チャットモンチー、10周年武道館ライブレポート
チャットモンチーが10周年武道館ライブで見せた、人生という“ドライブ”の楽しさと新たな代表曲
「曲を喜ばせてくれてありがとうございました。デビューしてよかったです」ーー福岡晃子が7年半前の日本武道館で言ったセリフだ。チャットモンチーは、メジャーデビューから2年4ヶ月という異例のスピードでバンドシーンを駆け上がり、2008年3月31日、4月1日の2Days『チャットモンチーのすごい2日間 in 日本武道館』を成し遂げた。
チャットモンチーは、ドラマチックなバンドだ。初武道館からの7年間で様々なことがあった。2011年のドラム高橋久美子の脱退から驚きの2人体制へ、そして2013年の橋本絵莉子の出産に伴う一時活動休止を経て、2014年に恒岡章(Dr. / Hi-STANDARD、CUBISMO GRAFICO FIVE)と下村亮介(Key. & Cho. / the chef cooks me)の通称“男陣”がサポートメンバーとして加入。さらに、“乙女団”の世武裕子(Piano, Synthesizer)、北野愛子(Dr. / DQS, nelca / ex. your gold, my pink)もサポートメンバーとして加入し、6人編成の大所帯バンドとなった。
2015年11月11日、日本武道館にて開催された『チャットモンチーのすごい10周年 in 日本武道館!!!!』。そんな6人編成で最初に演奏されたのは「ハナノユメ」、メジャーデビューミニアルバム『chatmonchy has come』の1曲目に収録されたチャットモンチーの初期代表曲だ。続けて、ライブは「8cmのピンヒール」「シャングリラ」と3rd、2ndアルバムから初期の曲を演奏していく。恒岡、北野のツインドラムによる息のあったパフォーマンスは、力強くしなやかに。下村、世武のツインキーボードは、下村がエフェクトサウンドや所々でギターを弾き、世武はアクセントのある演奏でオーディエンスを魅了していく。
福岡が「3ピースのチャットモンチーを」と言って始まったのは、恒岡をドラムに迎えての「親知らず」。そして、「染まるよ」はドラムを北野にチェンジし演奏された。会場が暗転すると、ツーピース時代のツアーで行っていた会場までの車中の会話を録音して流すという録音MCへ。橋本が「何か音が聞こえてこない?」とコメントすると、ステージの前方にはツーピース時代のドラムセットとギターがセットされたサブステージがせり上がってきた。会場には「変身」のイントロが鳴り響く。
ここ数年、チャットモンチーの音楽はより自由で挑戦的になってきた。それは担当パート、楽器の数、橋本のボーカルをとってもそうだ。例えば、「恋愛スピリッツ」であれば、橋本がループステーションでギターの音を録音し繰り返させ、ハンドマイクで歌う。橋本は、原曲により忠実に歌唱するボーカリストであったが、ツーピースになり歌い方に抑揚をつけるようにもなった。ツアー『YOU MORE 前線』のドキュメンタリーでは、3ピースバンドの限界に挑む覚悟で演奏していたことが明らかになっているが、そのプレッシャーがいい具合に外れ、今の自由なチャットモンチーが生まれた。「きらきらひかれ」「ウタタネ」といったツーピース時代を彩った曲を続けて演奏し、橋本は「いろいろありましたけど、2人になったっていうことが1番のポイント……きっかけというか。いろいろ考えた時期で」と昔を振り返り、福岡は「音楽って楽しいなって思いました。まだ、10年ぽっちで、音楽って大変なんやって思うこともちょっとあったんですけど、ここに来てめっちゃ楽しいやんって思いました」と感慨に耽る場面もあった。