ジャニーズとインターネットの関係性に変化? ジャニーズWEST出演『炎の転校生』から紐解く

 ジャニーズのドラマ出演は、いまや当たり前のことになっている。だが、グループのメンバー全員が出演する作品となると話は少し違ってくるだろう。近年のジャニーズのドラマ出演は、グループに所属していたとしてもソロの場合がほとんどだからだ。

 その意味で、ジャニーズWESTのメンバー全員が出演するNetflixオリジナルドラマ『炎の転校生 REBORN』は、最近では珍しいケースと言っていい。1980年代にヒットした島本和彦の少年熱血漫画『炎の転校生』をもとに、新たにストーリーを書き下ろした学園ドラマである。多くのファンを持つ島本作品がジャニーズ主演でどのように実写ドラマ化されるのか、まずそこに興味をそそられる。

 加えて今回特筆すべきなのは、この作品がジャニーズ初のネットオリジナルのドラマ、つまりテレビとの連動はせずネットのみで配信されるということである。近年はそうしたインターネットドラマも徐々に増えてきているが、ジャニーズ主演という意味では初めてということになる。

 そのことは、ジャニーズとネットの関係という点でも注目されるだろう。

 周知のように、ネットとは一定の距離を置いてきたジャニーズのこれまでの経緯を踏まえると、今回の『炎の転校生 REBORN』のネット限定での配信という選択には、ジャニーズのネットとの関わり方が変わろうとしているのではないかと思わせるものがある。

 ただし、『炎の転校生 REBORN』は、あくまでコンテンツとしての面白さを追求したものだ。つまり、一個の完結した作品であり、その限りでは地上波のドラマと変わりはない。

 しかしもう一方で、海外190か国に配信されるのはネットならではのことである。当然、作品づくりも日本だけでなく外国の視聴者も意識したものになる。

 それはまず、原作のチョイスに表れていると言えるかもしれない。『炎の転校生』は、ド派手なアクションと突き抜けた発想が生み出す理屈抜きの面白さが魅力の作品である。ジャニーズWESTの歌う主題歌のタイトル通り、「考えるな、燃えろ!!」というわけだ。その点、海外の視聴者にとってもわかりやすく、入り込みやすい面があるに違いない。

 もちろん、それでも言葉や文化の壁が完全になくなるわけではないだろう。だがそこは海外向けということを意識しすぎず、原作の持つ圧倒的な熱量を生かしながら、とにかく誰にでも楽しめる作品づくりに徹しているのが感じられる。

 バラエティ、ドラマと手広く手掛ける李闘士男(藤井流星、神山智洋が出演した『アゲイン!!』(MBS、2014年)の監督でもある)の演出はスピード感あふれテンポも良く、また回毎の作風もスポ根もの、ゾンビもの、ヤンキーもの、さらには時代劇調とバリエーションに富み、見る側を終始飽きさせない。また校長役が人間ではなく人形(声は鹿賀丈史)であったり、「シャキーン」とか「ギャー!!」など漫画のオノマトペがそのままテロップで画面に大きく出たりするなど遊び心も満載だ。最終話の意外な“大オチ”(ここではあえて触れない)も、そのひとつだろう。

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