『大空港~GATE24~』はなぜ“王道”で成功した? 続編期待のヒット作にみるサービス精神

『大空港』“王道”でヒットの理由を分析

「ようこそ、日本へ」

 『大空港~GATE24~』(テレビ朝日系)最終回のラストを飾ったのは、森万智(趣里)が入国者に向けて口にした、いつもの言葉だった。

 本作は、空港の各部署から集められたメンバーによる新設チーム「GATE24」が、“最強の門番”として日本の平和と安全を守るために奮闘する痛快空港エンターテインメントだ。

 GATE24の仕事は、海外から来る人やモノをむやみに拒むことではない。通すべき人・モノは通し、止めるべき人・モノは止める。危険を水際で食い止めるのも、日本の安全だけでなく、海外から訪れた人々に安心してこの国で過ごしてもらうためだ。

 国境の門を守る万智たちにとって、「ようこそ、日本へ」は日常的な挨拶にすぎない。しかし、全9話を見届けたあとでは、この言葉がドラマの外にいる私たちにまで向けられているように聞こえた。

 思えば『大空港』自体も、できるだけ多くの人を内側へ迎え入れようとしていたのではないか。

 今期は、ながら見や倍速視聴では、その魅力を十分に味わいきれないドラマが目立った。『Tシャツが乾くまで』(TBS系)は、新たな事実が明らかになるたびに人物や関係性の見え方が変わり、その心情を深く考えさせる。『VIVANT』(TBS系)では、膨大な情報と伏線を拾い集めながら、登場人物の正体や思惑を読み解くことが大きな楽しみとなった。そして『マイ・フィクション』(ABCテレビ・テレビ朝日系)になると、疑うべきは人物の言動だけにとどまらない。記憶と現実の境界まで揺らぐため、目の前で起きていることのどこまでが真実なのか、視聴者も最後まで判断を迫られる。

 いずれも画面に集中し、物語について考えるほど面白さが増していく作品だ。シリアスかつ重厚な作品も多く、確かな見応えがある一方で、見る側にも相応のエネルギーが求められた。

 対して『大空港』は、視聴者に一つの見方を要求しない。じっくり見れば、入国者の所持品に隠された伏線や、毎話用意されたどんでん返しを楽しめる。他方で、筋立てが明快なので、家事などで一時的に画面から目を離しても、話の流れを見失いにくい。若者も高齢者も、一人で見る人も家族と見る人も、それぞれの距離から楽しめる間口の広さがあった。

 その姿勢を象徴するのが、外国語のせりふが途中から日本語吹き替えに切り替わる演出だ。

 毎回、最初はキャストが実際の外国語を話すことで、空港のリアリティを伝える。一方で、やりとりの途中から万智や早見圭一郎(眞栄田郷敦)の“脳内変換”として日本語へ切り替え、字幕を追い続ける負担を減らした。俳優の表情や日本語での芝居に集中できるうえ、大塚明夫、森川智之、江口拓也ら豪華声優陣による吹き替え自体も楽しめる。テレビドラマだからこそ成立する大胆な嘘を使い、視聴者を取りこぼさない。この演出に、本作のサービス精神が凝縮されていたように思う。

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