Crossfaithはなぜ世界でブレイク? 海外シーンとの親和性を読み解く

Crossfaith - "Countdown To Hell" Official Live Music Video

 そんな変遷を経て、Crossfaithは2014年10月に初のシングル『MADNESS』、そして昨年9月には4thアルバム『XENO』をリリース。これら2作品ではそれまで以上に“歌メロ”が感じられる楽曲が増え、Koie(Vo)がスクリームだけでなくクリーントーンで“歌う”という新たな武器を得たことでバンドとしても音楽性の幅を広げることとなった。

Crossfaith - 'Madness' Official Music Video

 さらに今年7月27日には通算2作目となるシングル作品『New Age Warriors』を発表。2014年の『MADNESS』のタイミングからメジャーに移籍した彼らだが、それ以降もそのスタイルがメジャー寄りになるということはなく、常に独自のスタイルを貫き続けている。最新シングル『New Age Warriors』には新曲「Rx Overdrive」「Kill 'Em All」、そしてSiM×Crossfaith名義で5月に発売されたコラボシングル『GET iT OUT』に先行収録された「Revolution」の計3曲から構成。どの曲も『XENO』以降の流れを汲む作風で、心地よいテンポ感と彼らならではのドラマチックな展開、激しいスクリームとメロディアスなクリーンボイスを織り交ぜたボーカルスタイルからは、今のCrossfaithの充実ぶりが強く感じられる。また歌詞にも彼らの攻めの姿勢は強く反映されており、Crossfaithが今も守りに入ってないことが存分に伺える。

Crossfaith - 'Rx Overdrive' Official Music Video

 80年代、90年代と比較すると海外で定期的にツアーを行うバンドの数は圧倒的に増えたが、その先駆けとなったのは間違いなくCrossfaithだったと言える。彼らがここ日本よりも先に海外で大成功を収めた結果、人種や言葉の壁は以前ほど感じなくなったのではないだろうか。今年に入って『SATANIC CARNIVAL』や『DEAD POP FESTiVAL 2016』といった大型フェスで彼らのライブを観たが、ようやくここ日本でも海外のロックファンにも匹敵する熱狂ぶりを目にすることができるようになった。9月からはシングル『New Age Warriors』を携えた全27公演におよぶ国内ツアー『New Age Warriors Tour 2016』もスタートする。8月末にはイギリスを代表する大型フェス『READING & LEEDS FESTIVAL 2016』に出演する彼らだが、今回の国内ツアーではどの会場も小規模のライブハウスばかり。ワールドクラスのバンドをこの規模感で体感できるのはある意味貴重なので、ぜひとも最寄りの会場に足を運んでおきたいところだ。

 2000年代以降におけるラウドロックの新たなスタイル、そして新たな活動スタンスを提示したという意味では、現在のシーンの先駆者とも呼べるCrossfaith。しかし彼らはそのポジションに甘んじることなく、今後も日本、海外と区別することなく攻め続けてくれることだろう。

■西廣智一(にしびろともかず) Twitter
音楽系ライター。2006年よりライターとしての活動を開始し、「ナタリー」の立ち上げに参加する。2014年12月からフリーランスとなり、WEBや雑誌でインタビューやコラム、ディスクレビューを執筆。乃木坂46からオジー・オズボーンまで、インタビューしたアーティストは多岐にわたる。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる