SiM、実はかわいらしい一面も? 地上波初パフォーマンスで見せた彼らの意外な素顔に迫る

 レゲエパンクバンドSiMが2016年4月6日、ニューアルバム『THE BEAUTiFUL PEOPLE』をリリースした。各音楽媒体で絶賛されたこのアルバムはオリコン初登場6位を記録し、好調なセールスを残している。去る5月6日に放送された『HEY!HEY!NEO!』(フジテレビ系)にも初出演し、地上波で初のライブパフォーマンスを披露するなど、結成12年目にして飛ぶ鳥を落とす勢いだ。

 SiMの強みといえば、なんといってもその圧巻のライブパフォーマンス。ラウド、パンク、メタル、ミクスチャーとあらゆるロックにレゲエテイストを取り込んだオリジナルな楽曲で10代から大人達まで多くの中毒者を生んでおり、ライブではモッシュ、ダイブの嵐が巻き起こる。先の武道館公演でもスタンディングエリアになっていたアリーナ席をモッシュピット化させてしまったことが語り草になっている。

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 このビジュアルの通り、「SiM=カウンター精神に溢れたパンクバンド」のイメージがとても強い。もちろんそれが大前提で間違いないが、そんなイメージを持つリスナーにとっては、『HEY!HEY!NEO!』でダウンタウンにイジられた彼らのユルいトークは意外性の塊だっただろう。

 実はそのギャップが、SiMに魅せられるファンが増えるきっかけのひとつになっているのではないかと秘かに思っている。『HEY!HEY!NEO!』でのトークを見ればわかるように、素顔の彼らは非常に好青年。ファンには有名な話だが、MAH(Vo.)は前世がねこだったと公言するほど無類のねこ好きで、自らのインスタグラムにも時折(というかしょっちゅう)自身の飼いねこのとの日々をアップ。かわいいねこの写真とともに「あんよの毛切らなきゃなぁ」(←原文ママ。2月2日投稿)とコメントしているような力の抜けた投稿もあり、ファンも微笑ましく見守っている(と思う)。その他にも昔ラーメン屋さんでバイトをしていたというMAHがローカル番組でとんこつラーメンを一から手作りし、楽しそうに麺の湯切りをする姿を見せたときは、「エプロン姿のMAHさんかわいい!」「エプロンは黒!にこだわるMAHさん超萌える!」とファンも大盛り上がり。ひとたびステージを降りると見せてくれる素朴で親しみやすい一面も、ファンを惹き付けて離さない大きな魅力なのだ。

 そんな人間味溢れたSiMのメンバーたちだが、魅せられているのはファンだけではない。前述の『DEAD POP FESTiVAL 2015』に出演したMAN WITH A MISSIONのJean -ken-JohnneyはSiMを「今日本ノロックシーンノ中ノ確実ニソノ渦ノ中心ニイルバンド」と紹介しており、SiMに対する評価の高さを公言している。さらにキュウソネコカミのヤマサキセイヤは同イベント出演に際し「出たいでしょ!あんなカッコいい人たちに呼ばれたら」とコメントしており、尊敬の念を惜しまない様子だ。(コメントはいずれも『めざましテレビ』(フジテレビ系)より)

 結成してからの12年の間、メンバーチェンジを繰り返し、さらにはメンバーであるSHOW-HATEの急病やレーベル解雇など、幾多の苦難を乗り越えてここまで辿り着いた彼らの姿には、アーティスト仲間たちもリスペクトを隠さない。今や日本のラウドシーンを代表する存在となった彼らだが、彼らのベースは飽くまでもライブハウス。“ライブハウスで生まれて、ライブハウスで死んでいくバンド”と自負している彼らはいつもライブハウスに集まるキッズたちとともに生きている。最新作『THE BEAUTiFUL PEOPLE』でも唄われる、MAH自身のカリスマ然とした佇まいの裏に隠された苦悩や弱さを受け入れ、それをも支持するキッズたちとSiMは、人生を共闘する仲間なのだろう。

 どれだけ動員が増えようと、どれだけ大きなステージに上り詰めようと、SiMのスピリットは変わることはない。その音楽で、生きる姿で人々を魅了し、オーディエンスとの信頼を勝ち得ていく彼らは、今年もシーンの先頭でさらに大きく飛躍してくれるはずだ。

(文=岡野里衣子)

SiM「MAKE ME DEAD!」MV

■SiM
2004年結成。現在のメンバーはSIN(Ba)、MAH(Vo)、GODRi(Dr)、SHOW-HATE(Gt)。2015年7月、故郷である神奈川県でMAN WITH A MISSION、10-FEET、クリープハイプ、BRAHMANらを招いた大規模野外フェス『DEAD POP FESTiVAL 2015』を主催し大成功を収める。同年11月、“最初で最後”と銘打って開催された武道館公演のチケットも完売させ、約1万人を動員したのも記憶に新しい。

SiMオフィシャルサイト

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