嵐・相葉雅紀はどんな音楽的挑戦をしてきた? バリエーション豊かなソロ曲を振り返る

 『Beautiful world』(2011年)に収録された『「じゃなくて」』もユニークな楽曲だ。好きな女性にうまくアプローチできない男性の心理をコミカルに描いた一曲で、ファンキーなミドルテンポのブレイクビーツと、リズミカルな譜割りが気持ちよい仕上がり。続く『Popcorn』(2012年)の「楽園」では、なんとドラムンベース楽曲に挑戦。疾走感のあるビートの上で、ストリングスとピアノがスリリングに掛け合うトラックに乗せて、恋のときめきを歌う相葉。ソロ曲の中で最もスケールの大きさを感じさせる一曲かもしれない。

 そのタイトル通り“愛”をテーマにしたアルバム『LOVE』(2013年)に収録された「夜空の手紙」は、相葉が信頼を置く友人であり、シンガーソングライターの阿部裕也に作詞を依頼したという楽曲で、今は亡き大切な人への思いを込めたというバラード。Jポップの王道をいくような哀愁漂うメロディが耳に残る一曲で、さまざまな音楽性にチャレンジしてきた相葉だからこそ、そのストレートさが際立つ作品だ。

 そして、最新アルバム『THE DIGITALIAN』(2014年)では前作から一転、「Disco Star」というEDM曲を披露している。「Magical Song 」に通じるアッパー系のダンスナンバーで、〈Everybody hands up!/いまComing up/正真正銘のI'm a disco star〉と、歌詞もかなり攻めた内容だ。いまの相葉の勢いを象徴しているかのようで、そこには頼もしささえ感じる。

 こうして相葉のソロ曲を順に聴いていくと、一曲ごとに新たな挑戦をしていて、とてもバリエーションに富んでいることがわかる。一方で、たとえ激しくアレンジされたダンスナンバーでも、相葉の声で親しみやすいポップスとなっていて、尖った音楽ジャンルでも自然と聴けてしまうのも魅力だ。毎回、一筋縄では行かない楽曲で、ファンたちを良い意味で裏切ってきた相葉だけに、ドラマ主題歌がどんな仕上がりになるのか楽しみだ。

(文=松下博夫)

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