま、三人でぶつかり合いながら物事を進めていく。ただ……蒸し返すようですが「それが面倒臭いからKEN BANDは明確なリーダーがいる形にした」って以前に言ってましたよね。

Ken:確かに。そこが人生の面白いところで(笑)。『GIFT』を体験するまでは、KEN BANDは俺のワントップでいいと思ってた。俺の発想、俺のアイデア、俺のペースで全部引っ張っていくことができたんだけど。でも2017年を経過したらそれが物足りなくなってきちゃって。

一一Kenさんの提案は、みなさんすぐ納得できましたか。「え、今そんなこと言われても」みたいな戸惑いはなく?

Jun:うーん……今言ったみたいに去年まではKenが引っ張るのが普通だったし、俺たちもそうやって動いてたからね。だから最初に聞いた時は「あ、そういう考えになったんだね?」っていう思いはありましたよ。じゃあ今からどう変わっていくのかなぁって。そこはまだ途中、手探りな部分はある。もちろん考えながらやってはいるんだけど。

一一こういう話と、松浦さん(Matchan)の脱退は関係あるんですか。

Matchan:まぁ直接……ではないですけど、判断するきっかけのひとつではありますね。このバンドで自分がどうすべきなのか、改めて自分がバンドにいることの意味もしっかり考えましたし。「1/4を担って欲しい」「やります、頑張ります」って言ったところで……やっぱみんなが求めるクオリティに僕はまったく辿り着かないまま、7年以上を過ごしてしまって……。

一一そうですかね?

Matchan:はい。何ひとつみんなの期待には応えられなかったので。今回、Kenさんがそこまで言ってくれてるんだから、自分の甘えを捨てて、もう生活も壊すぐらいの勢いでドラムにのめり込んでみようと思ったんですね。「自分がこのバンドで力になれてないのは何なんだろう?」って、それは加入してからずーっと、もう24時間考え続けてきたことですけど……結局わかんなかったんですよ、理由が。で、さらにやっていくうちに……何が足りないんだろうって考えて……それでまぁ脱退しようと。はい。

Ken:いやっ、今のMatchanの話、いまいちわかんないんだけど!

Minami:ははははは。そうだねぇ。

Matchan:いや(笑)、単純にこう、ふわっとみんなで足並みが揃う、自然とそれができるかできないかがこのバンドは重要なのかなって。ひとつのことに対して自然に「これってこうだよね?」って思う、それが僕は全然自然にできなかったんです。そこでずっと悩んでたし。もうこれは人と人の相性なのかなって。そういうふうに僕は思っちゃいましたね。

一一年齢差もあるし、あとは加入してすぐ震災が起きて、テンパったまま走り続けるような状況が最初は続いたと思うんです。そこから7年、結局自然体になることはできなかった?

Matchan:あぁ。かもしれないです。

Minami:……病んでるわけじゃないんだよね?

Matchan:病んでないですよ! そこちゃんと書いといてください(笑)。

Ken:でもね、8月のある日にMatchanから電話がきて。「辞めさせてください」「なんで?」「……やっぱり自分のバンドとは思えないです」って言われたの。それがすべてなんじゃないかな。「僕は担えません、1/4にはなれません」って言われた感じがした。で、ここからは俺の解釈だけど「1/8程度だったら良かったし、バンドに居ることもできました。でも1/4は無理です」って、そういう返答をもらったと俺は思ってる。言っちゃ悪いけど「ぶら下がらせてくれれば良かったものを……」的なものを正直感じたかな。

Matchan:あぁ……そうっすか。ははは。

一一なんか空気が微妙(笑)。メンバーと一緒の場で、辞める本人が脱退を語るインタビューは初めてなので。

Ken:そうだよね? 意外と誰もやらないことだと思う。だからこの場に出てくれたMatchanには感謝してる。脱退の理由も、本人が「こういう気持ちでした」って語るほうが、お客さんにとっても誠実に響くんじゃないかなって。

Jun:まぁ……Matchanは加入して間もない頃から「ついていけない」「俺じゃダメなんじゃないでしょうか」的なことを何回も言ってたから。そこに今年最初のミーティングがあったのは、よりプレッシャーになったと思う。悩んでばっかりだったのに、またさらに高いハードルがあって、それを俺は乗り越えられるんだろうかって考えて。そこでの結論が……「やっぱ俺は乗り越えられません」(笑)。

Matchan:ははははは。そういうことです!

一一逆にいうと、辞めるなら今しかなかった。本気でKEN BANDが変わっていくならここで離れざるを得ない。

Matchan:そうですね。できれば……僕が気にしてるところ、みんなとぶつかっちゃう部分がなければ、そりゃKEN BANDには居たいですよ? それがどうしても解消できないから。そこは自分で限界まで頑張ってわかったことだから、もうしょうがねぇなって思いましたね。

Ken:うん。俺たちもMatchanの性格は嫌っていうほどわかってるから、これはもう、引き止められないなと。

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