甲斐翔真が『風、薫る』にもたらしたもの “直美”上坂樹里の人生に差し込んだ真っ直ぐな愛

NHK連続テレビ小説『風、薫る』で甲斐翔真が演じる陸軍二等軍曹の小川吾郎は裏表がなく、看護婦として自立して生きる直美(上坂樹里)のたくましさを尊敬している。軍人として厳しくも信頼できる上官を心底リスペクトするように、仕事に打ち込む直美の毅然とした態度に惚れ込み、その好意を隠そうともしていない。
眩しいほどに真っ直ぐで、直美に何かを伝えたい! と思うと故郷の佐賀の方言で語り始める吾郎。空気を読むこともなく、天然なところも彼の魅力と言えるだろう。

何より、吾郎の軍服姿がこんなに爽やかに見えるのは、甲斐翔真が数々のミュージカル出演で培った姿勢の良さと佇まいの美しさがあってこそ。2020年に夜神月役に抜擢されて『デスノート THE MUSICAL』で初主演を務めて以来、『ロミオ&ジュリエット』や『October Sky ー遠い空の向こうにー』のミュージカルで主演を務めてきた甲斐。『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』のクリスチャン役、ミュージカル『next to normal』のゲイブ役の演技が高く評価され、第50回菊田一夫演劇賞を受賞した。
今回の吾郎役は芸能活動10周年という節目に、初の朝ドラ出演となる。第13週「白日の夢」第62回ラスト、1人の軍人が直美と団子屋の近くですれ違っている場面が印象に残っている。占い師の真風(研ナオコ)が「行き違い、すれ違い新しい風が吹いてきたみたいだねぇ」という意味深な言葉を残していて、直美に強い影響を与える存在であることを期待させる。
そして、第63話で帝都医科大学附属病院の内科に入院している友人を吾郎がぼた餅を持って見舞いに訪れた。食事制限のある患者にぼた餅を強く勧めて食べさせようとする吾郎に直美は厳しい口調できっぱり止めた。

その厳しさに唖然としていた吾郎だったが、次に直美に会ったときには、看護婦という職業を知らなかったこと、自分の間違いを素直に認め、非礼を詫びた。このときに、改めて自分は陸軍の軍曹だと礼儀正しく自己紹介したのだが、直美にとって軍人というと海軍中尉と身分を偽り、偽名まで使って近づいてきた寛太(藤原季節)の存在が大きく、吾郎に対しても警戒心のようなものを最初は捨てきれずにいた。
そんな直美に対して、吾郎は無邪気な子犬のような目で積極的にアプローチしていくので、直美も吾郎のペースに巻き込まれて戸惑いつつも「友人になりましょう」と提案して、仕事が休みの土曜日には団子屋「田之上屋」で団子を食べながらおしゃべりしていたようだ。



















