accessが語る、チャレンジし続けた25年と音楽への思い 「ラブ&ピースを共感したかった」

accessが語る、チャレンジし続けた25年

 1992年のメジャーデビュー以降、数々のヒットを解き放ってきたエレクトロニックダンスミュージックユニット、access。今年で25周年を迎えながらも、最先端テクノロジーを積極的に取り入れ、日本独自の進化を感じられるシンセポップを奏で続けている彼ら。12月20日には、ツアーで先行披露した楽曲を主に収録した、26年目のスタートを告げる5年ぶり8枚目のアルバム作品『Heart Mining』をリリースした。

 ニューウェーブでハイエナジーな「Crack Boy」。ドラムンベース調ながらもシティ感溢れる華麗な「Vertical Innocence (Heart Mining Ver.)」。名曲バラード「Inside me, Inside you」。泣きのメロディアスな展開が90年代へ舞い戻る「Tragedy」。新境地な「Discover Borderless」でのデジタルながらも軽やかなロックセンス。ピュアテクノな「Knock beautiful smile (Heart Mining Ver.)」でのクールで美しい展開。エディット感がポップな「Friend Mining」。メッセージ性を感じるSFチューン「Heart Mining」。極上アッパーな「永遠dive (Heart Mining Ver.)」という攻めまくりの1枚。チャレンジし続けるキーボーディスト浅倉大介とボーカリスト貴水博之のゴールデンコンビに、この四半世紀と最新作について聞いてみた。(ふくりゅう)

「新しいことをやろうと命がけで作ってました」(貴水)

――最新アルバム『Heart Mining』のリリースでaccessの26年目がスタートしました。それこそ結成当時は珍しかったですけど、トラックメーカーとボーカリストの2人組スタイルって、この25年間で増えましたよね? 

浅倉:当時はまだバンド全盛で、打ち込みがそんなになかったですからね。トラックメーカーがイニシアチブを取るスタイルは珍しかったですね。

貴水:デビューした当時はまだ“アクセス”って言葉自体が使われてなかったんですよ。でも、今では“アクセス”って言葉無しではネット文化は語れない世の中となりました。そういった意味では、僕らは音楽を通じてファンの方と“ツーウェイなコミュニケーションで音楽を作っていけたらいいね”ってところからスタートしたんですけど。25年経った今も変わらずに応援してくれてるファンの方がいることに感謝ですね。しかも最近僕らのことを知って、ファンになってくれた人も多くて。そんな中、5年ぶりにアルバムを出せることが嬉しいです。

――デビューライブとなった、25年前の原宿RUIDOでのライブを覚えてますか?

浅倉:ちょうどこの前、舞浜でやったアニバーサリーライブで、25年前にやったRUIDOの映像を使ったんです。バックステージ映像まであって(苦笑)。それこそ、まだ右も左もわからない状態での初ライブでした。しかも、映像を見ているとステージ後ろにシンセを立てかけてあって。ステージの舞台袖にはシンセ用の機材が全部置き切らないぐらいあって。あの頃ってまだ、ハードディスクが無かったので、全部本体をMIDIで鳴らしてたんですよ。ステージの後ろにSYがあったり。

貴水博之

――今から振り返るとすごい環境ですよね。ある種の力技を、しかもライブハウスで。

浅倉:チャレンジャーですよね。MIDIで全音源を鳴らすなんて。でも、そういうのを恐れずにやってました。フレッシュな気持ちを思い出しましたね。

貴水:フレッシュなんですけど恥ずかしい気持ちになりましたよ。まず第一に当時の僕はシャツをパンツにインしてましたから(笑)。でも、時代が巡って逆に今は流行ってますね(笑)。あの映像をみて、NO.1を目指したいっていう気持ちを持ち続けていたことを思い出しました。会場自体は数百人しか入らない小さな小屋だったんですけど、花道を作ったり、未来を見つめながら頑張っていたなって。いろんな意味で、スタート地点に戻れた瞬間でした。

――当時、10年後、そして20年後は、どんな風になっているかなんて話し合ったりしましたか?

浅倉:いえいえ、目の前のことでいっぱいいっぱいでしたから。がむしゃらに表現し続けて、それこそリミックスアルバムを出したり、3部作を作ってみたり。面白そうだねって思ってもらえるような仕掛けをたくさんやってきました。accessにしかできないことを、次から次へとやり続けてきました。途中にお休みも挟みましたけど。

――それこそ、accessって実は楽曲構成やセンスなど、日本のアニメソングの制作スタイルに影響を与えていますよね。。今や、アニメソングは海外へ誇るカルチャーとなりました。

浅倉:ありがたいことに「accessを聴いてシンセ始めたんです!」っていう、売れっ子のクリエイターに出会えることが多くて。嬉しいことだし、責任も感じなきゃいけないなって。今回、5年ぶりにアルバムを作るので、そんな意味でもプレッシャーになってます。いろんな曲を聴いていると曲調でわかりますよね。イントロの音だったり、サビに入る前の展開のつけ方だったり。たぶんaccess以前は無かったと思うんですよ。必ず大どんでん返しな展開を1回サビに入れるとか。命がけで作ってましたからね。他の人がやらない新しいことをやろうって。

――そして、デジタルサウンドに貴水さんのハイトーンボイスが絡むという斬新さ。

浅倉:あの素晴らしい声があってのaccessだから。

貴水:素晴らしいサウンドがあってのaccessだよ。

浅倉:あれだけシンセが鳴ってる中でも聴こえてくる歌、声を持ってる人に出会えたというのは、人生の中で大きなことでした。

――最初出会った時の印象はどんな感じでしたか?

浅倉:全然、正反対のところで生きてる人だなっていう印象でした。自分は絶対そこで遊ばないだろうなっていうところで、遊んでいる人なんだろうなっていう。

貴水:僕は、夜遊びばっかりしてましたからね(苦笑)。

浅倉:その頃、僕はディズニーランドに行きまくってた頃だから(苦笑)。

貴水:当時は、踊るクラブに行きまくってました。夢と魔法の反対側だね(笑)。

浅倉:それぞれのテリトリーが異なるというか、考え方や価値観が違うので、いい意味で重ならないからぶつからないですね。デビュー時からそうだし、今回の『Heart Mining』にも通じるんですけど、こう投げたらこう返ってきたかっていう驚きを今でも感じられるんです。大変ありがたいです。

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