Crossfaithがオーガナイズした“濃厚”イベント 『ACROSS THE FUTURE 2016』を観た

Crossfaith『ACROSS THE FUTURE』レポ

 Crossfaithがオーガナイズするライブイベント『ACROSS THE FUTURE 2016』が9月6日から10日にかけて、東名阪4会場にて実施された。2014年からスタートしたこのイベントは「未来の向こう側」をテーマに、ジャンルの壁や国境、国籍をも超越することを目指したもの。今年2月に続いての開催となる今回は日本からNOISEMAKER、アメリカからBeartooth、イギリスからEnter Shikariという強豪を迎え、9月6日に東京・TSUTAYA O-EAST、8日に大阪・BIG CAT、9日に愛知・名古屋BOTTOM LINE、そして追加公演として10日に東京・赤坂BLITZで行なわれ、全公演ソールドアウトとなった。

 私はツアーファイナルとなった追加公演の赤坂BLITZに足を運んだのだが、冒頭からエンディングまでとにかく濃厚で、血湧き肉躍る4時間を堪能することができた。

 トップバッターは北海道出身の4人組バンド、NOISEMAKER。オープニングナンバー「Heads and Tails」から観客のシンガロングが発生するほどの盛り上がりを見せ、会場の熱気を一気に高めていく。フロアをダンスホールへと一変させるグルーヴィーなリズム隊と、変幻自在のサウンドメイキングで楽曲を彩るギターが織りなすアンサンブルは絶妙の一言で、そこにAG(Vo)のボーカルが乗ることで唯一無二の個性が生まれていく。MCでは「ロック好きな人、全員まとめて面倒みるからかかってこいよ!」と観客を煽ると、フロアにはクラウドサーファーが続出。ラストには同期を多用したアップテンポの新曲「Something New」も飛び出し、一番手らしい盛り上げ方で観客を掌握してみせた。

 2番目に登場したのは、Crossfaithとも親交が深いBeartooth。今回の出演バンドの中ではもっとも日本のラウドロック的なノリに近いサウンドの持ち主で、昨年末から間を置かずの再来日ということもあって、序盤からカオティックな盛り上がりを見せる。フロアには早い段階から大きなサークルピットが発生し、気づけば上半身裸の外国人客の姿もちらほら。それもあって、どこか海外的なノリが強まったこのタームでは、バンドの熱演に比例するように観客の暴れっぷりも激しさを増していく。ケイリブ(Vo)は曲中こそ激しいヘッドバンギングを繰り返して存在感を誇示するも、MCでは非常にフレンドリーな接し方で好感度も高い。そうやって上手にコニュニケーションが取れるだけあり、観客からの信頼度も非常も熱いものではないだろうかとライブを観て感じた。ライブ終盤に入るとケイリブは「今まで見たことないぐらいにデカいサークルピットを作ってくれ!」と観客に懇願。そしてラストナンバーとして「One life, one decision」のコール&レスポンスが気持ちいい「Body Bag」を披露すると、途中からCrossfaithのKoieがステージに飛び入り。最新アルバム『Aggressive』のボーナストラックと同じく、ケイリブ&Koieのツインボーカルが楽しめる貴重な機会を前に、観客の盛り上がりは最高潮に達した。

 Beartoothの大熱演に続いてステージに現れたのは、今回の出演者の中ではもっともキャリアの長いEnter Shikari。ラウドロックというよりも、ヘヴィサウンドに懐かしのニューレイヴ感をミックスした独自のサウンドは、全4組中もっとも薄いものかもしれない。しかしEnter Shikariの4人がステージに立っただけで、会場の雰囲気は一変するのだから不思議なものだ。ダンサブルなビートが心地よいオープニングナンバー「Destabilise」では、演奏がブレイクに突入すると同時にメンバーの動きも止まってしまうなど、視覚的にも楽しませる要素が満載。中でもフロントマンのラウ(Vo, Synth)の一挙手一投足には目を見張るものがあり、彼の独特なダンスに釘付けになった人も多かったのではないだろうか。かと思えば、MCでは他のメンバーが日本語で挨拶をするなど、日本贔屓な面もアピール。最新作『The Mindsweep』からの楽曲のみならず、初期の代表曲「Sorry, You're Not A Winner」なども飛び出し、気づけばフロアにはいくつものサークルピットができているなど先輩格として確固たる存在感を見せつけた。

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