鹿野淳が新フェス『TOKYO ISLAND』を語る 「“ポスト音楽フェスティバル”へ移行する時代が来た」

TOKYO ISLAND
『TOKYO ISLAND』オフィシャルHP

  

 東京・お台場のほど近く、東京湾に浮かぶ巨大な島があることをご存知だろうか。昭和48年から62年にかけて1,230万トンのゴミと建設発生土で埋め立てられた土地で、約88ヘクタール(日比谷公園の約5.5倍)ほどの面積がある。この土地に苗木を植え、美しい森に生まれ変わらせる計画、それが「海の森」プロジェクトだ。この「海の森」が完成することにより、都市部の緑地化や地球温暖化防止などの環境保全につながるという。

 この「海の森」で、7月20日、新たなフェスティバルが誕生する。その名も『TOKYO ISLAND』。

 同フェスティバルのプロデューサーを務める鹿野淳氏は、今までVIVA LA ROCKやKESEN ROCK FESTIVALなど多くの音楽フェスティバルに携わってきた。

(参考:VIVA LA ROCKプロデューサー鹿野 淳が語る、ロックフェスの「物語」と「メディア性」VIVA LA ROCKプロデューサー鹿野 淳が語る、フェス2年目の挑戦「フリーエリアをなぜ増強したか」

 “フェス未開の地”とも言えるこの場所で、なぜ新たなフェスティバルを開催するに至ったのか。そして、どのようなフェスティバルが開催されるのか。編集部では同氏に電話インタビューを敢行した。(編集部)

ーーまずは開催の経緯を教えてください。

鹿野:野外でイベントをやるときは、場所との出会いが重要なものになってくると考えています。実は、数年前に今回の会場となる『海の森公園』ができるという話を聞きまして。

ーー会場との出会いがあったと? 

鹿野:はい。当時一度下見に行ったのですが、整備もなにもされておらず、とてもフェスができるような場所ではありませんでした。それから数年経って、東京オリンピックにむけて公園を完成させるプロジェクトがいよいよ動き出しました。

 東京都やオリンピックの方々とお話をして、まだ公園は完成していないですが、一日だけ公園の一部を使ってイベントを行わせていただくことになりました。このような場所が東京にあるということ、また、東京で音楽やカルチャーが発信されるイベントが始まる、ということを早く伝えたかったんです。

ーー今回、なぜフリーイベントなのでしょう。

鹿野:『TOKYO ISLAND』のプロローグ的な意味合いが大きいからです。普段はまだ一般の方々が入れるような状態ではないですが、来年以降、ここの場所が公園として完成した暁には、公園全体を使って東京ならではのカルチャー・フェスティバルをやりたいと思っています。

ーーそれは音楽に限らず、という意味でしょうか。
 
鹿野:そう、音楽に限らずです。音楽、映画、スポーツ、マンガ、ファッション……さまざまなカルチャーを集結させ、この公園内で面白いことをやっていきます。そして、夜はここに何千ものテントを張って、オールナイトをしたいと思っています。東京だからこそ実現する「巨大な文化祭」。オールナイトでキャンプをして、東京ではあり得ないような景色を見る。こんなことを思い描いています。来年以降は、5万人くらいの人が入れるほど非常に大きな空間となります。

ーー都心の野外でその規模はなかなかないですね。

鹿野:東京で今までにないものが生まれますね。しかし、今年は3,000人くらいの規模で考えています。興味を持ってくださった方に気軽に来ていただきたいという気持ちもあり、フリーイベントにしました。ただ、実はこの会場、まだ交通の便が整備されていません。住所も決まっていない、公園“予定地”。すべての人が会場にむかうには、バスに乗らなければなりません。臨時で青海駅からシャトルバスを運行しますが、そのようなインフラ面でも、今回は2~3,000人規模かなと思っています。

 現時点では、公園自体は10分の1も完成していません。しかし、ディズニーランド、葛西臨海公園、スカイツリー、銀座、お台場、……東京湾周辺のすべてがパノラマ状に見える、最高の場所です。そして、そのエリアの後ろ側を振り返ってみると、ダンプカーが土の山を掘り返している(笑)。そんな、あり得ない光景が広がっています。

ーー先日第一弾のアーティスト発表がありましたが、出演者を決めていく際にこだわった点はありますか。

鹿野:私はVIVA LA ROCKというフェスのプロデュースや音楽ジャーナリストをしているのですが、『TOKYO ISLAND』は、音楽フェスティバルやロックフェスティバルではなく、カルチャー・フェスであることにこだわり、だから、今回のフリーイベントに関しては、あまり音楽フェスティバルに出るような方々ではない方に出演いただくことにしました。

 音楽フェスティバルで得たノウハウを生かしながら“ポスト音楽フェスティバル”へ移行しなければならない時代が来ているのではないかと思っています。そうなったときに、音楽フェスティバルのノウハウを全て投下するような、音楽だけではない、さまざまなカルチャーが共存できるフェスティバルをつくりあげていく。それが役割であり、そのようなフェスティバルをやりたいと思っています。

 今年出演する“まらしぃ”は良い例です。ピアノのボカロ曲をネット上に投稿したことで人気になりました。そのようなインターネットの世界で活躍している方が、あえて「海の森」という場所でライブをするということは、とても面白く、意味があると思っています。

ーーご自身でも多くの音楽イベントやフェスに携わっていらっしゃいますが、ネクスト・ステージにむかうということですね。最後に『TOKYO ISLAND』に関して、みなさんにお伝えしておきたいことはありますか。

鹿野:出演アーティストは、あと3組ほど発表があるかと思います。当日は日没(18時頃)までの開演となりますが、その時間帯は特に素晴らしい景色を見ることができます。音楽を通じたピクニックのような感覚で来ていただいても十分楽しめるのではないでしょうか。

 ただ、風がとても強いので、帽子や日傘が飛ばされないように注意してください。屋外のイベントなので、どうしても当日の天気はわかりません。雨具なども準備した上で、今まで東京にはなかった、新しいカルチャー・フェスティバルが生まれる瞬間となる今年の『TOKYO ISLAND』を楽しみに来ていただきたいと思います。

神聖かまってちゃん
神聖かまってちゃん
戸渡陽太
戸渡陽太
まらしぃ
まらしぃ
吉田ヨウヘイgroup
吉田ヨウヘイgroup
LILI LIMIT
LILI LIMIT

■公演情報
『TOKYO ISLAND』
2015年7月20日(月・祝)海の日
開場 11:00/開演 12:00 終演 18:00 頃(日没前予定)
会場:海の森公園予定地
料金:入場無料(シャトルバス利用料別)
アクセス:シャトルバスのみ
※発着所は東京臨海新交通臨海線(ゆりかもめ)青海駅のみ

<出演アーティスト>
神聖かまってちゃん/戸渡陽太/まらしぃ/吉田ヨウヘイgroup/LILI LIMIT/and more...(五十音順)

オフィシャルサイト
オフィシャルFacebook
オフィシャルTwitter:@tokyoislandfes

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる