2ndアルバム『PROGRESS』
大橋彩香が語る、2ndアルバムでの進化を経て見つけた“新たな自分”
声優として数々の作品に出演しながら、歌手やドラマーとしても活躍する大橋彩香が、5月23日に2ndアルバム『PROGRESS』をリリースした。同作はオーイシマサヨシ、田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)や佐藤純一(fhána)、真崎エリカ、本多友紀(Arte Refact)、秋浦智裕(onetrap)ら豪華作家陣を迎えた、音楽的な“進化”を感じるアルバムに仕上がっている。
リアルサウンドでは今回、大橋へインタビューを行い、アルバムの制作秘話や自身の“進化”、楽曲を通じて表現した新たな自分などについて、じっくりと語ってもらった。(編集部)【※インタビュー最後にプレゼント情報あり】
「全体的に大人っぽい雰囲気の曲が増えた」
ーー声優業にユニット活動に、と非常にご多忙な大橋さんですが、先日、自動車の運転免許証を取得したことをTwitterで報告されてましたね。
大橋彩香:7カ月もかかっちゃったんですけど、仕事の合間にがんばって教習所に通って取りました! でも、(Twitterで報告する前の予告ツイートに)指でハートを作った写真を載せたら、「これは絶対に結婚だ!」と勘違いされてしまって……やらかしましたね(笑)。でも、20歳のバースデーの時から毎年「今年こそは免許を取ります」と宣言してたので、以前から応援してくださってるファンの方は喜んでくださりました。毎回「生きて帰ってきて良かった」と思って運転してます(笑)。
ーーそんななかでニューアルバムも制作されていたわけですが、いつ頃から着手していたのでしょうか?
大橋:年明けからですね。今回のアルバムはけっこう急ピッチで制作して、レコーディングは2月ぐらいから始めたんです。
ーー4月にリリースされたシングル『NOISY LOVE POWER☆』にはカップリングを含め3曲が収められてましたが、今回のアルバムとは収録曲の被りがないので、新曲が一気に増えましたね。
大橋:(アルバムとシングルは)同時に制作を進めてたんです。『NOISY LOVE POWER☆』は(2017年の)10月か11月にレコーディングしたんですけど、カップリングは時間を置いてアルバムと同じ時期に一緒に録りました。シングルを含めいろんなジャンルの音楽に挑戦させていただいたんですよ。
ーーアルバムタイトルの『PROGRESS』は“進化”という意味ですが、どんな思いを込めて名付けられたのでしょう?
大橋:1stアルバムが『起動 〜Start Up!〜』(2016年)というタイトルで、その次のライブのツアーは『OVERSTEP!!』と、どんどんステップアップしてるようなタイトルだったので、今回もそういう意味合いを入れたかったんです。それと終わりが見えない感じの言葉が良いと思って、“進化”なら“最終進化”でもない限り永遠に繰り返すことができますし、先を見据えた意味も込められるので、スタッフさんも満場一致で『PROGRESS』になりました。
ーーこれまでと比べてどんな部分が“進化”したと思いますか?
大橋:いままで挑戦したことのないジャンルに挑戦したというのもありますけど、全体的に大人っぽい雰囲気の曲が増えたように思います。1stアルバムとかデビューシングルの『YES!!』(2014年)を久々に聴いたら、その頃と比べて声が大人っぽくなったのかなあと思ったりして。わずかながらなんですけど(笑)。それと新しい歌い方にも挑戦して、歌の表現も広がったと思うので、聴いた人には「おっ!」って思っていただけるんじゃないかと思います。
ーーそういえば、アルバムジャケットの写真もずいぶん大人っぽい印象です。
大橋:そうですね。アーティスト写真はにこやかな感じなんですけど、ジャケットではキリッとした表情を撮っていただいて。普段は笑顔で映ることが多いので、そういう表情の作り方が難しくて大変だったんですけど、徐々にコツを掴んで、いい感じで撮影することができました。キリッとしたポーズをするのも慣れてなかったので、撮っては写真をチェックしてというのを繰り返して、どうしたらいい感じに映るのかを覚えて撮っていただいたんです。
ーー大橋さんといえば笑顔のイメージが強いですからね。
大橋:笑う方が得意なんですよ。でも、今回はあえて得意じゃないことに挑戦させていただいて、自分の“進化”を見てもらおうと思いまして。
ーー今回のアルバムを作るにあたって、大橋さんから「こういう曲を歌いたい」とか「こういう方に曲を書いてほしい」といったリクエストはされたのですか?
