『風、薫る』の家族観は“現代”を描いてきた? “疫病”と“非血縁”をめぐる新しい共同体

NHK連続テレビ小説(以下、朝ドラ)『風、薫る』が今週で最終回を迎える。
『風、薫る』は、明治時代に日本発のトレインド・ナースとなった大和関と鈴木雅をモデルとした一ノ瀬りん(見上愛)と大家直美(上坂樹里)の物語。
りんは、元武家の娘として栃木で育ったが、父親をコロリで亡くしてしまう。その後、結婚して娘を設けるが、女学校には行かせないという夫の方針に反発し、家を出てしまう。
一方、直美は生後まもなく親に教会に捨てられた。キリスト教の牧師の元で育てられたため、英語は堪能だったが、良い職場にめぐまれずに転々としていた。
りんと直美は東京で出会い、日本発のトレインド・ナースを育成する梅岡女学校付属看護婦養成所に通うようになる。そして、実習を終了した2人は帝都医科大学付属病院に就職することとなる。様々な立場の患者の看護を通して2人は成長し、やがて看護婦取締という大役を担うようになるのだが、ある患者の死をきっかけに自信を喪失したりんは、病院を辞めてしまう。

『風、薫る』は、りんと直美、2人の主人公の視点で、明治時代の医療現場の現実を描いている。
当初、りんと直美の物語は別々にスタートし、中々交わろうとしなかったのだが、看護養成所に通うようになって以降は、一緒にいる機会が増えていき、考え方の違いで何度もぶつかりながらも友情を深めていく。
そして、りんが病院を辞めて、新潟の女学校の舎監として働くことになると、2人はまた離れ離れになるのだが、直美はりんの娘・環の「2人目のお母さん」になると言って、一ノ瀬家で暮らすようになる。
『風、薫る』は序盤でりんが結婚と出産を経験して、すぐにシングルマザーとなるのだが、その後、看護婦養成所という学校で学ぶようになり、やがてトレインド・ナースという仕事に就く。現代のドラマなら、学校で学んだ後で就職し、その後、恋愛を経て結婚し、子どもを産んで母親になるという流れだが、この順番がりんは逆になっており、シングルマザーになってから、青春を経験しているようなところがある。
その意味で、女性の成長と自立を描き続けてきた朝ドラの中でもユニークな成長物語となっている。



















