吉本興業 × ヒントン・バトルのダンス学校がいよいよ開校 ゆりやんレトリィバァも強烈ダンスで祝福
吉本興業が主宰するダンススクール『ヒントン・バトル ダンスアカデミー』。その開校式が4月11日、都内某所にて行なわれた。
『ヒントン・バトル・ダンス・アカデミー』とは、演劇・ミュージカル界で最高の栄誉とされるトニー賞を3度受賞したブロードウェイのトップアクター、ヒントン・バトルが吉本興業とタッグを組んだ、世界的ダンサーを育てる学校。入学生はバレエ、モダン、ヒップホップ、リズムタップの習得をベースとした“ヒントン・メソッド”のカリキュラムを最大3年間受け、日本国内はもちろん世界で活躍できるダンサーを目指す。ヒントン自ら選出したショービジネスの第一線で活躍する外国人講師からレッスンを受けられるというものだ。第1期生の募集はオーディションによって行なわれ、400名を超える応募のなかから、最終的に合格した28名が、この日の開校式に参加した。リアルサウンドでは以前、この最終オーディションについての記事も公開している(参考:吉本興業、なぜダンスアカデミー設立?)。
この日は司会として藤井隆とロバータが登場し、まずは吉本興業株式会社代表取締役社長・大﨑洋氏の挨拶からスタート。大﨑氏は、1987年にNGKシアター(現なんばグランド花月)で行なったこけら落とし公演『アメリカン・バラエティ・バン!』について、「昼間はお笑い、夜はブロードウェイの面白いところを集めたショウをしようと、キャパ900の会場で3カ月スタートしました。LAで教会を借りてオーディションをし、新聞に小さな記事を載せただけでわんさか人が来ました。アメリカでも一、二を争う代理店と契約をし、大量の契約書にもサインしました」と前置きし、ヒントン・バトルについて「開演の1週間前にきてもらったら、演出家が彼に意地悪をして、メインの3シーンを演出していなかった。怒ってもおかしくないはずなのに、ニコニコしながら『やろう』と応じてくれ、椅子3つとグランドピアノだけ発注されて、見事ステージを成功させたし、その演出やキッズの個性を生かしたシーン作りに感動しました」と、ヒントンの器の大きさに感銘を受けたことを明かした。
また、大﨑氏は当時吉本興業が初めてCMスポットを打ったのが『アメリカン・バラエティ・バン!』だったと話し、「デビューしたばかりのダウンタウンがCMに出て、当時のコピーは『大阪からブロードウェイへ』でした。当時はペーペーだったので、毎日毎日雑用しながら後ろでステージを見るなかで、『いつか吉本興業を世界で通用するエージェンシーに』と、密かに思っていました」と、世界進出への夢が芽生えたとコメント。続けて「会社が5年前に100周年を迎えて、感動したけど大変だったことを、今の若い社員やスタッフにもう一度経験してもらいたいと思って、ヒントンに声をかけたら日本に来てくれましたし、『君の名前を付けたスクールをやりたい』と話したら、喜んで受けてくれました。ヒントンの力を借りて、自分たちの作ったミュージカルでブロードウェイに行き、一緒にロングラン公演を達成するという目標をこの5年くらいで考えています」と、大いなる野望を口にした。
その後のヒントン氏の挨拶では、アカデミー設立の打診を受けた瞬間について「ショックすぎて覚えていません。嬉しすぎて『もう一回言ってもらってもいいですか?』と聞いた覚えがあります」と語り、28名の生徒については「「僕は若いダンサーを見て、何が足りないかを言い当てることができるし、どうすればいいかを指導できる。それが自分に授かった才能の一つだと思います」と提言。そして、「HBDAの素晴らしいところは、自分が歩んで来た道を彼らに教えること、様々なジャンルのテクニックを実現して表現できる人になり、歌や演技もこなせるオールラウンドのパフォーマーになること。だから生徒たちはもっと広く視野を持って、日本だけではなく世界で活躍するダンサーに育って欲しい」とエールを送った。
また、この日はヒントン氏以外にも講師の3人が来日。モダンダンスを指導し、コンプレクションズ・コンテンポラリー・バレエという有名カンパニーを主宰するデズモンド・リチャードソン、タップダンス担当のスター・ディクソン、ヒップホップダンスで講師を務めるケビン・グラスフォードがそれぞれ自己紹介をしたあとは、HBDAアシスタントの斎藤菜月、松平和希と生徒28名によるダンスが披露された。その後、斎藤は「私たち二人もしごかれて来て、泣いた日もあったけど、そのおかげで今ここで踊れている。私たちもまだまだなので、一緒に成長できればいいと思います」、松平は「いろいろダンスも教えてくれて、性格から全部変えてくれるような人で、感謝しています」とそれぞれ生徒にエールを送った。
開校式の最後には、サプライズとして、ゆりやんレトリィバァが登場し、ヒントン氏へ花束を贈呈。ゆりやんは「2回ブロードウェイを見て、HBDAの話をもらったんですが、オーディションの日に営業を入れられていてできませんでした」と残念そうに話し、即興でダンスと歌を披露すると、講師陣もヒントン氏もゆりやんのダンスを絶賛。大﨑社長からのOKも得た上で、好きな時にレッスンに参加できる権利を得た。
開校式のあとには、ヒントンを含む講師陣によるワークショップを開催。なお、各ダンスジャンルのデータやコラムが3Dデータで観れるアプリ『HINTLE』も、6月下旬にリリース予定であることが発表された。
(取材・文=中村拓海)