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渡辺志保の新譜キュレーション 第15回

ビッグ・フリーダ、ドレイク、ワイファイズフューネラル……真夏のバウンシーなヒップホップ5選

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 猛暑……というか、酷暑の中、皆様いかがお過ごしでしょうか? ヒップホップ界隈は、カニエ・ウェストの5週連続にわたる関連作リリースがあったり、突如ビヨンセ&ジェイ・Zがジョイントアルバムを発表したりと、息をつく暇がないほどの盛り上がりを見せています。その中で筆者が着目しているのが、バウンスミュージックの興隆。今回は、暑い夏をさらにアツくするような、バウンシーなヒップホップチューンを紹介したいと思います。ヘビーなキックドラムに、テンポのいい跳ねるようなリズム、キャッチーなシンセ、そして主張が激しいベース音がバウンスミュージックの特徴です。もともとは80年代後半にヒットしたマイアミの2 Live Crewらが作り上げた「マイアミベース」と呼ばれるジャンルが現在に連なるバウンスミュージックの原型となり、以後、数年に一度、周期的に盛り上がってるという印象。そして、たまたまなのか、それとも大きなトレンドの波が作用しているのか、この夏のヒップホップシーンには、バウンスチューンが多く見受けられるのです。

ビッグ・フリーダ『3rd Ward Bounce』

 まず、今やバウンスの聖地とされるニューオーリンズから。アンダーグラウンドな存在だったニューオーリンズバウンスを世界中に知らしめた、“バウンスの女王”ことビッグ・フリーダが、新作EPをドロップしました。タイトル『3rd Ward Bounce』に含まれている、3rd Ward=サードワードとは、フリーダが生まれたニューオーリンズのプロジェクト(低所得者用住居)のこと。かなり派手目な「Karaoke」をイントロ代わりに、アッパーなバウンスワールドが広がります。表題曲の「3rd Ward Bounce」はローカル色もより濃く、「NO(ニューオーリンズの略称)のために、502(ニューオーリンズの市外局番)にバウンスするわよ!」と、フリーダ姐さんの力強い号令が響く佳曲。リード曲になった「Rent」は、「家賃を払わないなら出てって頂戴!」とだらしない男に向かって吠える楽曲。こんなに激しいバウンスサウンドに乗っかって家賃未払いを請求されたら何を売り払ってでも払ってしまいたくなりますよね。

Big Freedia – Rent(Official Music Video)

 90年代R&Bのフレイバーを感じさせるコーラスもねちっこい「Play」も、途中でスロウになるブリッジを挟みつつ最後まで飽きさせません。2010年頃から注目され始め、地元ニューオーリンズを中心に活躍してきたビッグ・フリーダは、近年メジャーディールを獲得し、本EPがメジャーデビュー作品になるとのこと。さらにバウンスシーンを盛り上げるべく、今後の活躍にも期待が高まります。

 フリーダといえば、ニューオーリンズカラーを押し出して制作されたMVも話題になったビヨンセの「Formation」でもその声がサンプリングされたことで話題を呼びました。

Beyoncé – Formation

 そして今年に入って、さらにビッグ・フリーダの声がサンプリングされた人気楽曲がチャートを駆け上りました。それが、ドレイク「Nice For What」だったのです。ビッグ・フリーダのシャウトが、楽曲の冒頭部分にサンプリングされており、強烈なインパクトを残しています。ドレイクからのオファーに、ビッグ・フリーダは「ドレイクのチームが私のチームに連絡して超興奮した。確認のためにトラックが送られてきたけど、自分の声が乗っかってさえいるなら、どんな仕上がりでも気にしないわ、って返したの。これはバウンスカルチャーがより広まるよう、地道に動いてきた結果。私は、ニューオーリンズのカルチャーのためにめちゃくちゃ苦労してきたんだから」と、FADER誌のインタビューに応えていました。

Drake – Nice For What

 ニューオーリンズバウンスの流れをバッチリ汲んだ「Nice For What」はチャート上でも4週連続首位を獲得し、ドレイクのキャリアを代表する、いや、2018年を代表するヒット曲に。ビッグ・フリーダの声部分と同じく、ローリン・ヒル「Ex-Factor」を大胆にサンプリングしている点も話題になりました。

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