My Hair is Bad、yonige、SIX LOUNGE…… “現場主義”なインディーズレーベルの動向を追う
また、レーベル主催イベントやレーベル内バンド同士の対バンを多く設定する、所属バンド/レーベル関連の物販を充実させるなど、ブランド色を前面に押し出すような施策もナインス系列の大きな特徴。CDやグッズなどフィジカルの売上が伸びているのは、①とにかくライブの本数が多い所属バンドの“現場至上主義”的なやり方、②ライブ市場が拡大している昨今のシーンの流れ、③新しい体験を求め“現場”に足を運ぶ若者の需要、という三つの要素が上手く噛み合っているからだろう。実際昨年は、各地のフェス・サーキット会場にて<THE NINTH APOLLO>のTシャツやパーカーを身に着けた若者の姿が多く見受けられた。
そうなると、この“マイヘア以降”の潮流が一時のブームで終わることなくある種の“伝統”として続いていくようなものになりえるのか、またそれがナインス系列外に波及することはあるのか――というのが2018年以降の見どころだろう。
そういう意味で注目したいのが<small indies table>所属のKOTORI。メンバーの田代創大(Dr)は“若手特化型”と銘打ったサーキット「若者のすべて」を主宰しており、KOTORIも次世代の流れを主体的に作ろうとしているバンドの一つだが、そのノウハウを自分たちだけのものにすることなく、さらに若い世代へと継承しようとしているようだ(参考:https://twitter.com/chao____/status/944427086436974595)。そんな彼らの取り組みも含め、今年も引き続き、ナインス系列のバンドの動き、そしてそれらがシーンに及ぼす影響に注目していきたいと思う。
■蜂須賀ちなみ
1992年生まれ。横浜市出身。学生時代に「音楽と人」へ寄稿したことをきっかけに、フリーランスのライターとして活動を開始。「リアルサウンド」「ROCKIN’ON JAPAN」「Skream!」「SPICE」などで執筆中。