米倉千尋の記事・ニュース・画像一覧
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96年、デビュー曲「嵐の中で輝いて」(OVA『機動戦士ガンダム第08小隊』テーマ曲)がスマッシュ・ヒット。TVアニメと違いタイアップ効果の薄いOVAだが、曲の良さとパワフルで小気味いいヴォーカルが、口コミで評判を広めてのものだった。逆にその後は、CMや人気ヴァラエティ番組のタイアップを付け、楽曲評価も上々でありつつヒットには恵まれず、事務所も消滅してアーティスト人生の危機に見舞われたが、99年リリースのTVアニメ『仙界伝 封神演義』テーマ曲「WILL」が起死回生のヒット。以降もアニメやゲームの曲を中心にコンスタントなセールスを続け、デビュー5周年の01年には初のベスト盤『Little Voice』発売と初ワンマン・ライヴにまでこぎつけた。歌声は力強いが、本人は150cmあるかないかの小柄な女性。キャリアを重ねるにつれ、歌声に温もり感を増し、作詞や作曲も自ら手がけるように。"夢" "希望"といったメッセージを正面から歌い上げた曲が多いが、押し付けがましさはなく、素直に聴ける。彼女自身、中学時代に赤面症から対人恐怖に陥り「コンプレックスのかたまりだった」ところ、卒業前の謝恩会で勇気をふるって歌を披露。話したこともないクラスメイトにも称賛されたのをきっかけにアーティストを目指したというだけに、思春期の少年・少女と同じ目線を共有できているからだろう。アニメ系シンガーという印象は強いが、アルバム曲では「犬と赤いフリスビー」「トムソーヤの冒険」といった少年っぽくジュブナイルなナンバーも、ファンには人気が高い。 (斉藤貴志)