宇多田ヒカルの15周年記念リマスターが発売 YANATAKEがハイレゾの重要性を紐解く

 最近よく耳にする「ハイレゾ」とはいったいどんなものなのでしょうか? 〈CDよりも高音質の音楽データ〉という認識をしている方は多いかと思います。今回は、宇多田ヒカルがデビュー15周年を記念してリリースする『SINGLE COLLECTION VOL. 1+2 HD』をヒントに少しわかりやすく紐解いてみましょう。

 我々が身近に感じている映像ソフトは1980年代に大きく普及したVHSテープから、DVD、Blu-rayと大きく進化を遂げています。まだBlu-ray映像を体験していない人、Blu-rayプレーヤーを手にしていない人もいるかと思いますが、DVDと映像のクオリティの差が明白なことは、誰もが知っていますよね。ところが音楽ソフトはどうでしょうか? VHSの時代から長期に渡り市場のほとんどをCDが占有してきましたが、進化としてはMP3やiTunesストアで採用されているAACなど圧縮技術の方向に進むばかりでした。例えばこれは、写真の容量を圧縮すると画質が粗くなることと同じことで、本来の音から“質”が削がれる部分が出てきてしまうものなのです。アーティストとしては自らが制作したものを最高の条件でリスナーに届けたいと思うのは当然のこと。これがようやく家庭レベルで手軽に楽しめる環境が近づいてきたというのが、今回のハイレゾの話です。

「ハイレゾ」とは「ハイ・レゾリューション・オーディオ(High-Resolution Audio)」の略で、簡単な定義としてはCDよりスペックが高いことが条件です。一般的には「サンプリング周波数(kHz)」「量子化ビット数(bit)」という2つの値で比べるのですが、そのどちらかがCDの基準値である44.1kHz/16bitを上回っていれば「ハイレゾ」と呼びます(どちらの値も下回ってはいけない)。

 現在のレコーディング技術では、それ以上の環境で録音されることが多いので、CDに収録されている音源は実際に録音されているものよりも劣化しているということになります。また毎秒のデータ転送量を表すビットレートで計ってみるとiTunesストアで売られているAACが256kbps、MP3の最高音質が320kbps、CDが1411kbpsに対して、今回の宇多田ヒカル『SINGLE COLLECTION VOL. 1+2 HD』に収録されたハイレゾ音源に至っては、なんと4608kbpsです。もちろんファイル形式によって差異はあるので厳密に比べることはできませんが、圧倒的な情報量の違いがあることはわかります。このように約CDの3倍~6.5倍の情報量が納めらてれるのがハイレゾ音源なのです。

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