テイ・トウワが語った、『EMO』制作過程と音質へのこだわり 砂原良徳迎えたトーク&試聴会レポ
テイ・トウワが、3月22日にアルバム『EMO』をリリース。その前日、3月21日にGibson Brands Showroom TOKYOにて、同アルバムをいち早く視聴できるイベントが開催された。
9作目のオリジナルアルバムとなる『EMO』は、ミックスは全編ゴウ・ホトダ、マスタリングは砂原良徳、ゲストには、METAFIVEやUA、Atom TM、高野寛、五木田智央、イナラ・ジョージ、あの(ゆるめるモ!)などを迎えて制作。イベント前半では、マスタリングを手掛けた砂原良徳をゲストに迎え、『サウンド&レコーディング・マガジン』編集長の篠崎賢太郎氏が司会進行を務めて、3人によるトークセッションが行われた。
『EMO』は、CD、配信、ハイレゾ配信、そしてアナログレコードの計4形態での販売となる。各フォーマットへのこだわりを訊かれると、テイ・トウワは「僕はハイレゾ環境で楽曲を制作しているので、聴き手にはそれと同じ音で聴きたい人もいるのかなと。アナログが一番ファジーというか、制作過程において人因的な要素で音も変わってくるので、ギャンブルをやってる感覚に近いですね。うまくいくといい方向に転ぶ。各フォーマットの違いを感じ取ることで耳もよくなるし、国内プレスとUK盤とアメリカ盤でもちょっとずつ音が異なってきたり、僕もYMOの作品は全部のフォーマットを買って聴き比べたりしてましたね」と明かした。
テイ・トウワと砂原良徳にとって、2016年はMETAFIVEとしても精力的に活動を続けた一年だった。高橋幸宏、小山田圭吾、砂原良徳、テイ・トウワ、ゴンドウトモヒコ、LEO今井によるMETAFIVEは、2015年より本格的に始動し、2016年には『META』と『METAHALF』の2作品をリリース、さらに全国ツアーも行い、各地のイベントにも出演。テイ・トウワは砂原をマスタリングに起用した理由について、こう明かした。
「まりん(砂原)は、以前からサカナクションなどのバンドのマスタリングもやっていますが、METAFIVEの時にマスタリングを誰がやるかという話になった時にも名前が挙がって。で、結果的に作品をとてもいい形で整えてくれたので、今回候補としては前々から考えていました。(ミックスを担当した)ゴウさんとは、これまでも何度か一緒に作ったことがあるんですが、ゴウさんはディベロッパー体質というか、新しい機材を取り入れてトライ・アンド・エラーを繰り返していくタイプの人で。それによって、今時のアナログ感が注入されると思ったので、ゴウさんの新システムに、まりんのフルデジタルを組み合わせるのが良いなと考えて決めました」
それを受け、砂原は今回のマスタリング作業について以下のように語った。
「マスタリングにかかる時間は作品にもよるんですが、今回はまずは一度やってから、そのあとスタジオや家のテレビのスピーカー、車など、いいスピーカーだけではなく様々な場所、環境で試してみて、そのすべてにおいて満足のいく音で聴けることを確認してから、OKの判断を出しました。冷静なジャッジのために、2日間聴かなかったりして時間をおくことで気づくことは多いですね」
また、『EMO』の制作時期は、METAFIVEの活動時期とも重なっていたという。収録曲「Brand Nu Emo」には、METAFIVEの面々も参加しており、その他の楽曲でもボーカリスト、あるいはプレイヤーとして楽曲の一部を担っている。テイ・トウワは2016年夏頃に砂原に今作の音源を全曲聴かせており、「Xylocopa」はその時の砂原の助言があって、女性の声を入れたというエピソードを明かした。