大橋:基本的に、アルバム用の新曲には私の要望を入れていただいてます。その中でもアルバムのリード曲になる「シンガロン進化論」は、大石昌良さんに曲を書いていただきたいと思ってお願いしたら、ありがたいことにOKしていただきまして。
ーー大橋さんは2017年のバースデーライブで、大石さんがオーイシマサヨシ名義で発表された楽曲「君じゃなきゃダメみたい」(2014年)をカバーされてましたよね。
大橋:そうなんです。大石さんとはフェスやイベントで同じ日に出演させていただくことも多くて。この間の『ANIMAX MUSIX 2018 OSAKA』ではPoppin’Partyとしてコラボさせていただいて、私は歌ってないんですけど、ドラムでお世話になりました。
ーー大石さんの音楽は以前から好きだった?
大橋:『月刊少女野崎くん』のアニメが好きだったので、そのタイミングで大石さんのことを知って(「君じゃなきゃダメみたい」は同アニメのオープニングテーマ)、それからOxT(大石とTom-H@ckによる音楽ユニット)も好きになって、大石さんとOxTのことを追いかけ始めました(笑)。カラオケでもよく歌わせていただいてたので、まさか自分の曲として歌える日が来るなんて思ってなくて、めちゃめちゃうれしかったです。
ーー大石さんにはどんな曲をお願いしたんですか?
大橋:『PROGRESS』のリード曲ということで“進化”のような意味合いが入ったもので、明るくて爽やかな楽曲という、大まかなことだけをお伝えしたんです。そこから大石さんが素敵な曲に仕上げてくださりました。すごく壮大な曲ですよね。コーラスが分厚くて、音もロック調ではありますけどキラキラしてるというか、いろんな音が入ってて。
ーー個人的にはELO(エレクトリック・ライト・オーケストラ)を思い出しました。歌詞はご覧になっていかがでしたか?
大橋:自分が“進化”という言葉を聞いたときにイメージするのは、自分を奮い立たせるというか、「がんばらなきゃいけない」ってちょっと強いられてるような意味合いだったんですけど、この歌詞は“進化”という言葉を明るく表現していて、「これからファンのみなさんと一緒に大橋彩香の明るい未来を見に行きましょう」という感じになってるんです。そこから私も“進化”という言葉に対するイメージが変わって、もっと気楽にみなさんと進化していけたらいいなあと思えるようになって。最後はみんなでシンガロングできそうなパートもありますし、ライブで歌うのがすごく楽しみになりました。
ーーレコーディングでは大石さんがディレクションされたんですよね。
大橋:そうなんですよ。ヘッドホン越しに大石さんの声が聴こえてきてドキドキしました(笑)。普段はプロデューサーの木皿(陽平)さんが録ってくださってたので、別の方に録っていただくのはすごく新鮮でしたし、しかも曲を作ってくださった方のディレクションということでめちゃくちゃ緊張しまして。いちばん最初に「じゃあツルっと録ってみましょう」ということで歌った時がもう本当にガチガチで。力が入りすぎてて、大石さんに「緊張してますか?」って言われちゃいました(笑)。
ーーそれだけ大石さんに対する憧れみたいなものがあったんでしょうね。
大橋:レコーディングの前日も全然眠れなくて「あぁ……明日は大石さんだぁ……」みたいな感じでした(笑)。
ーー具体的にどんなディレクションをしていただいたのですか?
大橋:大石さんは私の歌のことを「多幸感に溢れてる歌声」とおっしゃってて、そういう幸せな感じをイメージして曲を作ってくださったらしいんです。なのでその長所を活かした歌い方を引き出してくださいました。細かいところだと<シンガロン>のところを、最初は<シンガーロン>と歌ってるんですけど、最後のところは<シンガーアロン>みたいに<ア>を入れるように言っていただいて。歌を歌ってる人だからこそのディレクションだと思うことがたくさんあって新鮮でした。
ーーシンガーとしても先輩であるわけで、学ぶところも多かったでしょうね。
大橋:でも(デモの)仮歌が大石さんでめちゃめちゃお上手だったので、「ここから私はどう歌おう?」ってすごく心配だったんです(笑)。仮歌を聴きすぎて「歌い方が一緒になっちゃったらどうしよう?」と思ってたんですけど、大石さんが「大橋さんの歌としてちゃんと歌えてました」と言ってくださったので安心しました。
ーー大橋さんらしい、伸びがあって晴れやかな歌声ですよね。聴いてると笑顔になれるというか。
大橋:幸せな感じをイメージして歌ったので、みなさんがこの曲を聴いて幸せな気持ちになって、進化していただければと思います!