高橋芳朗の新譜キュレーション
ドレイクからSHINeeまで 高橋芳朗が選ぶ、マイケル・ジャクソンへのオマージュ10曲
今回のキュレーション連載は、8月29日で生誕60年を迎えたマイケル・ジャクソンのオマージュ楽曲をここ数カ月でリリースされた話題作のなかからピックアップしてみました。ちょうどマーク・ロンソンによる誕生日を祝してのトリビュートミックス「Michael Jackson x Mark Ronson: Diamonds are Invincible」が公式音源として公開されましたね。
さて、ここ最近のマイケル・ジャクソンをめぐる最注目トピックといえばやはりこちら、現在大ヒット中のドレイクのニューアルバム『Scorpion』収録の「Don't Matter to Me」でしょう。すでに全米チャートで9位にランクインするヒットになっているのでご存知の方も多いと思いますが、ここではマイケルが1983年にポール・アンカと行ったセッションの未発表音源を使用、ドレイクとの擬似デュエットに仕立てています。ノア“40”シェビブとナインティーン85が織り成す幻想的なOVOサウンドとマイケルのナイーブなボーカルとの相性はすこぶる良く、結果的にザ・ウィークエンドがいかにマイケルの強い影響下にあるかを改めて立証する楽曲になった印象も。以前に「Hold On, We're Going Home」(2013年)でもマイケルにオマージュを捧げていたドレイク(曰く「あの曲は俺とプロデューサーの40とでマイケルとクインシー・ジョーンズを憑依させてつくったんだ」)は今回実現したマイケルとの「共演」が余程うれしかったのか、現在Migosを引き連れて行なっている全米ツアー『Aubrey & The Three Migos Tour』ではセットリストに「Rock With You」(1979年)のカバーを組み込んでいます。これが短いながらもドレイク/OVO流儀のアレンジが施されたなかなか興味深い仕上がりで、いずれフルバージョンの公式音源化を望みたいところです。
Drake covers Rock With You by Michael Jackson. #AATTM pic.twitter.com/oar2Iqp9gJ
— Word On Road (@WordOnRd) August 13, 2018
続いては、先日の『FUJI ROCK FESTIVAL '18』に出演していたDirty Projectorsの新作『Lamp Lit Prose』より「I Feel Energy」を。前作『Dirty Projectors』(2017年)でR&B要素を導入していたとはいえ「まさかDirty Projectorsがマイケルを?」と半信半疑の方もいると思いますが、これはまぎれもなく「Don't Stop 'Til You Get Enough」(1979年)のDirty Projectors流リコンストラクション。原作のパーカッシブな魅力を抽出しつつ、きっちりグループのカラーに落とし込んだ技アリのナイスオマージュとなりました。かつてThe Strokesが「Tap Out」(2013年)で「Rock With You」をモチーフにしていたときも興奮しましたが、これはそれをも凌駕する衝撃。以前に当欄でEP『Conexao』を取り上げたアンバー・マークが客演しています。